魯宗之

魯宗之（ろ そうし）

魯宗之（生年不詳 - 415年）は、東晋末期の軍人であり、字は彦仁（げんじん）と称しました。扶風郡郿県（現在の陝西省眉県一帯）を本貫とします。

生涯

太元年間末期、故郷を離れて襄陽に出た魯宗之は、各地の官職を歴任し、南陽郡太守にまで昇りつめます。義熙元年（405年）に兵を挙げると、楚の雍州刺史であった桓蔚（かんうつ）を攻撃し、襄陽を陥落させるという大きな戦果を挙げました。さらに、桓振（かんしん）の部将である温楷（おんかい）を柞渓（さくけい）で破るなど、その勢いは目覚ましいものでした。

紀南への進軍の際には桓振に敗北を喫したものの、劉毅（りゅうき）と劉道規（りゅうどうき）が江陵を陥落させたことで、桓振は撤退を余儀なくされます。魯宗之は追撃をかわし、この功績により輔国将軍・雍州刺史に任じられ、霄城県侯に封じられました。義熙6年（410年）には、桓謙（かんけん）・苟林（こうりん）が江陵に迫ると、魯宗之は軍を率いて江陵の救援に駆けつけます。劉道規に江陵の守備を委ね、劉道規が諸軍を率いて桓謙・苟林を撃破しました。これにより、魯宗之は平北将軍の号を受けました。

義熙8年（412年）には、劉裕（りゅうゆう）が劉毅を討伐すると、魯宗之は江陵で劉裕と合流し、共に戦いました。劉毅の兄である劉模（りゅうぼ）が襄陽に逃れると、魯宗之はこれを捕らえて斬首しました。同年6月には、鎮北将軍の号を受けています。義熙9年（413年）4月には、南陽郡公に封じられました。

しかし、魯宗之は劉裕の配下ではなかったため、度重なる軍功が、かえって劉裕に疎まれるのではないかという疑念を抱くようになります。義熙11年（415年）、司馬休之（しばきゅうし）と共に劉裕の討伐を受けることとなり、敗北すると後秦（こうしん）へ亡命しました。亡命後まもなく病没したと伝えられています。

子に魯軌（ろき）がいました。

伝記資料

『宋書』巻74 列伝第34
『南史』巻40 列伝第30

魯宗之は、東晋末期の混乱期において、地方勢力として台頭し、独自の勢力を築き上げました。しかし、劉裕という傑出した人物の台頭により、その勢力は徐々に衰退し、最終的には滅亡という結末を迎えることとなりました。彼の生涯は、当時の政治情勢や社会構造を色濃く反映していると言えるでしょう。

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