高村光太郎賞

高村光太郎賞について

高村光太郎賞（たかむらこうたろうしょう）は、日本の著名な詩人であり彫刻家でもある高村光太郎を讃える美術賞です。この賞は1957年に設立され、詩の分野と造型の分野の両方で優れた作品を評価するためのものとして、詩と彫刻に特化した授賞式が行われました。この賞の設立は、高村光太郎全集の印税を資金源として発足し、高村光太郎記念会が運営を担当しました。

設立の経緯

高村光太郎賞の設立に関する最初の相談会は、1957年8月10日に開催されました。会議は東京都千代田区神田小川町にある筑摩書房の会議室で行われ、参加者には詩人や美術関係者が名を連ねました。特に、伊藤信吉や草野心平といった著名な詩人たちもその場にいました。翌月の9月10日には、この賞に関する公式な発表が行われ、草野心平が授賞規定の詳細について説明をおこないました。これにより、全国の詩人や芸術家たちに賞の存在が知られることとなりました。

選考委員の構成

初期の選考委員は、造型部門と詩部門で異なるメンバーが設けられました。造型部門の委員には、今泉篤男、木内克、菊池一雄などの著名な造型作家が名を連ね、詩部門では伊藤信吉、尾崎喜八、亀井勝一郎といった詩人が選定されていました。1958年2月8日には、最初の選考委員会が開催され、初めて具体的な作品の選定が行われました。

受賞歴

高村光太郎賞は1958年から1967年まで、約10年間にわたり授与されました。各年の受賞者は、造型部門と詩部門の両方でさまざまな優れた作品が選ばれ、その中には多くの著名な作家たちが含まれています。

• - 1958年

- 造型部門：柳原義達
- 詩部門：会田綱雄

• - 1959年

- 造型部門：豊福知徳
- 詩部門：山之口貘、故草野天平

• - 1960年

- 造型部門：佐藤忠良
- 詩部門：岡崎清一郎

• - 1961年

- 造型部門：向井良吉、白井晟一
- 詩部門：山本太郎、手塚富雄

• - 1962年

- 造型部門：舟越保武
- 詩部門：田中冬二

• - 1963年

- 造型部門：堀内正和、西大由
- 詩部門：高橋元吉、田村隆一、金井直

• - 1964年

- 造型部門：吾妻兼治郎、水井康雄
- 詩部門：山崎栄治

• - 1965年

- 造型部門：大谷文男、細川宗英、黒川紀章
- 詩部門：中桐雅夫

• - 1966年

- 造型部門：一色邦彦、篠田守男
- 詩部門：生野幸吉

• - 1967年

- 造型部門：建畠覚造、加守田章二
- 詩部門：中村稔、富士川英郎

事業の終了

しかし、1967年の第10回をもって高村光太郎賞は終了しました。運営していた高村光太郎記念会も、多くの貴重な文化遺産とそれに関連する事業を後世に伝えるために、他の形での支援を考えていくこととなります。彼の名を冠したこの賞は、今でも多くの詩人や芸術家たちにとって重要な存在であり、高村光太郎の業績を振り返る上で欠かせないものとなっています。

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