2020年のドイツツーリングカー選手権

2020年ドイツツーリングカー選手権：激動のシーズンとレネ・ラストの栄冠

2020年の[ドイツツーリングカー選手権]は、シリーズ再開以来21回目のシーズンであり、大きな転換期となる年でした。まず、2011年以来となる2メーカーのみの参戦という状況が生まれたのです。アウディは前年に続き、タイトル防衛に挑みました。一方、アストンマーティンとRモータースポーツはシリーズから撤退。アウディにとっても、このシーズンはDTM参戦の最終年となり、フォーミュラEとカスタマーチームへの支援に注力していくことを発表しました。

さらに、この年は「クラス1」レギュレーションの最終シーズンでもありました。翌2021年からはGT Proレギュレーションが導入されることが決定しており、DTMは新たな時代へと突入しようとしていました。

そんな激動のシーズンにおいて、ドライバーズチャンピオンの座を射止めたのは、アウディのレネ・ラストでした。彼は見事2年連続、そして自身3度目のタイトルを獲得。チームメイトと共にアウディの栄光をさらに輝かせました。

参戦チームとドライバー：新たな顔ぶれと別れ

2020年シーズンには、アウディとBMWの2メーカーから複数のチームが参戦しました。全チームがハンコック製のタイヤを使用していました。

チームの変動としては、BMWがカスタマーチームを介して7台体制に拡大。16年以来遠ざかっていたARTグランプリがDTMに復帰しました。一方、アストンマーティンはシリーズ撤退を決定し、多くのドライバーに影響を与えました。

ドライバーの顔ぶれにも変化がありました。アウディスポーツ・チームWRTでは、前年まで活躍したドライバーに代わり、若手ドライバーが起用されました。インディライツチャンピオンのエド・ジョーンズやFIA F3ドライバーのファビオ・シェーラーなどが参戦予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でジョーンズは撤退、代わりにハリソン・ニューウェイが参戦するなど、予期せぬ事態も発生しました。

また、アバーディンはBMWに移籍。フィッティパルディはスーパーフォーミュラへの復帰が予定されていましたが、ハースF1チームのテスト、リザーブドライバーに就任しました。一方、元メルセデスドライバーのルーカス・アウアーはBMWで復帰を果たしました。

アストンマーティンの撤退により、同チームのドライバーたちはシートを失いましたが、フェルディナント・フォン・ハプスブルクはアウディに移籍しました。そして、元F1ドライバーのロバート・クビサがオーレン・チームARTからDTMにデビューするという、大きな話題も提供されました。

シーズン中の変更：新型コロナウイルスとスケジュール変更

2020年シーズンは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が大きな影響を与えました。当初発表されたカレンダーは、新型コロナウイルス感染症の影響により2度に渡り変更されました。

当初、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリがカレンダーから削除され、モンツァ・サーキットが代替開催地となりました。また、アンデルストープ・サーキットでのスウェーデンラウンドも新設されました。ゾルダー・サーキットがシーズン開幕戦、ホッケンハイムリンクは1ラウンドのみとなりました。さらに、ロシアラウンドがイゴラ・ドライブで開催される予定でした。

しかし、感染症拡大の影響で、シーズン前半は延期され、ロシアとスウェーデンのラウンドは中止。開幕戦のゾルダーは8月に延期され、他のレースも日程が変更されました。ノリスリンクでの開幕戦は、地方議会の決定により最終的にキャンセルとなりました。

ルールの変更：さらなるスリリングなレース展開へ

2019年に導入されたプッシュ・トゥ・パス・システムの効果を受け、その出力が倍増されました。DRSの使用制限も撤廃されました。これに伴い、エンジンの出力は若干減少。より戦略的なレース展開が期待されました。

また、高速衝突時の安全性を高めるため、ハイヨーリフトオフ（HYLO）システムが導入されました。燃料流量制限も変更され、燃料効率の向上が求められました。ハンコックはDTMタイヤパートナー契約を2023年まで延長することが発表されました。

レース結果とランキング

2020年DTMシーズンは、レネ・ラストの圧倒的な勝利と、新型コロナウイルス感染症によるスケジュール変更、レギュレーション変更など、多くの要素が絡み合った激動のシーズンとなりました。このシーズンは、DTMの歴史に新たな1ページを刻んだと言えるでしょう。詳細なレース結果やランキングについては、公式ウェブサイトなどを参照してください。

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