1969年のテレビ (日本)
1969年（昭和44年）は、日本のテレビジョン放送において、多局化とカラー化が飛躍的に進んだ画期的な年でした。
この年の最も顕著な動きの一つは、地方における民放UHFテレビ局の大量開局です。実に19局もの新たな民放テレビ局が誕生し、特にこれまで民放テレビが1局しか視聴できなかった地域では、開局によって2局目の選択肢が増えた場所が13地域に及びました。
新規開局した局のうち、フジテレビ系列（クロスネットを含む）が11局を占めたことは特筆されます。1969年4月1日には、地方の民放UHF局が一斉に12局も開局。このうち8局がフジテレビ系のネット局であったことから、フジテレビはこの日を機に、平日帯番組の体制を大幅に改革しました。
また、フジテレビはこのUHF局の解放と新規開局を好機と捉え、系列の全国ネットワーク構築を強力に推進。同年4月にはFNS事務局を設置し、10月1日に番組供給ネットワーク「フジネットワーク（FNS）」が正式に発足しました。発足時には、この日開局した2局を含む国内外合わせて20局が加盟し、フジテレビのネットワーク体制を確立する基盤となりました。
テレビ放送のカラー化は、この年さらに加速しました。特にゴールデンタイム（19時から22時）では、在京キー局においてカラー番組の比率がモノクロを上回るまでに至ります。
多くの既存番組がカラー放送へと移行しました。NHKでは大河ドラマ『天と地と』が初のカラー作品となり、『土曜ひる席』や『おかあさんといっしょ』もカラー化。TBSでは『ザ・ガードマン』や『ロッテ 歌のアルバム』がカラーに、1967年から一部カラーだった『東芝日曜劇場』は9月24日から毎回カラー放送となりました。フジテレビの『夜のヒットスタジオ』や『銭形平次』、毎日放送・NET系（現テレビ朝日）の『がっちり買いまショウ』などもカラー化されています。
また、主要都市におけるニュースのカラー放送も相次いで始まりました。NHKは札幌、仙台、広島、松山、福岡でカラー化を進め、キー局ではフジテレビとNETが10月1日から、関西テレビも4月1日からニュースのカラー化を開始。これにより、報道取材におけるカラーフィルムの使用も一般化しました。
この年は、後に各局の看板番組となる新たなカラー番組が多数スタートしました。
NHK総合: 音楽特番として定着する『思い出のメロディー』が放送開始。
日本テレビ系: 高視聴率を記録した歌番組『NTV紅白歌のベストテン』、斬新なバラエティ『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』が登場。
TBS系: 国民的時代劇となった『水戸黄門』、そして公開バラエティの金字塔『8時だョ!全員集合』が放送開始。
フジテレビ系: 国民的ホームアニメ『サザエさん』、そして後の『世界名作劇場』に繋がる『カルピスまんが劇場』第1作『ムーミン』、人気スポ根アニメ『アタックNo.1』がスタート。
* NET系: 長寿クイズ番組『クイズタイムショック』、プロレス中継の代名詞となる『ワールドプロレスリング』が始まりました。
他にも、TBS系ドラマ『柔道一直線』、毎日放送系バラエティ『ヤングおー!おー!』、NET系アニメ『もーれつア太郎』、よみうりテレビ系アニメ『タイガーマスク』、TBS系ドラマ『サインはV』など、様々なジャンルのヒット番組が生まれました。
また、この年の5月にはサンテレビがプロ野球の完全生中継『サンテレビボックス席』を開始し、ローカル局の看板番組として定着しました。9月には公職選挙法改正に伴い、テレビでの政見放送が初めて実施されました。
技術面では、アポロ11号による人類初の月面着陸（7月21日）が衛星生中継され、多くの視聴者が歴史的瞬間に立ち会いました（月面からの映像はモノクロ）。また、8月6日にはインテルサット衛星を経由した日本とイギリス間のテレビ伝送が始まり、異なるテレビ方式間での変換技術が活用されました。NHK放送技術研究所では、当時世界最小のカラーカメラを開発し、レガッタ中継で初使用しています。
さらに、12月21日にはNHK総合テレビで日本初の音声多重放送（2か国語）の実験放送が開始されました。
年末には、TBSが『日本レコード大賞』を初めてカラーで生中継し、東京12チャンネル（現テレビ東京）も『にっぽんの歌』をカラー化して『なつかしの歌声・年忘れ大行進』として放送。NHKの『紅白歌合戦』もカラーで放送されました。
この年、NHKのテレビ受信契約数は2,188万件に達し、普及率は90%を突破しました。
視聴率では、TBSがゴールデンタイムで7年連続の首位を維持。NETが全日帯で在京民放局の首位となり、以後3年間連続する基礎を築きました。
業界では、前述のFNS発足に加え、テレビ回線運営センターが発足し、回線運用業務の一本化が図られました。経営面では、日本テレビの粉飾決算が発覚したり、日本経済新聞社が東京12チャンネルの経営に参加したりといった動きも見られました。
1969年は、UHF開局による多局化、急速なカラー化、そして人気番組の多様化が進み、後の日本のテレビ放送のあり方を決定づける重要な一年だったと言えるでしょう。
地方でのテレビ視聴環境の変化
