1983年の世界ラリー選手権

1983年世界ラリー選手権：アウディとランチアの激闘

1983年の[世界ラリー選手権]は、FIA世界ラリー選手権の第11回大会として、全12戦が開催されました。前年までのスケジュールを踏襲しつつ、ブラジルに代わりアルゼンチンが開催国として復帰するなど、細かな変更がありました。

このシーズン、チャンピオン争いはアウディとランチアという2大勢力が中心となり、白熱した戦いが繰り広げられました。

ランチア勢力の躍進： 前年チャンピオンのヴァルター・ロールは、マルティーニ・レーシングに移籍。新型のランチア・ラリー037を駆り、チームメイトのマルク・アレンと共にタイトル獲得を目指しました。ランチアは、その高い戦闘力とドライバーの巧みなドライビングで、マニュファクチャラーズランキングを常にリード。1970年代中盤以来となるタイトル獲得を成し遂げました。

アウディの挑戦： 対するアウディ・スポーツは、ハンヌ・ミッコラとミシェル・ムートンを擁し、アウディ・クワトロ A1（シーズン後半はA2にアップグレード）で挑みました。さらに、スティグ・ブロンクビストという将来のチャンピオンも起用するなど、強力な布陣を整えていました。アウディはシーズン前半こそランチアの後塵を拝しましたが、終盤4戦で3勝を挙げるなど驚異的な追い上げを見せ、最終的にはランチアを猛追しました。

ドライバーズタイトル争い： ドライバーズチャンピオンシップでは、ミッコラが4勝と7回の表彰台を獲得し、安定した成績を残して見事タイトルを獲得しました。チームメイトのブロンクビストも最終戦で勝利するなど活躍を見せました。一方、ムートンは期待通りの活躍ができず、ランキング5位に終わりました。ランチアのロールとアレンもポイントを獲得しましたが、ミッコラの勢いを止めることができませんでした。

その他のチーム： ロスマンズ・オペルは、アリ・バタネンとヘンリ・トイヴォネンというフィンランド人ドライバーを起用し、オペル・アスコナ 400で参戦。しかし、サファリラリーでのバタネンの勝利が唯一の表彰台となり、チームとしての戦績は振るいませんでした。

ランキングシステム： ドライバーズランキングは全戦の結果が反映されましたが、マニュファクチャラーズランキングは10戦のみがカウントされました。スウェーディッシュ・ラリーとラリー・コートジボワールは、ドライバーズタイトルのみを争うイベントでした。

まとめ： 1983年WRCシーズンは、アウディとランチアによる激しいタイトル争いが大きな特徴でした。ミッコラのドライバーズタイトル獲得、そしてランチアのマニュファクチャラーズタイトル獲得という結果に、多くのファンが興奮を覚えたことでしょう。新型マシンの投入や各ドライバーの個性あふれる走り、そしてチーム戦略など、このシーズンはWRCの歴史に刻まれる数々のドラマを生み出しました。

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