1980年の航空
1980年は、航空技術の進化、新しい事業者の登場、そして様々な航空機が関わる事件など、航空史において注目すべき多くの出来事が記録された年です。
年明け早々、長距離飛行における重要なマイルストーンが打ち立てられました。1月8日には、軽飛行機ムーニー231が8時間4分でアメリカ大陸横断を成し遂げ、サンフランシスコに着陸しました。さらに大規模な飛行として、3月12日から14日にかけて、2機のB-52ストラトフォートレスが給油を受けながら42.5時間で無着陸世界一周飛行を成功させました。また、2月にはアエロフロートのイリューシンIl-18が、モスクワから南極のモロジョージナヤ観測所まで約30,000kmという長距離を飛行しています。
ビジネスの世界では、航空会社の再編や新規設立が活発に行われました。1月16日には、ブリティシュ・アイランド航空とエア・アングリアが統合し、エア・UKが誕生。4月18日にはエア・ジンバブエが設立されています。秋に入ると、9月9日にはハワイを拠点とするアイランドエアーが運航を開始し、10月12日にはアメリカ合衆国でメサ航空が、12月19日にはニューヨーク・エアがそれぞれ運航を開始しました。企業買収も進行し、10月1日にはリパブリック航空がヒューズ・エア・ウエストの買収を完了させています。航空機の販売面では、3月28日にリアジェットの1,000機目が販売されるという実績を挙げました。
航空機の開発や運用においても様々な動きがありました。4月3日にはボンバルディア チャレンジャー600の試作機がモハーヴェ砂漠で墜落し、パイロットが命を落とす事故が発生しました。一方で、6月13日には超音速旅客機コンコルドの製造ラインで最後となる16機目がブリティッシュ・エアウェイズに引き渡されています。ヘリコプター産業では、6月に後のアグスタウェストランドとなるEuropean Helicopter Industriesが設立されました。革新的な技術への挑戦もあり、8月7日には太陽電池のみを動力源とするゴッサマー・ペンギンが、ポール・マクレディの設計のもと、ジャニス・ブラウンの操縦で3.2kmの飛行に成功しています。中国では、9月26日に国産ジェット旅客機開発を目指して上海航空機製造が試作したY-10が初飛行を果たしました。
この年は、不幸な航空事故も発生しています。6月27日には、イタビア航空のDC-9-15が高度約7620メートルを巡航中に原因不明の爆発を起こし、ティレニア海に墜落。乗員乗客81名全員が犠牲となる痛ましい事故（イタビア航空870便事件）となりました。5月1日にはノースカロライナ州でアメリカ海兵隊のハリアーが垂直離陸中に墜落炎上し、駐車場で多数の車両に被害を与えています。また、7月17日にはアライドエアのビッカース バイカウントがエンジントラブルに見舞われましたが、幸いにも着陸に成功しています。
国際情勢も航空に影響を与えました。9月22日にイラン・イラク戦争が開戦すると、航空機は重要な役割を担うことになります。10月20日には、イラク軍のMiG-21がイラン軍のF-4ファントムに撃墜され、この戦争における最初の空中戦が記録されました。
新たな長距離航空路線も開設されています。7月17日にはキャセイパシフィック航空が香港-ロンドン線を就航。12月7日にはパンアメリカン航空のボーイング747がニューヨークから東京経由で北京へ飛行し、1949年以来途絶えていたアメリカから中国本土への直行便が再開されました。大手航空会社の動きとしては、デルタ航空が11月12日にボーイング757を60機発注。これは当時の単一機種に対する最大の発注数として注目されました。一方、ブリティッシュ・エアウェイズは11月1日にコンコルドのバーレーンとシンガポール間の運航を停止しています。
イベントや賞も航空界を彩りました。7月6日にはイギリスのレスターでPopular Flying Associationの年次ミーティングが開催され、750機もの軽飛行機が集結しました。8月28日から31日には西ドイツで第3回World Rally Flying Championshipが開催されています。人力飛行の分野では、アメリカヘリコプター協会が人力ヘリコプターの達成基準を定めたシコルスキー人力ヘリコプター賞を設立しました。
この年、航空分野で功績を挙げた個人にも様々な賞が贈られています。ハーモン・トロフィーはカネロス・カネロプーロス、Anne Baddour、パー・リンドストランドが受賞。FAIゴールド・エア・メダルはAnn Welchに、イギリス飛行クラブ金賞は単発機での記録飛行を行ったJudith Chisholmに授与されました。
1980年は、商業航空の拡大、軍事における航空の役割、そして技術的な革新や挑戦が同時に進行した、多面的な一年であったと言えるでしょう。