この年の最も顕著な動きの一つは、地方における民放UHFテレビ局の大量開局です。実に19局もの新たな民放テレビ局が誕生し、特にこれまで民放テレビが1局しか視聴できなかった地域では、開局によって2局目の選択肢が増えた場所が13地域に及びました。
新規開局した局のうち、フジテレビ系列（クロスネットを含む）が11局を占めたことは特筆されます。1969年4月1日には、地方の民放UHF局が一斉に12局も開局。このうち8局がフジテレビ系のネット局であったことから、フジテレビはこの日を機に、平日帯番組の体制を大幅に改革しました。
また、フジテレビはこのUHF局の解放と新規開局を好機と捉え、系列の全国ネットワーク構築を強力に推進。同年4月にはFNS事務局を設置し、10月1日に番組供給ネットワーク「フジネットワーク（FNS）」が正式に発足しました。発足時には、この日開局した2局を含む国内外合わせて20局が加盟し、フジテレビのネットワーク体制を確立する基盤となりました。
カラー化の波及
テレビ放送のカラー化は、この年さらに加速しました。特にゴールデンタイム（19時から22時）では、在京キー局においてカラー番組の比率がモノクロを上回るまでに至ります。
多くの既存番組がカラー放送へと移行しました。NHKでは大河ドラマ『天と地と』が初のカラー作品となり、『土曜ひる席』や『おかあさんといっしょ』もカラー化。TBSでは『ザ・ガードマン』や『ロッテ 歌のアルバム』がカラーに、1967年から一部カラーだった『東芝日曜劇場』は9月24日から毎回カラー放送となりました。フジテレビの『夜のヒットスタジオ』や『銭形平次』、毎日放送・NET系（現テレビ朝日）の『がっちり買いまショウ』などもカラー化されています。
また、主要都市におけるニュースのカラー放送も相次いで始まりました。NHKは札幌、仙台、広島、松山、福岡でカラー化を進め、キー局ではフジテレビとNETが10月1日から、関西テレビも4月1日からニュースのカラー化を開始。これにより、報道取材におけるカラーフィルムの使用も一般化しました。
数々の人気番組が誕生
この年は、後に各局の看板番組となる新たなカラー番組が多数スタートしました。
NHK総合: 音楽特番として定着する『思い出のメロディー』が放送開始。
日本テレビ系: 高視聴率を記録した歌番組『NTV紅白歌のベストテン』、斬新なバラエティ『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』が登場。
TBS系: 国民的時代劇となった『水戸黄門』、そして公開バラエティの金字塔『8時だョ!全員集合』が放送開始。
フジテレビ系: 国民的ホームアニメ『サザエさん』、そして後の『世界名作劇場』に繋がる『カルピスまんが劇場』第1作『ムーミン』、人気スポ根アニメ『アタックNo.1』がスタート。
* NET系: 長寿クイズ番組『クイズタイムショック』、プロレス中継の代名詞となる『ワールドプロレスリング』が始まりました。
他にも、TBS系ドラマ『柔道一直線』、毎日放送系バラエティ『ヤングおー!おー!』、NET系アニメ『もーれつア太郎』、よみうりテレビ系アニメ『タイガーマスク』、TBS系ドラマ『サインはV』など、様々なジャンルのヒット番組が生まれました。
また、この年の5月にはサンテレビがプロ野球の完全生中継『サンテレビボックス席』を開始し、ローカル局の看板番組として定着しました。9月には公職選挙法改正に伴い、テレビでの政見放送が初めて実施されました。
技術の進歩と特別な放送
技術面では、アポロ11号による人類初の月面着陸（7月21日）が衛星生中継され、多くの視聴者が歴史的瞬間に立ち会いました（月面からの映像はモノクロ）。また、8月6日にはインテルサット衛星を経由した日本とイギリス間のテレビ伝送が始まり、異なるテレビ方式間での変換技術が活用されました。NHK放送技術研究所では、当時世界最小のカラーカメラを開発し、レガッタ中継で初使用しています。
さらに、12月21日にはNHK総合テレビで日本初の音声多重放送（2か国語）の実験放送が開始されました。
年末には、TBSが『日本レコード大賞』を初めてカラーで生中継し、東京12チャンネル（現テレビ東京）も『にっぽんの歌』をカラー化して『なつかしの歌声・年忘れ大行進』として放送。NHKの『紅白歌合戦』もカラーで放送されました。
視聴率と業界の動き
この年、NHKのテレビ受信契約数は2,188万件に達し、普及率は90%を突破しました。
視聴率では、TBSがゴールデンタイムで7年連続の首位を維持。NETが全日帯で在京民放局の首位となり、以後3年間連続する基礎を築きました。
業界では、前述のFNS発足に加え、テレビ回線運営センターが発足し、回線運用業務の一本化が図られました。経営面では、日本テレビの粉飾決算が発覚したり、日本経済新聞社が東京12チャンネルの経営に参加したりといった動きも見られました。
1969年は、UHF開局による多局化、急速なカラー化、そして人気番組の多様化が進み、後の日本のテレビ放送のあり方を決定づける重要な一年だったと言えるでしょう。
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