風早 (給油艦)

風早 (かざはや)

風早は、日本の海軍に所属する運送艦であり、給油艦としての役割を担っていました。その名は伊豆大島北端に位置する風早埼に由来しています。1943年3月末に竣工されたこの艦は、日本海軍のマル急計画に基づいて建造されたもので、同年の10月6日にはアメリカ海軍の潜水艦による攻撃を受け、わずか6か月の艦歴で沈没しました。

概要

風早は、かつて剣埼型給油艦として計画されていましたが、建造途中で潜水母艦に変更されたため、1941年のマル急計画によって新たに4隻の大型給油艦が計画されました。その中の第1艦として「風早」が命名されました。

1943年に重油輸送任務に従事していた風早は、同年の10月にトラック沖合でアメリカの潜水艦から攻撃を受け、最終的に沈没しました。竣工からわずか半年の間に、戦局の激変を身をもって体験した艦であったのです。

艦型

風早の船体は、もともと何らかの計画があった逓信省標準船TL型タンカーを基に設計され、艦隊随伴の給油艦として多様な給油方法を適応できるように改良されました。この艦は、縦曳や横曳に加え、斜曳や逆曳による洋上給油が行える設備が施されていました。また、他の補給物件も積載可能な設計になっていました。

特有の設備として、後部に設置された3脚のマストや洋上給油用のデリックがあり、艦橋の前後にはツインポストが装備されました。これにより、分かりやすい甲板作業ができるようになっていました。また、重油タンクのほかにも、軽質油としてガソリンタンクを装備するなど、多機能性が求められた艦でした。

艦歴

風早は1941年に起工し、1943年に横須賀鎮守府に所属しました。運用開始後、トラック、ラバウル間で重油輸送に従事する一方、アメリカの潜水艦による魚雷攻撃を受ける運命が待っていました。

1943年10月6日、風早はアメリカ潜水艦スティールヘッドに発見され、魚雷攻撃を受けることになりました。2本の魚雷が命中し、浸水が進行しましたが、風早は自力での航行を続けようとしました。連合艦隊は救援を派遣しましたが、アメリカの潜水艦に再度攻撃を受け、結局は沈没してしまいました。

最後に、154名が「海風」に、98名が「初風」に救助され、艦の命運は尽きました。「風早」は1943年12月1日に除籍されましたが、その短い艦歴の中でも、日本海軍の厳しい戦局を体現した艦の一つであったと言えるでしょう。

歴代艦長

• - 艤装員長: 金桝義夫 大佐 (1943年2月1日 - 1943年3月31日)
• - 特務艦長: 金桝義夫 大佐 (1943年3月31日 - 10月10日)

同型艦について

1941年度のマル急計画では、風早とその計画変更を受けた特務艦「速吸」の2隻が竣工しました。他の2隻は建造取り止めとなりましたが、艦名は韓埼と稲取の予定でした。これらの艦は、日本海軍における多様な運用に重点を置いて設計されていましたが、時代の変化に翻弄された歴史も持っています。

日本海軍の艦艇としての風早の存在は、戦争の混沌とした状況を極めて象徴的に物語っています。

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