1982年の鉄道

1982年の鉄道界：新時代の幕開け

1982年（昭和57年）は、日本の鉄道史において特に重要な出来事が相次いだ年として記憶されています。中でも、東北新幹線と上越新幹線という二つの新たな高速鉄道路線が開業したことは、日本の交通網に大きな変化をもたらしました。各地での新駅開業や路線の延伸、車両の世代交代など、全国的に鉄道ネットワークの整備と近代化が進められた一年でした。

新幹線の開業と拡大

この年の鉄道界最大のトピックは、新幹線の開業です。6月23日には、東北新幹線が大宮駅と盛岡駅の間で営業を開始しました。これにより、首都圏と東北地方の主要都市間の移動時間が大幅に短縮され、地域間の交流促進に貢献しました。続く11月15日には、上越新幹線が大宮駅と新潟駅の間で開業。日本海側の大都市である新潟への高速アクセスが実現し、冬期の輸送力強化にも寄与しました。これらの新幹線開業に合わせ、白石蔵王駅や上毛高原駅といった新駅が設置され、東北本線の東那須野駅は那須塩原駅に、磐城西郷駅は新白河駅にそれぞれ改称されるなど、関連する動きも見られました。燕駅と北三条駅の間に新たに誕生した燕三条駅は、弥彦線と上越新幹線の乗換駅として設置された点が特徴です。

広がる電化ネットワーク

幹線・地方交通線の電化も引き続き推進されました。5月には関西本線の八田駅と亀山駅の間が直流1500Vで電化され、既存の名古屋駅と八田駅間の電化区間と合わせて運用が開始されました。6月には境線の米子駅と後藤駅の間が電化。そして7月には、伯備線の倉敷駅と伯耆大山駅の間、さらに山陰本線の伯耆大山駅と知井宮駅（現在の西出雲駅）の間が一挙に電化され、山陰方面へのアクセスが大きく改善されました。これらの電化により、運行の効率化やサービス向上が図られました。

都市鉄道の発展

都市部では、地下鉄網の拡大が進みました。3月には札幌市営地下鉄東西線が白石駅から新さっぽろ駅まで延伸し、新たな駅が複数開業。福岡市では4月に地下鉄が一部開業・延伸を果たし、中洲川端駅などが誕生しました。名古屋市営地下鉄東山線も9月に高畑駅方面へ延伸し、新たな区間が加わっています。首都東京では、帝都高速度交通営団（現在の東京メトロ）半蔵門線が永田町駅から半蔵門駅まで延伸しました。国外では、ソウル市地下鉄2号線が総合運動場駅から教大駅まで延伸し、新たな駅が開業しています。

その他路線の動き

新線開業もいくつかありました。11月には山万ユーカリが丘線がユーカリが丘駅を起点に開業し、住宅地内の交通を担う鉄道として注目されました。名古屋鉄道の羽島線も12月に開業し、新羽島駅が設置されています。一方で、貨物輸送の合理化などにより、和歌山線貨物支線や五日市線貨物支線、東海道本線や桜島線の貨物支線などが廃止される動きも見られました。これに伴い、川端駅や大久野駅、大阪北港駅などの貨物駅や一部の旅客駅が廃止されたり、信号場化されたりしています。

新しい車両たちと世代交代

鉄道車両の分野では、多様な新型車両が登場しました。国鉄ではEF67形電気機関車や119系、203系電車などが開発・投入されました。私鉄でも小田急電鉄の8000形や京浜急行電鉄の2000形、京成電鉄の3600形など、各社が独自の車両を導入し、サービスの向上や近代化を進めました。これらの新型車両の登場は、古い形式車両の引退を意味します。国鉄のEF12形電気機関車や155系電車、小田急電鉄の2300形、京王帝都電鉄の2700系など、多くの形式がこの年までに姿を消しました。また、引退した車両が他の鉄道事業者へ譲渡され、新たな活躍の場を得る例も見られました。

この年の鉄道関連の出来事は、日本の経済成長と社会の変化を反映し、高速・大量輸送のニーズに応える新幹線の整備、都市化の進展に伴う都市鉄道の拡充、そして車両技術の進化と効率化への対応など、多岐にわたる動きが見られた年と言えます。また、箱根登山鉄道1000形電車がブルーリボン賞を、福岡市交通局1000系電車がローレル賞を受賞するなど、優れた新型車両が評価されています。1982年は、日本の鉄道が未来へと向かう重要な転換点の一つとなった年でした。

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