龍造寺家晴

龍造寺家晴（りゅうぞうじ いえはる）

龍造寺家晴は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、肥前国佐賀藩の重臣として活躍しました。龍造寺四家の一つである諫早鍋島家（諫早氏）の初代当主としても知られています。

生涯

龍造寺鑑兼の子として生まれた家晴は、はじめ七郎左衛門、後に式部左衛門と称し、兵庫頭や上総介の官職にも任じられました。初めは家晴と名乗っていましたが、後に信重と改名しています。

元亀元年（1570年）に大友宗麟が佐賀城を攻めた際には、龍造寺軍の一員としてこれと戦いました。大友勢を退けると、家晴は小田から蓮池城に移り、筑後国との境を守備しました。天正7年（1579年）に龍造寺隆信が筑後を平定すると、家晴は南関に移り、肥後方面に備えました。

天正8年（1580年）の筑後国柳川城攻めでは、第三陣を率いて出陣しました。この戦いで、龍造寺氏に大恩があった蒲池鑑盛の嫡子・鎮漣を隆信が謀殺したことに不満を抱き、蒲池氏一族の蒲池貞久を家臣としています。天正12年（1584年）には柳川城主となりますが、その後の沖田畷の戦いで隆信が戦死し、龍造寺氏の勢力が動揺する中、大友宗麟勢の立花道雪、高橋紹運による侵攻を防ぎました。

主君・隆信の跡を継いだ龍造寺政家は、天正15年（1587年）の豊臣秀吉による九州平定に伴う国割り（九州国分）で、肥前7郡の所領を安堵されたものの、筑後の所領を没収されました。その結果、柳川城は立花宗茂に与えられ、家晴は所領を失います。しかし、家晴は秀吉に直訴し、九州平定に参陣しなかった肥前高来郡伊佐早領主・西郷信尚の所領を与えられることになりました。同年8月、家晴は自軍2,500騎と政家からの援軍1,000騎を率いて伊佐早を攻め、西郷信尚を島原に追放し、伊佐早を所領としました。この際、地名を諫早に改めたとされています。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、伏見城攻撃に参加した鍋島勝茂に従っていましたが、勝茂が途中で徳川方についたため、本国に戻り西軍と戦いました。

龍造寺氏の領国の実権を握った鍋島氏と龍造寺隆信の孫・高房との対立では、幕府からの呼び出しに応じ、龍造寺信周、龍造寺長信と共に上京し、鍋島氏への権力移譲を容認しました。

慶長18年（1613年）、家晴は亡くなり、諫早の天祐寺に葬られました。家督を継いだ嫡子・直孝は、龍造寺の名を憚り諫早へと改姓し、以後、諫早氏は龍造寺四家の一つとして幕末まで存続しました。また、長男の清直は「鷹屋入壷（後に入古）」と改名して毛利氏に仕え、子孫は長州藩士として存続しています。

人物

龍造寺家晴は、武将としての能力だけでなく、政治的な手腕にも長けていたと評されています。主君の死後、所領を失いながらも、秀吉に直訴して新たな所領を得るなど、その行動力は特筆されます。また、龍造寺氏の家臣でありながら、その後の諫早氏の基礎を築いた人物としても重要な存在です。

脚注

長崎県史編纂委員会 編『長崎県史』《藩政編》吉川弘文館、1973年12月10日。
『萩藩閥閲録』巻103「諫早清左衛門」

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