鷲山恭彦

鷲山恭彦について

鷲山恭彦（わしやまやすひこ）は、1943年 2月27日生まれの日本の文学者で、ドイツ文学とドイツ社会思想を専門としています。東京大学で文学修士号を取得後、教育者として新潟大学、東京学芸大学で教鞭を執り、東京学芸大学の第10代学長を務めました。また、教育者としての活動以外にも、公益社団法人大日本報徳社の社長や、松本亀次郎記念日中友好国際交流の会会長など、多岐にわたる分野で活躍しています。

生い立ちと学歴

静岡県小笠郡土方村で生まれた鷲山は、中学校時代に肺結核で1年間休学しましたが、静岡県立掛川西高等学校を経て東京大学に入学しました。大学卒業後は大学院人文科学研究科に進み、修士課程を修了しています。この時期に、彼は「いかに生きるべきか、何のために生きるのか」という問いに深く悩み、その探求の中でドイツ文学、特に教養小説に魅せられたことが、その後の研究テーマを決定づけました。

研究者としての活動

大学院修了後、鷲山は新潟大学教養部講師として研究生活をスタートさせました。その後、東京学芸大学に移り、教育学部で講師、助教授、教授と昇進を重ねました。その間、教育学部の主事や附属図書館の館長も務めました。2003年11月には東京学芸大学の学長に就任し、2010年3月までその任を務めました。学長退任後には、東京学芸大学の名誉教授の称号を授与されています。

また、2010年4月には国立大学法人奈良教育大学の理事に就任し、渉外・連携担当として同大学の運営に携わりました。さらに、国立青少年教育振興機構の監事も務めるなど、教育機関の運営にも深く関与しました。研究活動と並行して、大学評価・学位授与機構の客員教授も務めるなど、幅広い分野で活動を行っています。

社会活動

鷲山は、教育・研究活動と並行して、様々な社会活動にも積極的に参加しています。その一つが、掛川駅の木造駅舎保存運動です。「掛川駅木造駅舎を保存・活用する会」の会長として、駅舎の保存・活用に尽力しました。この活動は、国内外からも注目を集め、多くの方々から寄付が集まりました。

また、報徳運動にも深く関わっており、公益社団法人大日本報徳社では役員を務め、2018年3月には社長に就任しています。その活動が評価され、2015年には掛川市ボランティア等善行功労表彰を受けています。

研究テーマと教育観

鷲山の研究対象は、主にドイツ文学とドイツ社会思想です。彼は、ドイツの教養小説が主人公の自己形成を描く点に魅力を感じ、その研究を通して「記憶が深いということは、現代的な課題に対しても深く考察できる」と述べています。また、奈良教育大学の学生に対して、奈良の歴史を深く学ぶことの重要性を説き、歴史を学ぶことで現代の問題に対する考察を深めることができると強調しています。

掛川駅木造駅舎保存運動

掛川駅の木造駅舎は、1933年に建設されたものでしたが、老朽化と耐震性の問題から建て替えの計画が持ち上がりました。しかし、鷲山は「掛川駅木造駅舎を保存・活用する会」を設立し、会長として保存運動を主導しました。この運動は、地域住民の支持を集め、多くの寄付が集まりました。最終的には、駅舎の保存と活用が実現し、地域のシンボルとして再び輝きを取り戻しました。

この運動は、日本国内だけでなく、海外の専門家からも注目され、台湾や韓国からも視察団が訪れました。さらに、アメリカ合衆国特命全権大使のキャロライン・ケネディからもメッセージが寄せられるなど、国際的な関心も集めました。

家族とルーツ

鷲山家は、思想家や医師を多く輩出しており、祖父の鷲山恭平は報徳思想の普及に尽力しました。また、分家筋にあたる鷲山養斎も報徳思想を広め、医師としても活動しました。養斎の娘である吉岡彌生は、東京女子医科大学の創設者として知られています。

鷲山家の先祖は、「かごのはな」の屋号で蔵元を営んでおり、その銘柄「花の香」は土井酒造場によって復元され、限定で販売されています。

略歴

1943年：静岡県小笠郡土方村に生まれる
1970年：東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専門課程修士課程修了、新潟大学教養部講師
1975年：東京学芸大学教育学部講師
1984年：東京学芸大学教育学部助教授
1993年：東京学芸大学教育学部教授
1998年：東京学芸大学教育学部主事
2003年：東京学芸大学附属図書館館長、東京学芸大学学長
2010年：奈良教育大学理事、大学評価・学位授与機構評価研究部客員教授
2018年：大日本報徳社社長

受賞歴

2015年：掛川市ボランティア等善行功労表彰
2023年：瑞宝重光章

主な著作

『文学に映る歴史意識――現代ドイツ文学考』 (2013年)
『知識基盤社会における教員養成と人間形成』 (2011年)
共著：『誠心交隣に生きる――負の歴史を超えて』 (2016年)

外部リンク

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大学評価・学位授与機構
* 東京学芸大学

鷲山恭彦は、教育者、研究者、社会活動家として、多岐にわたる分野で活躍しています。彼の知識と経験は、多くの人々に影響を与え続けています。

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