1975年の航空

1975年は、航空技術の進歩、国際協力の新たな展開、そして商業航空における動きが活発に見られた一年でした。世界情勢が大きく変化する中、航空分野もまた、記録への挑戦や新型機の登場、そして国際的な協力事業の成功といった様々な出来事を経験しました。

技術開発と新型機の誕生

この年の幕開けとなった航空関連の重要なニュースは、1月14日に発表されたアメリカ空軍の軽量戦闘機（LTW）プログラムにおける選定結果です。ジェネラル・ダイナミクス社の開発したF-16ファルコンが、ノースロップ社のYF-17との競争を制し、将来のアメリカおよび同盟国の航空戦力の主力となる道を切り開きました。

また、多くの新型機がこの年に初めて空へ舞い上がりました。1月24日にはフランスのアエロスパシアル社製ヘリコプター、SA 365Cが初飛行を遂げました。ソビエト連邦では、後の主力攻撃機となるスホーイSu-25の原型機T-9が2月22日に、短距離用旅客機ヤコブレフYak-42が3月7日にそれぞれ最初の飛行を行いました。日本では、国産初の超音速支援戦闘機となるF-1が6月3日に初飛行に成功しています。さらに、アメリカではマクドネル・ダグラス社の輸送機試作機YC-15が8月26日に、攻撃ヘリコプターAH-64アパッチが9月30日に空に昇りました。ソビエトの迎撃戦闘機MiG-31フォックスハウンドも9月16日にその姿を現し、初めての飛行試験を行いました。

技術的な偉業も達成されました。4月1日には、アメリカ空軍のR.スミス大尉がF-15イーグルを操縦し、高度30,000メートルまでわずか207.80秒で到達する驚異的な上昇時間世界記録を樹立しました。6月には、ソ連の女性テストパイロット、スベトラーナ・サビツカヤ氏がMiG-25の改良型Ye-133に乗り込み、時速2,683.45キロメートルという女性のための速度記録を樹立しました。超音速旅客機コンコルドは、9月1日に一日のうちに大西洋を2往復するというその高速性能を実証しました。

国際協力と宇宙への旅

国際的な航空宇宙分野での協力も進展が見られました。5月30日には、欧州各国の協力体制のもと、欧州宇宙機関（ESA）が発足しました。

この年の最も象徴的な出来事の一つが、7月15日から25日にかけて行われたアポロ・ソユーズテスト計画です。アメリカのアポロ18号とソビエトのソユーズ19号という二つの宇宙船が打ち上げられ、7月17日には地球周回軌道上で歴史的なドッキングを果たしました。この計画は、米ソ間の協力関係を示す重要な一歩となりました。

宇宙探査も引き続き行われました。ソ連は6月8日に金星探査機ベネラ9号を、アメリカは8月20日に火星探査機バイキング1号をそれぞれ目的地へ向けて送り出しました。

商業航空と安全に関わる出来事

商業航空の世界でも動きがありました。4月1日にはシンガポール空軍が設立されました。8月9日には、日本航空の出資により日本アジア航空が設立され、9月15日には東京と台湾の台北・高雄を結ぶ路線の運航を開始しました。

ソビエトの超音速旅客機ツポレフTu-144は、12月26日に郵便や貨物を運ぶ商業飛行を開始しました。これは超音速機による最初の商業運航となりました。

しかしながら、残念な事故や事件も発生しています。4月4日には、ベトナムからの避難者を乗せたアメリカ空軍の輸送機ロッキードC-5ギャラクシーがサイゴン近郊で墜落し、多くの犠牲者が出ました。8月3日にはモロッコのアガディール付近でボーイング707が墜落し、188人が命を落とす痛ましい事故（アガディール航空惨事）が発生しました。年末の12月29日には、ニューヨーク市のラガーディア空港メインターミナルで爆弾が爆発し、11人が死亡、75人が負傷しました。

航空関連の栄誉

この年に航空分野で功績を残した個人には、いくつかの賞が贈られました。ハーモン・トロフィーはハーバート・フィックス氏とマリオン・ライス・ハート氏が受賞しました。デラボー賞は、歴史的なアポロ・ソユーズテスト計画に貢献した5名の宇宙飛行士、アレクセイ・レオーノフ、トーマス・スタッフォード、ドナルド・スレイトン、ワレリー・クバソフ、ヴァンス・ブランドの各氏に贈られました。

1975年は、革新的な技術の進展、国家間の協調、そして宇宙への挑戦が見られた一方で、安全性の課題も浮き彫りになった、航空の歴史における重要な一年と言えるでしょう。

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