青山弘之

青山弘之氏は、1968年3月26日生まれの日本のアラブ地域研究者、政治学者です。東京外国語大学大学院総合国際学研究院(国際社会部門・地域研究系)教授を務め、かつては日本中東学会の特任理事および年報編集委員長も務めていました。専門分野は、東アラブ(特にシリアレバノン)の政治とアラブ民族主義思想です。

東京都出身の青山氏は、1986年に東京都立小平高等学校を卒業後、1991年に東京外国語大学外国語学部アラビア語学科を卒業。その後、1993年に一橋大学大学院社会学研究科修士課程を修了しました。1995年には在エジプト国際言語専門学校ヘリオポリス校を修了し、1996年6月にはパリ大学付属フランス・アラブ研究所(Institut Français du Proche-Orient、在シリア・ダマスカス)の研究アラビア語修得課程を修了、同研究所の研究員に就任しました。

1998年に一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程を単位取得退学し、一橋大学経済学部非常勤講師に就任。1997年10月から2008年3月まで日本貿易振興機構アジア経済研究所に在籍し、1999年2月から2001年2月にはパリ大学付属フランス・アラブ研究所の共同研究員を務めました。その後、2002年から2007年まで東京外国語大学外国語学部の非常勤講師、2004年から2006年まで早稲田大学人間科学部の非常勤講師を歴任。2007年4月から2013年3月までは京都大学地域研究統合情報センターの共同研究員を務めました。

2008年10月から2009年3月まで東京外国語大学外国語学部の准教授、2009年4月から2013年4月まで東京外国語大学総合国際学研究院の准教授大学院重点化による所属変更)として教鞭を執り、日本中東学会の特任理事も兼任しました。2013年4月からは同大学の教授に就任し、現在に至ります。

青山氏の研究活動は、シリア情勢に関するものが特に多く、『混迷するシリア:歴史と政治構造から読み解く』(岩波書店、2012)、『シリア情勢:終わらない人道危機』(岩波新書、2017)、『膠着するシリア:トランプ政権は何をもたらしたか』(東京外国語大学出版会、2021)、『ロシアとシリア:ウクライナ侵攻の論理』(岩波書店、2022)といった単著を出版しています。

また、共編著としても多数の著作があり、酒井啓子氏との共編『中東・中央アジア諸国における権力構造――したたかな国家・翻弄される社会』(岩波書店、2005)、末近浩太氏との共著『現代シリアレバノンの政治構造』(岩波書店、2008)、八木久美子氏、イハーブ・アハマド・エベード氏との共著『大学のアラビア語詳解文法』及び『大学のアラビア語表現実践』(東京外国語大学出版会、2013)、青山氏が編者となり、横田貴之氏、髙岡豊氏、山尾大氏、末近浩太氏、吉川卓郎氏、錦田愛子氏が著者を務めた『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』(岩波書店、2014)、スライマーン・アラーエルディーン氏との共著『大学のアラビア語初級表現』(東京外国語大学出版会、2017)、浜中新吾氏、髙岡豊氏との共編著『中東諸国民の国際秩序感:世論調査による交際関係認識と越境移動経験・意識の計量分析』(晃洋書房、2020)などがあります。

さらに、優人(アフマド・アスレ)氏の著書『ぼくらはひとつ空の下:シリア内戦最激戦地アレッポの日本語学生たちの1800日』(三元社、2021)では解説を担当し、今井宏平氏が編者を務めた『クルド問題:非国家主体の可能性と限界』(岩波書店、2022)にも執筆協力しています。天川まなる氏の漫画『戦火の中のオタクたち』(晶文社、2023)では監修を務め、林佳世子氏との共編『西アジアの歴史』(放送大学、2024)、木戸皓平氏との共著『シリア・バアス党第3回中央委員会拡大会合(2024年)詳解』(CMEPS-J Report No. 77)も発表しています。

青山氏はインターネットテレビやウェブサイトでも積極的に情報発信しており、ニコニコ生放送での対談や、シリア情勢に関するウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」を運営しています。このサイトは、シリア内戦の初期から反体制側とアサド政権側のメディア報道を網羅的に日本語で紹介し、森山央朗氏によって「シリア『内戦』研究の重要な基礎を成す」と評されています。

また、Twitter(現X)、FacebookなどのSNSも活用し、自身の研究活動や見解を広く発信しています。さらに、Yahoo!ニュース個人やKAKEN科学研究費助成事業データベース、researchmap、J-GLOBALなどのサイトを通じて、研究論文やプロジェクトに関する情報も公開しています。これらの活動を通じて、青山氏は中東情勢に関する専門家として、幅広い層に知識を提供し続けています。

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