20世紀最後の真実

『20世紀最後の真実』は、ジャーナリスト落合信彦が1980年に発表したノンフィクション作品です。集英社から出版され、当時大きな話題を呼びました。

あらすじ

1980年、落合信彦は集英社の編集者とともに、南米チリへと飛び立ちます。目的は、第二次世界大戦後にチリへ逃亡したナチス党員の残党が、サンチアゴ郊外にコミュニティーを形成しているという情報をつかんだためでした。

取材のため、彼らは元ドイツ軍人で、現在もナチズムを信奉する人物の協力を得ます。その人物とともに車で現地へ向かい、コミュニティー「エスタンジア」にたどり着きます。しかし、取材は拒否され、強行突破しようとしたところ、拉致されそうになります。間一髪で駆けつけたチリ警察に救出されるという、危機的な状況でした。

その後、エスタンジアには、第二次世界大戦後に逃亡した元ナチス党員や軍人が多数居住していることが判明します。さらに、「高度な科学技術を持ち、UFOを製造している」という驚くべき情報も浮上します。「フリードリヒ」という人物によれば、「UFOは第二次世界大戦中にすでに試作機が完成しており、現在も製造、運用されている」とのことです。

解説

この本はノンフィクションとして出版されましたが、その内容は非常にセンセーショナルで、多くの議論を呼びました。著者である落合信彦は、当時、CIAなどの情報機関に多数の友人を持つ元オイルマンであり、世界を舞台に取材を行う「国際ジャーナリスト」として、学生やビジネスマンから絶大な支持を得ていました。

本書で描かれた「エスタンジア」は、後に「コロニア・ディグニダ」（現在のビジャ・バビエラ）という実在するドイツ人移民のコミュニティーであることが明らかになります。コミュニティーの主である元ナチ党員のパウル・シェーファーも実在の人物でした。

また、本書で著者がインタビューした元ナチス党員「フェニックス」の正体については、複数の説が存在しており、未だ特定されていません。

関連文献

落合信彦『20世紀最後の真実』集英社 1980年 ISBN 4-08-772280-5
落合信彦『20世紀最後の真実いまも戦いつづけるナチスの残党』集英社 1984年 ISBN 4-08-750738-6
マグナス・リンクレイター(著)、落合信彦（訳）『第四帝国』集英社 1985年、1989年
ラディスラス・ファラゴ(著)、寺村誠一（訳）『追及　マルチン・ボルマンとナチの逃亡者』早川書房 1977年
マイケル・バー＝ゾウハー(著)、広瀬順弘（訳）『復讐者たち』早川書房 1989年
[フレデリック・フォーサイス]、[篠原慎] 『オデッサ・ファイル』角川書店 1980年
矢追純一『ナチスがUFOを造っていたついに突き止めた超兵器の秘密』河出書房新社（KAWADE夢文庫） 1994年、雄鶏社 1994年
奥菜秀次『落合信彦破局への道』（第三章〜第七章）[鹿砦社] 2004年
『週刊新潮』　ワールドインシデント　2006年6月15日号
佐藤健寿『X51.ORG THE ODYSSEY』講談社 2008年
Mattern Friedrich UFOS Nazi Secret Weapon （Conspiracy Journal, 2008）
Christof Friedrich Secret Nazi Polar Expeditions （Samisdat, 1975）
Renato Vesco Intercept - but don't shoot: The true story of the flying saucers （Grove Press, 1971）
イロブラント・フォン・ルトビガー(著)、桑原恭男（訳）『ヨーロッパのUFO』ブイツーソリューション、星雲社 2007年
デビッド・マイケル・ジェイコブス(著)、ヒロ・M・ヒラノ（訳）『全米UFO論争史　大衆、UFO団体、メディア、科学者、軍人,政治家を巻き込んだ論争の軌跡』ブイツーソリューション、星雲社 2007年
横屋正朗『UFOはこうして製造されている!』徳間書店 1993年
ミゲール・セラノ(著)、小川捷之、永野藤夫（訳）『ヘルメティック・サークル　晩年のユングとヘッセ』みすず書房 1985年

外部リンク

Nazi UFOs confirmed by the History Channel
エスタンジア視察最終報告 - 「20世紀最後の真実」の真実とは
「20世紀最後の真実」 ― コロニア・ディグニダッドの実態が明らかにチリ

この作品は、落合信彦のジャーナリストとしてのキャリアを象徴する作品の一つであり、そのセンセーショナルな内容から長年にわたり議論の的となってきました。ノンフィクションという形式を取りながらも、陰謀論やSF的な要素が盛り込まれており、読み手を引き込む魅力を持っています。しかし、その内容の真偽については、様々な議論があります。現代においても、この作品は多くの人々に影響を与え続けていると言えるでしょう。

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