首都圏新都市鉄道TX-1000系電車

首都圏新都市鉄道TX-1000系電車は、つくばエクスプレスの開業に合わせて導入された直流通勤形電車です。秋葉原駅～守谷駅間の直流電化区間での運用を担い、つくばエクスプレスの都心側の顔として活躍しています。

概要

TX-1000系は、つくばエクスプレスの開業時に導入された車両で、直流1500Vで電化されている秋葉原駅～守谷駅間で運用されています。交流電化区間である守谷駅～つくば駅間には入線できません。形式名の「TX」は、つくばエクスプレスのローマ字表記「Tsukuba eXpress」に由来します。

2003年3月に先行試作車6両編成1本が、2004年3月から2005年1月にかけて量産車6両編成13本（78両）が川崎重工業兵庫工場で製造されました。

車体

車体は、片側4箇所の両開き扉を持つアルミニウム合金製です。JR在来線と同等の車体サイズで、幅2,950mmと他の私鉄や地下鉄車両に比べて大きいのが特徴です。最新のダブルスキン構造を採用し、無塗装の銀色の車体に赤色のラインがアクセントとなっています。この構造は日立製作所が開発した「A-train」の技術を基にしており、川崎重工業がライセンス生産しています。前面は、シャープなラインとV字型のガラスが特徴的で、トンネル区間や地下区間での非常時避難を考慮した貫通扉を備えています。

屋根上には、冷房能力42,000kcal/hの空調装置が1基搭載されており、空気清浄機も内蔵されています。集電装置は東洋電機製造製のシングルアーム型PT7149-B型を採用し、増設準備工事も施されています。

車内

車内は白色を基調とし、ドアも同色の化粧板で仕上げられています。ドア下部には黄色の点字ブロックが設置され、ドア開閉時にはチャイムが鳴るなど、視覚障害者への配慮もなされています。2号車と5号車には車椅子スペースが設けられています。

座席は、住江工業製のロングシートで、一人分の着席区画が明確なバケットシート仕様です。足元空間を広くするために、座席は壁面のみで支えられています。握り棒（スタンションポール）も設置され、混雑時の安全性に配慮されています。

側面窓は大型の1枚ガラスを採用していますが、紫外線カットガラスではなく、透明ガラスと巻き上げカーテンの組み合わせです。空調故障時の換気用に、妻面に開閉可能な小窓が設置されています。

乗客向けの案内表示装置として、LED式の文字スクロール表示器と路線図式表示器が設置されています。自動放送は日本語と英語に対応しています。

運転・走行機器

つくばエクスプレスは、最高速度130km/hでの運転に対応した設備を備えており、TX-1000系もその性能を活かしています。

運転台はワンハンドルマスコンで、力行とブレーキ操作を左手のみで行えます。ワンマン運転に対応するため、客用ドアの開閉スイッチも運転台に設置されています。三菱電機製のTIS（車両制御情報管理装置）により、各車両の状態をモニタリングできます。

主制御装置には、東芝製のIGBT-VVVFインバータ（回生ブレーキ対応）が採用されています。1基のインバータで2台の主電動機を制御し、故障時の自力走行を可能にしています。主電動機は東芝製のSEA-397形かご形三相誘導電動機で、電動車1両あたり4台搭載されています。動力伝達方式はTD平行カルダン駆動方式、歯車比は1:6.53で、起動加速度3.0km/h、最高速度130km/hに対応しています。

台車は川崎重工業製の軸梁式ボルスタレス台車（電動車：KW167、付随車：KW168）を使用しています。

車内照明や冷暖房用の電源として東芝製の静止形インバータ (SIV) を、ブレーキ用の圧縮空気供給装置としてクノールブレムゼ製SL22系電動空気圧縮機 (CP) を搭載しています。

保安装置

ATC、ATO、TASCを搭載し、ワンマン運転を実施しています。本線上ではATOによる自動運転が基本で、運転士は出発ボタンを押すだけで、次駅停車までを自動で行います。ただし、車両基地内では手動運転が行われます。

2014年1月から朝ラッシュ時の守谷～北千住間では、TASC運転が導入されました。これは、先行列車への追従運転時に、ATOでは頻繁な信号変化に対応しきれず、乗り心地が低下するためです。

運転席には、ATC（手動）、ATO（自動）、ATC（TASC）の3つの運転モード切替スイッチがあります。ATOには、雨天モード、平常モード、回復モードの3つのモードがあります。雨天モードは滑走防止のため減速度を抑え、回復モードは目標速度を上げる機能でしたが、現在はATOソフトウェアの改修により、回復モードは使用されていません。

編成

TX-1000系は6両編成で、両先頭車にはATC/ATO装置、ATO車上子、ATO送受信装置、戸閉制御切換装置が搭載されています。

両先頭車には静止形インバータのほか、排気扇用インバータも搭載されています。

TX-1600形には列車無線装置と床下に無線アンテナが設置されています。

つくばエクスプレスでは、利用客増加に伴い、2030年代前半を目安に8両編成化を予定しており、TX-1000系も中間車2両を増結した8両編成になる予定です。

運用

秋葉原駅～守谷駅間を中心に、普通列車や一部の区間快速列車として運用されています。

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