年明け早々、長距離飛行における重要なマイルストーンが打ち立てられました。1月8日には、軽飛行機ムーニー231が8時間4分でアメリカ大陸横断を成し遂げ、サンフランシスコに着陸しました。さらに大規模な飛行として、3月12日から14日にかけて、2機のB-52ストラトフォートレスが給油を受けながら42.5時間で無着陸世界一周飛行を成功させました。また、2月にはアエロフロートのイリューシンIl-18が、モスクワから南極のモロジョージナヤ観測所まで約30,000kmという長距離を飛行しています。
ビジネスの世界では、航空会社の再編や新規設立が活発に行われました。1月16日には、ブリティシュ・アイランド航空とエア・アングリアが統合し、エア・UKが誕生。4月18日にはエア・ジンバブエが設立されています。秋に入ると、9月9日にはハワイを拠点とするアイランドエアーが運航を開始し、10月12日にはアメリカ合衆国でメサ航空が、12月19日にはニューヨーク・エアがそれぞれ運航を開始しました。企業買収も進行し、10月1日にはリパブリック航空がヒューズ・エア・ウエストの買収を完了させています。航空機の販売面では、3月28日にリアジェットの1,000機目が販売されるという実績を挙げました。
航空機の開発や運用においても様々な動きがありました。4月3日にはボンバルディア チャレンジャー600の試作機がモハーヴェ砂漠で墜落し、パイロットが命を落とす事故が発生しました。一方で、6月13日には超音速旅客機コンコルドの製造ラインで最後となる16機目がブリティッシュ・エアウェイズに引き渡されています。ヘリコプター産業では、6月に後のアグスタウェストランドとなるEuropean Helicopter Industriesが設立されました。革新的な技術への挑戦もあり、8月7日には太陽電池のみを動力源とするゴッサマー・ペンギンが、ポール・マクレディの設計のもと、ジャニス・ブラウンの操縦で3.2kmの飛行に成功しています。中国では、9月26日に国産ジェット旅客機開発を目指して上海航空機製造が試作したY-10が初飛行を果たしました。
この年は、不幸な航空事故も発生しています。6月27日には、イタビア航空のDC-9-15が高度約7620メートルを巡航中に原因不明の爆発を起こし、ティレニア海に墜落。乗員乗客81名全員が犠牲となる痛ましい事故（イタビア航空870便事件）となりました。5月1日にはノースカロライナ州でアメリカ海兵隊のハリアーが垂直離陸中に墜落炎上し、駐車場で多数の車両に被害を与えています。また、7月17日にはアライドエアのビッカース バイカウントがエンジントラブルに見舞われましたが、幸いにも着陸に成功しています。
国際情勢も航空に影響を与えました。9月22日にイラン・イラク戦争が開戦すると、航空機は重要な役割を担うことになります。10月20日には、イラク軍のMiG-21がイラン軍のF-4ファントムに撃墜され、この戦争における最初の空中戦が記録されました。
新たな長距離航空路線も開設されています。7月17日にはキャセイパシフィック航空が香港-ロンドン線を就航。12月7日にはパンアメリカン航空のボーイング747がニューヨークから東京経由で北京へ飛行し、1949年以来途絶えていたアメリカから中国本土への直行便が再開されました。大手航空会社の動きとしては、デルタ航空が11月12日にボーイング757を60機発注。これは当時の単一機種に対する最大の発注数として注目されました。一方、ブリティッシュ・エアウェイズは11月1日にコンコルドのバーレーンとシンガポール間の運航を停止しています。
イベントや賞も航空界を彩りました。7月6日にはイギリスのレスターでPopular Flying Associationの年次ミーティングが開催され、750機もの軽飛行機が集結しました。8月28日から31日には西ドイツで第3回World Rally Flying Championshipが開催されています。人力飛行の分野では、アメリカヘリコプター協会が人力ヘリコプターの達成基準を定めたシコルスキー人力ヘリコプター賞を設立しました。
この年、航空分野で功績を挙げた個人にも様々な賞が贈られています。ハーモン・トロフィーはカネロス・カネロプーロス、Anne Baddour、パー・リンドストランドが受賞。FAIゴールド・エア・メダルはAnn Welchに、イギリス飛行クラブ金賞は単発機での記録飛行を行ったJudith Chisholmに授与されました。
1980年は、商業航空の拡大、軍事における航空の役割、そして技術的な革新や挑戦が同時に進行した、多面的な一年であったと言えるでしょう。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。