2019年の世界ラリー選手権

2019年世界ラリー選手権：激動のシーズンと新たな王者

2019年のFIA[世界ラリー選手権]は、第47回大会として、1月のラリー・モンテカルロから10月のラリー・カタルーニャまで、全13戦の熱戦が繰り広げられました。当初はオーストラリアでの最終戦も予定されていましたが、深刻な森林火災の影響により、開催直前に中止という残念な結果となりました。

このシーズンは、ドライバーズ、コドライバーズ、マニュファクチャラーズの三つのタイトルを巡り、各チームがしのぎを削る激戦となりました。前年度王者、セバスチャン・オジェ/ジュリアン・イングラシア組（Mスポーツ・フォード）は、シトロエンに移籍。強力なライバルとしてトヨタのオィット・タナック/マルティン・ヤルベオヤ組が台頭しました。

トヨタの復活とヒュンダイの初制覇

最終的に、ドライバーズ/コドライバーズ選手権の栄冠を手にしたのは、トヨタ・ガズー・レーシングWRTのオィット・タナック/マルティン・ヤルベオヤ組でした。これはトヨタにとって、1994年のディディエ・オリオール以来25年ぶりのドライバーズタイトル獲得という快挙となりました。一方、マニュファクチャラーズ選手権では、ヒュンダイ・シェル・モービスWRTがトヨタを18ポイント差で抑え、初のタイトルを獲得するという歴史的瞬間を迎えました。

カレンダーの変遷とレギュレーション変更

2019年シーズンのWRCカレンダーは、当初14戦の開催が予定されていました。ヨーロッパ、中東、南北アメリカ、そしてオーストラリアと世界各地を舞台にラリーが展開される予定でしたが、オーストラリア戦の中止により、13戦に縮小されました。

FIAはWRCカレンダーの拡大を目指しており、2019年には14戦、将来的には16戦体制を目指すと発表していました。日本とチリでのラリー開催が検討されていましたが、ラリー・ジャパンの復帰は実現せず、2020年への延期となりました。チリでの開催が実現した一方、日本とケニアは2019年にテストイベントを開催しました。

レギュレーション面では、各ラリーのスペシャルステージ（SS）の合計距離が、従来の500kmから350kmに短縮されました。また、F1やMotoGPにならって、ドライバー固定のカーナンバー制度が導入されるなど、大きな変更が加えられました。年間テスト日数も削減され、各チームは年間42日のテストが許可されることとなりました。サポートカテゴリも再編され、WRC2プロクラスが新設されました。

チームとドライバーの移籍・変更

2019年シーズンは、チームとドライバーの陣容にも大きな変化がありました。シトロエンは参戦台数を減らし、Mスポーツ・フォードも同様の措置を取りました。ヒュンダイはチーム代表の変更を行いました。

ドライバーの移籍も目立ちました。セバスチャン・オジェ/ジュリアン・イングラシア組はMスポーツ・フォードからシトロエンへ移籍。エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組もトヨタからシトロエンに移籍しました。セバスチャン・ローブはヒュンダイと契約し、6戦に参戦。一方、ヘイデン・パッドンはシートを失うこととなりました。トヨタはシーズン途中でマーカス・グロンホルムやユホ・ハンニネン、勝田貴元を起用。ヒュンダイはアンドレアス・ミケルセンの不振を受け、ローブやクレイグ・ブリーンを起用するなど、各チームが状況に応じてドライバー変更を行いました。Mスポーツ・フォードも、テーム・スニネンやガス・グリーンスミス、ポンタス・ティデマンドらを起用しました。

シーズンを通して

2019年シーズンのWRCは、オーストラリア戦の中止というアクシデントに見舞われながらも、各チーム、各ドライバーが最後まで諦めずに戦い抜いた、非常にスリリングなシーズンとなりました。新たな王者誕生、チームの戦略、ドライバーの活躍、そしてレギュレーション変更など、様々な要素が絡み合い、記憶に残るシーズンとなりました。各ラリーの結果、WRC2 Pro/WRC2クラス優勝者、そして各選手権のポイントシステムとランキングの詳細については、公式ウェブサイトや関連資料を参照してください。

もう一度検索