雷撃隊出動

『雷撃隊出動』

『雷撃隊出動』は、1944年に東宝によって制作された戦争[[映画]]であり、大東亜戦争開戦3周年を記念する作品として公開されました。この映画は日本海軍の雷撃隊の活躍をメインテーマに、多くの実物の航空機と航空母艦が登場することから、当時の貴重な映像資料としても評価されています。

映画はモノクロでスタンダードサイズで作られ、戦意を高めるための映画とみなされがちです。しかし、その一方で、南方の基地での平穏な日常が描かれる中で、航空機の不足や敗戦の危機に直面した日本軍の現実も率直に映し出されています。そのため、戦後の反戦映画よりも強い反戦的な色合いを持つと言われています。

あらすじ

物語は、三上、村上、川上の3人の同期が中心です。彼らは「サンカミ」と呼ばれ、雷撃の神様として知られています。母艦航空隊の隊長である村上は、航空参謀の川上と共に、基地航空隊の新しい隊長である三上が着任する内南洋の基地へ向かいます。彼らは久しぶりの再会を喜びますが、基地は敵の空襲にさらされ、迎撃する航空機が不足していました。

川上は本土に戻り、航空機の補充を要請しますが、期待した補給がなかなか届かず、基地や現地住民への空襲は激化するばかりです。やがて要請の末に補填された航空機が到着し、敵機を撃退するものの、同時に敵の機動部隊が比島方面に侵入を開始します。この危機に対し海軍は母艦航空隊を機動部隊に戻し、基地航空隊と連携して反撃を行います。

三上と村上は、川上や基地の司令官に見送られながら出撃し、仲間と共に雷撃機を駆って敵機動部隊に突入。最終的には「軍神」としての名誉を得ることとなるのです。

キャスト

この映画の主要キャストには、以下の役者たちが名を連ねています。

• - 三上：藤田進
• - 川上：森雅之
• - 村上：河野秋武
• - 航空隊司令：大河内傳次郎
• - その他、月田一郎、灰田勝彦、東山千栄子、三島雅夫、高田浩吉、黒川弥太郎といった俳優が出演。

スタッフ

• - 製作: 村治夫
• - 監督・脚本: 山本嘉次郎
• - 特技撮影: 円谷英二
• - 撮影: 鈴木博、平野好美、中井朝一
• - 音楽: 鈴木静一
• - 美術: 松山宗、中古智

登場兵器

この映画では、多くの航空機が登場します。具体的には、以下のような機材が取り上げられました。

• - 天山艦上攻撃機
• - 九七式[[艦上攻撃機]]
• - 一式[[陸上攻撃機]]
• - 零式艦上戦闘機
• - 九七式飛行艇
• - P-40ウォーホーク戦闘機

また、艦船に関しても、空母瑞鶴や空母鳳翔が使用されました。特に、敵機役のP-40戦闘機は他の映画から流用された映像が用いられています。映画の公開当時、瑞鶴はすでに沈没してしまっていましたが、その艦内での撮影が行われました。

主題歌

映画内ではいくつかの楽曲が使用され、特に雷撃シーンでは軍艦行進曲が流れました。以下の曲が含まれています。

• - 「雷撃隊の歌」
• - 「雷撃隊出動の歌」
• - 「男散るなら」

映像ソフト

この映画は後に、VHSおよびDVDとして発売され、再度観る機会が設けられています。

備考

本作公開の際に雷撃機の搭乗員だった有川貞昌は、映画の上映会において隊員たちが臨場感を感じ、敵艦の撃沈シーンに拍手喝采を送っていたことを証言しています。彼は本作をドキュメンタリー的な記録映像だと信じ、後に特撮の第一人者・円谷英二と意気投合しました。

このように『雷撃隊出動』は、戦争[[映画]]としての枠を超え、日本の航空隊の歴史的な一ページを刻んだ特異な作品となっています。

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