青空天使

映画『青空天使』について

『青空天使』は、1950年（昭和25年）に公開された斎藤寅次郎監督による日本の長編劇映画です。製作は当時の太泉映画、配給は東京映画配給が担当しました。

作品概要

この作品は、美空ひばりが映画出演2年目にして15作目にあたる作品です。完成は1950年4月17日、公開は同年5月20日でした。この映画と次作の『東京キッド』によって、美空ひばりの人気は不動のものになったとされています。

監督の斎藤寅次郎は、戦前に松竹から東宝へ移籍し、本作の撮影当時は新東宝に在籍していましたが、吉本興業との提携作品を中心に監督していました。そのため、吉本資本であった太泉映画に出向して本作を演出しました。また、当時新東宝の助監督として斎藤に師事していた曲谷守平が「演出補佐」としてクレジットされています。

散逸からの復元

製作元の太泉映画と配給元の東京映画配給は合併して東映となりましたが、東映は本作のネガ原版や上映用プリントを所有・管理しておらず、長らく散逸した作品となっていました。

しかし、2002年になって大阪在住の映写技師が16mmフィルム版、65分の短縮プリントを所持していることが判明しました。大阪芸術大学教授の太田米男氏を中心とした復元プロジェクトによって復元作業が行われました。

その後、2004年12月に『美空ひばり東映映画DVD選集』がリリースされ、その購入特典として東映および東映ビデオがDVD化を行いました。復元されたプリントは、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されています。また、本作の脚本の決定稿も現存しています。

『青空天使』は、マキノ正博監督の『肉体の門』（1948年）と並び、現存が確認されている数少ない「太泉映画作品」の一つです。

スタッフ

監督: 斎藤寅次郎
演出補佐: 曲谷守平
原作: 伏見晃
脚本: 山下与志一
撮影: 友成達雄
照明: 秋山清幸
美術: 北辰雄
録音: 沼田春雄
効果: 音響効果集團
舞台製作: 吉澤信一
合成技術: 天羽四郎
編集: 神島帰美子
音楽: 萬城目正

主題歌・挿入歌

主題歌: 『青空天使』
歌: 美空ひばり
作詞: 門田ゆたか
作曲: 萬城目正
発売: コロムビアレコード
挿入歌: 『ひばりが唄えば』
歌: 美空ひばり
作詞: 門田ゆたか
作曲: 萬城目正
発売: コロムビアレコード

作品データ

製作進行: 森義宣
製作: 太泉映画
上映時間: 82分（9巻 / 2,232メートル）
フォーマット: 白黒映画、スタンダードサイズ（1.37:1）、モノラル録音
公開日: 1950年5月20日
配給: 東京映画配給

キャスト

花菱アチャコ - 安吉
横山エンタツ - 留吉
入江たか子 - 母美也子
美空ひばり - マリ子
清川虹子 - 安吉の女房
ばん・じゅん（伴淳三郎） - 日野原
露原千草
清川玉枝 - 日野原の妻
川田晴久 - 楽団指揮者
立松晃
柳文代
島崎潑
並木一路
出雲八重子
森野五郎
有木山太
坂井美紀子
銀あけみ
坊屋太郎
若宮金太郎
春名薫
一藤月子
今清水基二

参考文献

『クロニクル東映 1947-1991』、東映、1992年
『全記録分離期・軍政下時代の奄美復帰運動、文化運動』、間弘志、南方新社、2003年2月 ISBN 4931376800

関連項目

肉体の門 (1948年の映画)
太泉映画
東京映画配給

外部リンク

青空天使 - 東京国立近代美術館フィルムセンター
青空天使 - 日本映画データベース
青空天使 - 東映チャンネル
美空ひばりの映画『青空天使』（1950年）について - 太田米男 （大阪芸術大学）
青空天使 - allcinema
青空天使 - KINENOTE
Aozora tenshi - IMDb（英語）

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