香港中文大学

香港中文大学（The Chinese University of Hong Kong）は、1963年に設立された香港を代表する公立大学です。略称は中大（CUHK）として知られています。世界大学ランキングでは常に上位50位以内を維持しており、世界トップクラスの研究大学としての地位を確立しています。香港と世界を結ぶインターネットエクスチェンジ（IX）であるHong Kong Internet Exchangeを有することも特徴です。

大学の概要

香港中文大学は、その名称に「中文（中国語）」を冠していますが、これは単に中国語を意味するだけでなく、「中華文化」をも包含する意味合いを持っています。授業は中国語（広東語と普通話）と英語で行われ、特にビジネススクールはアジア最古のMBAプログラムとして世界的に有名です。香港大学が英語での教育に重点を置くのに対し、香港中文大学は新亜書院、崇基学院、聯合書院の合同で設立され、各書院と学院に所属する英国式のシステムを採用しています。これはアメリカ式の所属形態をとる香港大学などの他の香港公立大学とは異なる点です。

大学の歴史を振り返ると、1957年に新亜書院、崇基学院、連合書院が香港中文専上学校協会を結成し、1963年にこれらが合併して現在の香港中文大学が正式に設立されました。その後、教育学院、大学院、医学院、工学院、法学院などが設立され、総合大学としての基盤を築きました。1997年の香港返還後は、教育重視型から研究中心型の運営方針に転換し、質量ともに発展を遂げ、学生数や学部別ランキングでも香港大学を追い抜くほどの成長を遂げました。

広大なキャンパスは、香港特別行政区の新界地区東部の沙田・馬料水の丘陵地帯に位置しており、最寄りの駅は香港鉄路東鉄線の「大学駅」です。キャンパス内にはスクールバスが運行しており、図書館、レストラン、テニスコート、オリンピックサイズのプールなど、充実した施設を誇ります。また、大学敷地内にはハイアット・リージェンシー・ホテルが存在し、ホテル管理学科が設置されているのも特徴的です。

学部と研究施設

香港中文大学には、文学院、工商管理学院、教育学院、工程学院（工学部）、医学院、法学院、理学院、社会科学院の8つの学部と、61の学科・専攻があります。また、大学図書館をはじめとする6箇所の図書館システムや、中国考古文物・発掘品・古美術を収集した香港中文大学文物館、中国研究拠点として有名な中国研究服務中心など、研究施設も充実しています。

学術交流と国際性

1990年に設立された日本研究学科では、約500名の学生が日本語や日本の文化、歴史などを学んでいます。また、慶應義塾大学をはじめ、京都大学、国際大学、九州大学、早稲田大学など、日本国内の多くの大学と交換留学協定を結んでおり、国際的な学術交流も盛んです。

著名な関係者と出身者

香港中文大学には、物理学者の高錕氏や楊振寧氏、経済学者のジェームズ・マーリーズ氏やロバート・マンデル氏など、数多くの著名な関係者がいます。また、中国史学者の銭穆氏や哲学者の唐君毅氏、牟宗三氏など、著名な学者も多く輩出しています。出身者には、政治学者の浅野亮氏、数学者のシン＝トゥン・ヤウ氏、哲学者の李天命氏、歴史学者の余英時氏、映画監督のウォン・ジン氏や脚本家のウォン・ピンユー氏、俳優のマイケル・ホイ氏など、各界で活躍する人材を輩出しています。

近年の動向

近年では、学長の国際化運動によって教学言語問題やキャンパス環境保護問題など、学生による自主反発運動が強まっていますが、その一方で教育と研究の両面でさらなる発展を目指しています。2012年には学制改革により4年制に完全移行し、グローバルな視点を持つ人材育成にも力を入れています。これからも香港中文大学は、香港を代表する大学として、また世界的な研究大学として、さらなる発展を遂げていくことが期待されます。

大学ランキング

香港中文大学は、世界大学ランキングでも高い評価を得ており、2013年には世界の大学の学術ランキングで151位から200位の間、アジアでは15位から23位、香港では1位にランクインしました。また、QS世界大学ランキングでは、世界39位、アジア7位にランクインするなど、国際的な評価も非常に高いです。

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