1972年カナダグランプリ

1972年のF1世界選手権第11戦、カナダグランプリが9月24日、モスポート・パークで開催されました。モントランブラン・サーキット閉鎖を受け、モスポート・パークが開催地となりました。サーキットは最新の基準にアップグレードされ、レースは80周で行われました。

予選では、マクラーレンがCan-Amでの経験を活かし、ピーター・レブソンがポールポジションを獲得、チームメイトのデニス・ハルムが2番手につけるなど、好調ぶりを見せました。3番手にはロニー・ピーターソンがつけました。一方、BRMのジャン＝ピエール・ベルトワーズとスポット参戦のビル・ブラックは後方グリッドからのスタートとなりました。また、ロータスはレイネ・ウィセルを起用、ティレルはフランソワ・セベールに新車006を用意するなど、各チーム様々な状況の中でのレースとなりました。サーティースはマイク・ヘイルウッドが他のレースへの参加を選択したため、2台のみの参戦となりました。テクノはデレック・ベルのみの参戦となりました。

決勝レース当日、朝は濃霧のためサポートレースがキャンセルされる事態に。予定時刻には霧が薄れましたが、ジャッキー・スチュワートが試走後にレース不可能と判断するなど、天候がレースを左右する展開となりました。しかし、エマーソン・フィッティパルディの試走後には奇跡的に霧が晴れ、レースは16時に開始されました。

レース序盤は、ピーターソンとスチュワートがトップ争いを展開。しかし、4周目にピーターソンがミスを犯し、スチュワートがトップに立ちました。その後方では、ジャッキー・イクスとレブソンが順位を争いました。ファイアストンタイヤを履くチームは、グッドイヤータイヤ勢に比べ、気温の低さから苦戦を強いられました。

54周目、ピーターソンがヒルと接触し、ステアリングを損傷。ピットインを試みましたが、ピットレーン逆走により失格となりました。また、チームメイトのニキ・ラウダもコース内での修理により失格となりました。

ピーターソンの失格により、レブソンとフィッティパルディが2位争いを展開。しかし、フィッティパルディはフロントノーズフィンが脱落し、ピットインを余儀なくされました。さらに、レガツォーニもスピンを喫し、ハルムとロイテマンに順位を譲りました。レース終盤、ロイテマンが燃料切れで順位を落とし、最終的にスチュワートが優勝、レブソンが2位、ハルムが3位でレースを終えました。

スチュワートはティレル・005での初勝利、フォード・コスワース・DFVエンジンの通算50勝目を達成しました。レブソンは初の2位、ハルムは3戦連続の3位となりました。ロイテマンは初のポイント獲得、レガツォーニが5位、エイモンが6位となりました。

この結果、ドライバーズランキング2位争いはスチュワートとハルム、コンストラクターズランキング2位争いはマクラーレンとティレルに絞られました。レブソンは初のポールポジションを獲得、ロイテマンは初の入賞、ブラックは最終出場となりました。ティレルは通算10勝、マクラーレンは初のポールポジションを獲得しました。フォード・コスワースは通算50勝を達成しました。

レース後、スチュワートの平均速度は183.901km/h、ファステストラップは彼の記録した1分15秒7でした。レースの大部分はスチュワートがリードし、ピーターソンは最初の3周のみトップを走行しました。

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