2007年の気象・地象・天象

2007年の気象・地象・天象の記録

2007年は、世界各地で異常気象や自然災害が多発した年でした。日本では記録的な暖冬から一転して春の低温、夏の猛暑と、気候変動が激しく、世界各地でも豪雨、干ばつ、地震、火山噴火などが相次ぎ、多くの人命と財産が失われました。

日本の天候

冬: 1949年と並ぶ記録的な大暖冬となり、都市部では冬日を観測しない場所もありました。しかし、晩冬から春先にかけては寒気が流れ込み、遅い雪や低気圧による暴風雨に見舞われました。
春: 寒暖の変動が激しく、3月下旬には記録的な高温となり、各地で夏日を観測しましたが、3月中旬と4月には寒気が南下し、低温となりました。東京都心では19年ぶりに4月に降雪を観測しました。
梅雨: ラニーニャ現象の影響は限定的で、梅雨入り、梅雨明けともに平年並みでした。
夏: 記録的な猛暑となり、8月には岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で国内最高気温40.9℃を観測しました。全国的に少雨で、年降水量は平年を下回りました。
秋: 記録的な暖秋となり、特に9月は太平洋高気圧が強く、残暑が長引きました。西日本では少雨傾向となり、渇水の影響も出ました。
11月・12月: 寒暖の変動が大きく、月平均気温は平年並みでしたが、冬型の気圧配置が弱く、気温は高めでした。

世界の天候

エルニーニョ現象: 1月から2月にかけてエルニーニョ現象が発生し、南米やアフリカ東部での豪雨、東南アジアの低温、北米やヨーロッパでの嵐など、各地で異常気象が見られました。
モンスーン: 南アジアではモンスーンによる豪雨や暴風雨が相次ぎ、インド、バングラデシュ、ネパールで甚大な被害が出ました。
オーストラリア: 年の前半は東部、後半は南部で記録的な干ばつが続きました。この干ばつは地球温暖化との関連性が指摘され、総選挙にも影響を与えました。
熱波: 5月ごろからラニーニャ現象が発生し、北大西洋振動の影響も加わり、南アジア、ヨーロッパ南東部、アメリカ中西部・南部、日本など北半球各地で熱波が襲来し、多数の死者が出ました。
干ばつ: アメリカ南部、南東部、中西部の一部、中国内陸部南部で干ばつが深刻化しました。一方、南半球では、南アフリカや南アメリカ南部に寒波が襲来し、大雪となりました。
洪水: アフリカでは長期の干ばつが続く地域がある一方で、集中豪雨や長雨に見舞われる地域も多く、西アフリカでは記録的な洪水が発生しました。
ハリケーン: 北アメリカや中米では、カテゴリー5のハリケーンをはじめ、勢力の強いハリケーンや熱帯性暴風雨による被害が発生しました。
極地の氷: 北極海の氷が縮小し、カナダ北方の「北西航路」から氷が消えたことが観測されました。

地震・火山

地震: 千島列島、ソロモン諸島、ペルー沖、スマトラ島沖などで海溝型の大地震が多発しました。イギリス、ノルウェー、アメリカ東部など地震の少ない地域でも地震が観測されました。東南アジア、オセアニア、日本、南アメリカ西部でM7～M8クラスの地震が相次ぎ、M8以上の地震も4回発生しました。ペルー地震では多数の死者が出ました。
火山: レユニオン島のピトン・ドゥ・ラ・フルネーズで過去最大規模の噴火が起こったほか、インドネシアや南米・中米などで複数の火山が噴火しました。イエメンのJabal al-Tair島では死者が出ました。

主な出来事

1月: インド北東部、ネパール、バングラデシュで寒波により約110人が凍死しました。北アメリカでは冬の嵐により交通網が麻痺し、85人以上が死亡しました。千島列島沖で強い地震が発生し、日本各地で津波を観測しました。マックノート彗星が非常に明るくなり、肉眼で見えるほどになりました。ヨーロッパでは低気圧キリルによる被害が発生しました。
2月: ジャワ島東部で豪雨による洪水が発生し、多数の死者が出ました。アメリカ・フロリダ州では竜巻により多数の死者が出ました。モザンビークではサイクロンや集中豪雨により多数の死者が出ました。ネパールでは観測史上初の降雪がありました。
3月: ヨーロッパでは暖冬による農産物価格の下落や害虫被害が深刻化しました。日本列島では記録的な高温となり、各地で夏日を観測しましたが、その後低温となりました。能登半島地震が発生し、石川県で震度6強を観測しました。インドネシア・フロレス島で土砂崩れが発生し、多数の死者が出ました。
4月: ソロモン諸島近海でM8.2の地震が発生し、津波により多数の死者・行方不明者が出ました。東京都心では19年ぶりに4月に降雪を観測しました。レユニオン島のピトン・ドゥ・ラ・フルネーズで過去最大級の噴火が起こりました。
5月: アメリカ中西部から南部にかけて竜巻が多発し、多数の死者が出ました。アフガニスタン北部で洪水が発生し、多数の家屋が全壊しました。ミャンマー南部では過去40年で最も強い豪雨が発生しました。
6月: インド北部・パキスタンで熱波により多数の死者が出ました。イラン南部ではサイクロン・ゴヌが上陸し、各地で甚大な被害が出ました。バングラデシュ南東部で豪雨による地滑りなどで多数の死者・行方不明者が出ました。
7月: 中国南部から中南部にかけて大雨が降り、多数の死者・行方不明者が出ました。アメリカ・カリフォルニア州では少雨が続き、森林火災予防のため、外での火の使用が制限されました。新潟県中越沖地震が発生し、新潟県と長野県で震度6強を観測しました。ヨーロッパ南東部では再び熱波に見舞われ、多数の死者が出ました。
8月: インド・ネパール・バングラデシュ各地で豪雨が続き、多数の死者・行方不明者が出ました。日本本土各地では猛暑となり、国内史上最高となる40.9℃を観測しました。ペルーでM8.0の地震が発生し、多数の死者が出ました。ギリシャでは森林火災が拡大し、多数の死者が出ました。
9月: 西アフリカ10カ国で洪水が発生し、多数の死者が出ました。スマトラ島沖でM8.4の地震が発生しました。欧州宇宙機関は、北極海の氷が縮小し、大西洋と太平洋を繋ぐ「北西航路」が開いたことを発表しました。ペルー南部では隕石が落下しました。
10月: カリフォルニア州南部で山林火災が発生し、一時50万人以上が避難しました。ホームズ彗星が大バーストを起こしました。ベトナム中部で大雨が続き、多数の死者が出ました。メキシコ南部では洪水が発生し、一時100万人以上が避難しました。
11月: ベトナム中部で大雨による死者が100人以上に達しました。バングラデシュではサイクロン・シドルが上陸し、約3,000人以上が死亡する甚大な被害が出ました。日本列島では寒気が南下し、山陰地方から北の日本海側で初雪を観測しました。
12月: 西マレーシアの東部やタイ南部で洪水が発生し、多数の死者が出ました。アメリカ中部・北東部・カナダ南部では冬の嵐により、多数の死者が出ました。スリランカ北東部やインドのタミルナドゥ州では大雨による洪水が発生しました。


2007年は、世界各地で異常気象や自然災害が多発し、その被害の大きさが際立った年でした。地球温暖化の影響も指摘され、今後の気候変動への対策が急務であることを改めて認識させられる出来事となりました。

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