高倉永相

高倉永相（たかくら ながすけ）

高倉永相は、戦国時代に活躍した公卿です。高倉永家を父に持ち、初めは永綱と名乗っていました。その生涯は、室町幕府の衰退と戦国時代の激動の中で、朝廷の官僚として、また時に武将の動向に翻弄されながら、複雑な政治情勢を生き抜いたものでした。

生涯

1538年（天文7年）に15歳で従五位下に叙爵し、翌年には元服して昇殿を許され侍従に任官しました。その後、右衛門佐、右衛門督へと順調に昇進を重ねます。1553年（天文22年）には足利義藤（後の義輝）に従い近江へ向かいますが、三好長慶が「将軍に随行する者は武家・公家を問わず知行を没収する」と通達したため、義藤を見捨てて京へ帰還しました。この行動は、彼の政治的な判断能力と、時代の変化への敏感さを示しています。

1560年（永禄3年）には従三位に叙せられ公卿の仲間入りを果たし、翌年には参議に任ぜられます。しかし、1568年（永禄11年）には武家の命令に背いて摂津国大坂へ下向するという、大胆な行動も見せています。その後、1570年（永禄13年）に京へ戻り朝廷に復帰していますが、この期間の彼の動向は、政治的な駆け引きや、自身の立場を模索する姿を物語っています。

1573年（元亀4年）には、足利義昭が織田信長に対して挙兵すると、義昭の命により二条御所を守備しますが、織田軍に包囲され降伏しました。この出来事は、彼のキャリアにおける大きな転換点であり、武力による権力闘争の激しさを物語っています。

その後、1577年（天正4年）には従二位・権中納言に叙任されますが、1580年（天正7年）に権中納言を辞任。翌年には正二位に叙せられます。1586年（天正13年）には、病床に伏しながらも権大納言に任ぜられましたが、そのわずか2日後に55歳で薨去しました。法名は常清です。

官歴

高倉永相の官歴は、『公卿補任』に詳しく記されています。以下に主なものを列記します。

1538年（天文7年）6月7日：従五位下
1539年（天文8年）12月27日：元服、昇殿、侍従
1540年（天文9年）1月6日：従五位上。3月24日：筑前介。8月29日：右衛門佐
1544年（天文13年）3月19日：正五位下
1548年（天文17年）1月5日：従四位下、佐如元
1552年（天文21年）1月5日：従四位上
1553年（天文22年）閏1月9日：右衛門督
1556年（弘治2年）1月6日：正四位下
1560年（永禄3年）2月6日：従三位、督如元
1561年（永禄4年）2月1日：参議、去督
1567年（永禄10年）1月5日：正三位
1577年（天正4年）12月16日：従二位。12月24日：権中納言
1578年（天正5年）12月28日：奏慶
1579年（天正6年）11月23日：喪父
1580年（天正7年）11月17日：辞権中納言
1581年（天正8年）1月5日：正二位
1586年（天正13年）12月21日：権大納言。12月23日：薨去

系譜

『系図纂要』によると、高倉永相の系譜は以下の通りです。

父：高倉永家
母：伊勢貞陸の娘
妻：仏光寺法印の娘
男子：高倉永孝（1560-1607）、貞増、光沢、亮賢
女子：正親町天皇勾当内侍、後陽成天皇勾当内侍、水無瀬氏成室、他

高倉永相は、激動の戦国時代を、公家としてだけでなく、時には政治的な決断を下しながら、自身の立場を維持しようとした人物でした。その生涯は、当時の社会情勢と深く結びついており、その行動は、戦国時代の複雑な人間関係や、権力闘争の一面を映し出しています。

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