2018 VG18

2018 VG18 (ファーアウト)

2018 VG18は、太陽系の最も遠い領域、いわゆる太陽系外縁部に位置する天体（太陽系外縁天体、TNO）の一つです。この天体は2018年、ハワイにあるすばる望遠鏡を用いた観測によって発見されました。発見したカーネギー研究所の観測チームは、暫定的な符号である2018 VG18の他に、「最も遠い」を意味する「ファーアウト（Farout）」という愛称でこの天体を呼んでいます。

発見の経緯

「ファーアウト」の存在が初めて確認されたのは、2018年11月10日に行われたすばる望遠鏡での観測時でした。この観測結果は、約1ヶ月後の12月17日に正式に発表されました。発見チームは、太陽系外縁部の未知の領域を探査する中で、この遠い天体を見つけ出しました。

軌道の特徴

「ファーアウト」は、太陽の周りを非常に長い周期で公転しています。その軌道長半径はおよそ95.2天文単位（au）に及び、太陽を一周するのに約929年半もの歳月を要します。軌道は大きく歪んだ楕円形をしており、軌道離心率は0.77という高い値を示しています。太陽に最も近づく近日点での距離は約22 auで、これは天王星の軌道のやや外側にあたります。一方、太陽から最も遠ざかる遠日点では、その距離は約168 auに達します。しかし、この天体の公転速度は極めて遅いため、その正確な軌道要素を詳細に決定するには、今後数年間の追加観測が必要とされています。

発見時の特異な位置

この天体が発見された当時、小惑星センターによれば、太陽からの距離はおよそ125 auから130 auの間にありました。これは、当時知られていた準惑星の中で最も遠方に位置していたエリス（太陽から約96 au）よりも相当遠く、一時的にではありますが、「ファーアウト」は既知の太陽系天体の中で最も太陽から離れた場所にある天体となりました。その距離は、太陽系外縁部を旅するボイジャー2号（当時の距離約119.4 au）やパイオニア10号（当時の距離約122.5 au）よりも外側でした。ただし、この最遠記録はすぐに更新されます。約2ヶ月後の2019年2月には、太陽からさらに離れた約140 auに位置する天体「2018 AG37」（通称「ファーファーアウト（FarfarOut）」）の発見が発表され、「ファーアウト」は既知の最遠天体ではなくなりました。

発見チームの取り組み

「ファーアウト」を発見した観測チームは、太陽から遠く離れた太陽系外縁天体を積極的に探索しており、他にもいくつかの重要な天体を発見しています。例えば、既知の天体の中で最も近日点距離が遠いとされる「2012 VP113」や、「プラネット・ナイン」の存在を示唆する軌道を持つ可能性が議論されている「2015 TG387」（通称ゴブリン）などが挙げられます。チームは、これらの極端に遠い天体の発見が、太陽系外縁部という未開の領域で何が起こっているのかを理解するための重要な一歩であると考えています。

物理的性質

すばる望遠鏡での最初の観測に続いて、チリのラスカンパナス天文台でも追加の観測が行われ、「ファーアウト」の明るさや色などの物理的な特徴が調べられました。観測データから、この天体はほぼ球形であると推定されており、その直径は約500キロメートル程度と見積もられています。これは、2015年に発見された別の天体「V774104」に匹敵する大きさです。また、「ファーアウト」はわずかにピンクがかった色をしていることが観測されています。一般的に、このような色は、天体の表面に氷成分が多く含まれていることを示唆する特徴の一つです。

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