1961年の日本競馬

1961年（昭和36年）の日本競馬界は、変革と発展の年でした。この年、競馬界では様々な出来事が起こり、後の日本競馬に大きな影響を与えることとなりました。馬齢は当時の表記である旧表記で記述します。

概要

1961年は、競馬の運営体制や施設面での変化が目立った一年でした。また、数々の名馬が誕生し、後のクラシック戦線を盛り上げることになります。

できごと

1月 - 3月

2月13日：中央競馬において、従来の銀座と梅田の2か所に加え、新宿、渋谷、浅草、京都の4か所の場外馬券売場で、開催翌日の払戻業務が開始されました。これにより、より多くの競馬ファンが払い戻しを受けやすくなりました。
2月22日：内閣の諮問機関である公営競技調査会が発足し、公営競技のあり方について議論が始まりました。調査会は、同年7月25日に「現行公営競技の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しない」という答申を内閣総理大臣に提出しました。これは、当時の公営競技に対する社会的な関心の高さを表す出来事でした。
2月25日：東京[[競馬場]]で、前年に完成したダートコースが初めて使用されました。これにより、新たな競走体系が構築されました。また、この日から中央競馬では重勝式勝馬投票券の発売が中止されました。
3月20日：社団法人中央競馬振興会が、競馬の発展を目的とした「競馬文化委員会」を設立しました。この委員会は、競馬関係者や有識者などが集まり、今後の競馬のあり方について議論を行いました。同日、群馬県競馬組合が設立され、地方競馬の組織化も進みました。
3月24日：中央競馬馬主協会連合会が設立され、馬主の連携が強化されました。

4月 - 6月

4月3日：中央競馬の払戻業務が新橋場外でも行われるようになり、さらに利便性が向上しました。
4月29日：新宿場外馬券売場で、100円連勝馬券の発売が中止され、1000円単位での発売のみとなりました。

7月 - 9月

7月20日：福島[[競馬場]]の3号スタンドが完成し、観客席の拡充が図られました。
9月5日：東京放送、ニッポン放送など民間放送各社により、民間放送競馬記者クラブが結成されました。これにより、競馬に関する報道体制が強化されました。
9月16日：第2室戸台風の影響で、京都競馬と東京競馬の一部開催が中止となりました。

10月 - 12月

10月8日：関東馬手連合のストライキのため、中山競馬の開催が中止となりましたが、翌日には解決しました。
10月20日：オリンピック東京大会の馬術競技施設建設のための臨時特例法が成立し、競馬会が協力することとなりました。
11月：ジョニー・ロングデンが東京[[競馬場]]で、保田隆芳騎手と併せ馬で騎乗供覧を行いました。
12月：エドワード・アーキャロが中山[[競馬場]]で、高橋英夫騎手と併せ馬調教を行いました。
12月15日: 中山[[競馬場]]で競走馬慰霊祭が行われました。

その他

福井県福井競馬場、宮崎県都城競馬場が廃止されました。

競走成績

中央競馬の主な競走

第21回桜花賞（阪神競馬場・4月2日）：スギヒメ（騎手：諏訪眞）
第21回皐月賞（中山[[競馬場]]・4月16日）：シンツバメ（騎手：野平好男）
第43回天皇賞（春）（京都[[競馬場]]・4月29日）：ヤマニンモアー（騎手：浅見国一）
第22回優駿牝馬（オークス）（東京[[競馬場]]・5月21日）：チトセホープ（騎手：伊藤修司）
第28回東京優駿競走（日本ダービー）（東京[[競馬場]]・5月28日）：ハクシヨウ（騎手：保田隆芳）
第2回宝塚記念（阪神競馬場・7月2日）：シーザー（騎手：伊藤修司）
第22回菊花賞（京都[[競馬場]]・11月19日）：アズマテンラン（騎手：野平好男）
第44回天皇賞（秋）（東京[[競馬場]]・11月23日）：タカマガハラ（騎手：加賀武見）
第6回有馬記念（中山[[競馬場]]・12月24日）：ホマレボシ（騎手：高松三太）

中央競馬・障害

第46回中山大障害（春）（中山[[競馬場]]・4月23日）：クニハヤ（騎手：加賀武見）
第47回中山大障害（秋）（中山[[競馬場]]・10月15日）：トサキング（騎手：瀬戸口勉）

表彰

年度代表馬：ホマレボシ
最優秀3歳牡馬：カネツセーキ
最優秀3歳牝馬：グンシン
最優秀4歳牡馬：アズマテンラン
最優秀4歳牝馬：チトセホープ
最優秀5歳以上牡馬：タカマガハラ
最優秀5歳以上牝馬：トキノキロク
最良スプリンター：ヘリオス
最優秀障害馬：トサキング
最優秀アラブ：ヤマジヨー

誕生

この年に生まれた競走馬は、1964年のクラシック世代となります。

競走馬

3月12日：カネケヤキ
3月19日：ハクズイコウ
4月2日：シンザン
4月20日：ウメノチカラ
4月28日：バリモスニセイ
不明：ボールドリック

人物

誕生

1月1日：藤岡健一（調教師、JRA）
1月8日：堀千亜樹（騎手、調教師、大井）
1月9日：佐藤雅彦（騎手、調教師、水沢）
2月13日：田中剛（騎手、調教師、JRA）
3月10日：蛯名利弘（調教師、JRA）
3月20日：矢作芳人（調教師、JRA）
3月22日：林正人（調教師、船橋）
5月25日：大橋勇樹（調教師、JRA）
7月22日：菅谷正巳（騎手、JRA）
8月5日：岡冨俊一（騎手、JRA）
9月14日：大西直宏（騎手、JRA）
10月5日：内田利雄（騎手、浦和）
11月25日：土肥幸広（騎手、JRA）
12月1日：原昌久（騎手、JRA）、森田直行（調教師、JRA）
12月16日：大森勇一（騎手、JRA）

死去

11月23日：サチカゼ(競走馬)

脚注

参考文献

一般社団法人中央競馬振興会『日本近代競馬総合年表』中央[[競馬ピーアール・センター]]、2018年。
『優駿』 2020年11月号通巻923号、中央[[競馬ピーアール・センター]]、2020年10月24日。
* 須田鷹雄「ニッポン競馬"外国"への開放!」56頁

注釈

出典

もう一度検索