1954-1955シーズンのNBA

1954-1955 NBAシーズン：変革の年

1954-1955年のNBAシーズンは、リーグの歴史において重要な転換期となりました。このシーズンは、1954年10月30日に開幕し、1955年4月10日に全日程を終えました。

24秒の世界：ショットクロックの導入

このシーズン最大の出来事は、NBA史上最も重要なルールの一つである「ショットクロック（24秒ルール）」の導入です。ショットクロック導入以前のNBAでは、リードを奪ったチームがボールを保持し続けることが多く、試合展開が停滞していました。シュートを避ける傾向が強まり、1試合平均得点は79.5点まで低下し、エンターテイメント性が損なわれていました。

この状況を打破するため、シラキュース・ナショナルズのオーナー、ダニー・バイアーソンが考案した24秒ルールが導入されました。このルールでは、ボールを保持したチームは24秒以内にシュートを打たなければ、ボールの保持権が相手チームに移ります。リーグは当初この導入に消極的でしたが、オーナーたちの強い要望により、試験的な試合を経て導入が決定しました。

24秒という数字は、48分の試合時間で両チームが60回ずつ攻撃できるという計算に基づいて算出されました。このルールの導入により、試合のテンポは大幅に向上し、現代バスケットボールの魅力である攻守の素早い切り替えが確立されました。ショットクロックの導入は、NBAが発展していく上での大きな転換点となりました。

ショットクロックは、導入当初から電光掲示板で計測・表示され、ゴールの真上ではなくコートの隅に設置されました。NBAに遅れて2年後の1956年には、国際ルール（FIBA）でも30秒ルールとして採用されました。この出来事は、NBAがルールを改正し、他がそれを追随する先駆けとなりました。

選手会（NBPA）の結成

このシーズンには、選手会（NBPA）が結成され、初代会長にはボブ・クージーが就任しました。当時のNBAでは、日当や年金制度、サラリーの最低保障など、選手を保護するための法整備が不十分であり、平均サラリーは8000ドルでした。

NBPAは、北米4大プロスポーツリーグの中で最も古い労働組合です。他のプロリーグと比較して歴史の浅いNBAで選手会が早期に設立されたのは、NBAの選手数が少なく、選手間の繋がりが強かったためです。選手間の結束の強さは組織の強さに繋がり、NBPAは後にリーグと衝突を繰り返しますが、当時はリーグやオーナーから公式な組織として認められていませんでした。NBPAがリーグから公式な組織として認められるまでには、約10年の歳月が必要でした。

ドラフトとその他

1954年のドラフトでは、フランク・セルヴィがボルティモア・ブレッツから全体1位指名を受けました。また、ボブ・ペティット、ジーン・シュー、レッド・カー、ラリー・コステロ、リッチー・ゲーリン、チャック・ノーブル、ディック・ガーメイカーなども指名されました。

NBCによる試合の初放送も行われました。NBCとの契約は1962年まで続き、その後はABCが引き継ぎました。NBCによる放送は、1990年に再び復活しました。

シーズンのハイライト

オールスターゲームは2月18日にニューヨークで開催され、イーストが100-91でウエストを破り、ボストン・セルティックスのビル・シャーマンがMVPに選出されました。

ショットクロックの効果は数字にも表れ、チームの1試合平均得点は前シーズンの79.5点から93.1点へと大幅に増加しました。これは、NBAの歴史の中で最も劇的な変化の一つです。得点以外にも、FG試打数、リバウンド数、アシスト数も過去最高を記録しました。

ニール・ジョンストンは、3年連続の得点王に加え、リバウンド王にも輝き、NBA史上初の得点王とリバウンド王の二冠を達成しました。

ジョージ・マイカンが引退したミネアポリス・レイカーズは、チーム史上初めて勝率が6割を切りましたが、デビジョン2位につける健闘を見せました。

BAA時代からのチームであるボルティモア・ブレッツがシーズン中に解散し、チーム数は歴代最小の8にまで減少しました。

プレーオフとファイナル

ファイナルは、2年連続でファイナルに進出したシラキュース・ナショナルズと、デビジョン準決勝で王者ミネアポリス・レイカーズを破り、初のファイナル進出を果たしたフォートウェイン・ピストンズの間で争われました。シリーズは第7戦までもつれ込み、全試合が一桁点差、第4戦以外は5点差以内で決着が着くという激戦でした。最終的に、シラキュース・ナショナルズが92-91でフォートウェイン・ピストンズを破り、初優勝を果たしました。

しかし、この第7戦には八百長疑惑が付きまとっています。

ラストシーズン

以下の選手たちがこのシーズンを最後に引退しました。

フレッド・スコラリ
ジム・ポラード
ボブ・デイヴィス
ボブ・ナイト

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