頼富本宏

頼富本宏（よりとみ もとひろ）

頼富本宏（1945年4月14日 - 2015年3月30日）は、日本の仏教学者であり、密教学を専門としていました。僧侶（東寺真言宗・実相寺住職）としての顔も持ち、種智院大学密教資料研究所所長・学術顧問、種智院大学名誉教授・元学長を歴任しました。空海研究、曼荼羅思想研究に加え、インド・チベットの密教遺跡の現地調査も数度行い、その研究は多岐にわたります。

生涯

出生から修学期

1945年、香川県大川郡大川町に生まれた頼富本宏は、父であり神戸・實相寺の開山である頼富本信を師として、1959年7月に同寺で得度しました。兵庫県立神戸高等学校を経て、1964年に京都大学文学部に入学し、仏教学を専攻しました。同年5月には東寺真言宗から度牒を得ており、1966年8月には淡路・万福寺で四度加行を成満しました。1968年3月には京都大学文学部を卒業し、同大学大学院文学研究科修士課程（仏教学）に進学。同年12月21日、京都・醍醐寺にて伝法灌頂入壇（三宝院流憲深方）を果たしました。1970年に修士課程を修了し、博士課程（仏教学）に進み、1973年3月に博士課程を単位取得後満期退学しました。

密教学僧として

1973年4月、頼富本宏は種智院大学仏教学部の専任講師となり、1976年4月には助教授に昇格しました。学界では日本密教学会の理事も務めました。1988年には、学位論文『密教仏の研究：文献・美術遺品両面からの研究』を京都大学に提出し、文学博士の学位を取得しました。

1998年4月には国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学文化科学研究科教授に就任し、種智院大学の客員教授も兼務しました。2002年10月、種智院大学第10代学長に就任し、2011年に定年退職後は名誉教授および学術顧問となりました。

2015年、膵臓癌のため逝去。葬儀は神戸市内の本願寺神戸別院で執り行われました。

受賞・栄典

1982年：朝日学術奨励賞を受賞。
1995年：密教学芸賞を受賞。

研究内容・業績

頼富本宏の研究テーマは、インドから日本に及ぶアジアの密教文化・密教美術でした。研究活動の一方で、密教図像学会の発展に尽力し、後進の育成に貢献しました。また、NHK番組などに出演し、密教教学と文化を一般の人々にも分かりやすく解説しました。

著書

頼富本宏は多数の著書を執筆・編纂しており、その業績は多岐にわたります。以下に主なものを記します。

共著

『関西御利益の寺社』 白木利幸と共著 朱鷺書房 1993
『密教仏像図典 インドと日本のほとけたち』 下泉全暁共著 人文書院 1994
『写経の鑑賞基礎知識』 赤尾栄慶共著 至文堂 1994
『空海の歩いた道 残された言葉と風景』永坂嘉光写真 小学館 2003
『曼陀羅の思想』 鶴見和子と共著 藤原書店 2005

編著

『図解雑学シリーズ 般若心経』編著 今井淨圓・那須真裕美著 ナツメ社 2003
『聖なるものの形と場』編 法藏館 2004
『大日如来の世界』編著 春秋社 2007
『史上最強図解 般若心経入門』編著 下泉全暁・那須真裕美著 ナツメ社 2012

共編著

『これからの真言宗葬儀法要法話 事例死因男女世代別体系』四季社 1996 宮坂宥勝監修、橋爪良恒・山田一眞・栗山秀純共編
『インド密教』立川武蔵、春秋社 1999
『チベット密教』立川武蔵、春秋社 1999
『中国密教』立川武蔵、春秋社 1999
『日本密教』立川武蔵、春秋社 2000
『道教的密教的辟邪呪物の調査・研究』大形徹・坂出祥伸共編 BNP・星雲社 2005

翻訳

『中国密教』(大乗仏典 中国・日本篇 8) 中央公論社 1988（「大日経（抄）・金剛頂経（抄）・菩提心論・摂無礙経」を収録）
『空海』(日本の仏典 2) 筑摩書房 1988（「弁顕密二教論・即身成仏義・声字実相義・吽字義・般若心経秘鍵・請来目録」を収録）
増訂版『空海コレクション』（1・2）、ちくま学芸文庫 2004
1は「秘蔵宝鑰・弁顕密二教論」を収録
2は「即身成仏義・声字実相義・吽字義・般若心経秘鍵・請来目録」を収録
『現代語訳一切経 2』大東出版社 1997（「大唐故大徳贈司空大弁正広智不空三蔵行状」を収録）
『弘法大師空海　法華経開題 傍訳』編著 宮坂宥勝監修 四季社 2010

監修

『西蔵図像聚成』宮坂宥明共監修 四季社 2001
『図解雑学 空海』監修 ナツメ社 2003
『続・真言宗1分3分5分法話事例別集成』吉田宏晢共監修 四季社 2005
『日本占法大全書』 佐々木宏幹、藤井正雄、山折哲雄共監修 四季社 2006
『曼荼羅1分3分5分法話実例集成』監修 四季社 2007
『ブッダを知りたい。 知られざるお釈迦様の素顔と仏教文化のすべて』監修 学研パブリッシング 2011
『仏像のなぞとひみつ 種類から時代による造形の違いまで、仏像の見方を詳しく紹介 より深くより楽しく』監修 学研雑学百科 2011
『入門日本の仏教宗派 私たちの国の仏教、その秘密に迫る』監修 学研パブリッシング 2013
『空海と高野山 世界遺産・天空の聖地・開創1200年』PHP研究所 2015

記念論文集

『マンダラの諸相と文化 頼富本宏博士還暦記念論文集』法藏館 2005

論文

CiNii>頼富本宏
INBUDS>頼富本宏

外部リンク・資料

『日本美術年鑑』平成28年版(東文研アーカイブス)
頼富 本宏　　YORITOMI Motohiro|教員紹介|種智院大学

脚注

この記述は、頼富本宏の生涯、業績、学術的貢献を網羅的にまとめたものです。彼の研究は、密教学の分野において重要な礎を築いたと言えるでしょう。

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