鞍山 (駆逐艦)

鞍山：歴史を繋ぐ駆逐艦

鞍山（あんざん、An Shan）は、中国人民解放軍海軍（PLAN）で使用された駆逐艦であり、その歴史は第二次世界大戦以前にまで遡ります。元々はソ連海軍のグネフヌイ級駆逐艦「レコールドヌイ」として建造され、後に中国へ譲渡された艦です。

設計と特徴

1930年代、ソ連海軍は高速なレニングラード級駆逐艦の建造を目指しましたが、コスト面からより小型で安価な艦艇の設計を模索しました。その際、イタリアのフォルゴーレ級駆逐艦の設計図を基に、ソ連の要求に合わせて改造したのがグネフヌイ級です。

グネフヌイ級は全長112.8メートル、全幅10.2メートルで、設計よりも大幅な重量増となり、標準排水量1,612トン、満載排水量2,039トンとなりました。乗組員は平時197名、戦時236名で、2基の蒸気タービンと3基の水管ボイラーにより、48,000軸馬力を発揮し、設計上の最大速力は37ノット（時速約69km）でした。実際の公試では設計速力を上回る艦もありましたが、具体的な記録は残されていません。燃料搭載量のばらつきにより、航続距離は19ノットで1,670～3,145海里と幅がありました。

武装は、130mm砲4門を前後に2基ずつ配置、対空砲として76.2mm砲1門と45mm砲1門、12.7mm機関銃2丁を装備していました。魚雷発射管は533mm3連装を2基、機雷と爆雷も搭載可能で、対潜水艦用の水中聴音機も備えていましたが、実用性は限られていました。

建造と就役

レコールドヌイは、1936年にニコライエフで起工し、その後ウラジオストクで完成させるため、鉄道で輸送されました。1939年に進水、1941年にソ連海軍へ就役しました。

中国での就役

1955年、レコールドヌイは中国人民解放軍海軍に買収され、「鞍山」と改名されました。これは、同時期に譲渡された他の3隻の旧グネフヌイ級駆逐艦と共に行われたもので、中国海軍の近代化に貢献しました。鞍山は、遼寧省の工業都市である鞍山にちなんで命名され、ペナントナンバー101が付与されました。

就役から38年間で、9人の外国要人と2人の中国首脳（周恩来と鄧小平）が訪問しました。1992年4月に退役し、現在は青島の海軍博物館で展示されています。鞍山は、冷戦時代におけるソ連と中国の関係を象徴する艦艇であり、その歴史は多くの人々に語り継がれています。

主要な出来事

1936年9月25日：ソ連で「レコールドヌイ」として起工。
1941年1月9日：ソ連海軍に就役。
1955年：中国人民解放軍海軍に譲渡され、「鞍山」に改名。
1992年4月：退役、青島海軍博物館で展示。

鞍山の歴史は、ソ連と中国の技術交流、そして両国の戦略的関係を物語る上で重要な存在です。駆逐艦としての役割を終えた今も、その存在は歴史的な意義を持ち続けています。

参考文献

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