8P8C

8P8Cコネクタとは

8P8C（8 Position 8 Contact）コネクタは、主にLANケーブル（イーサネット）で使用される通信用のコネクタです。これは「8極8芯」を意味し、プラグとジャックの両方を含むモジュラーコネクタとして知られています。連邦通信委員会（FCC）のRegistered Jack（RJ）規格であるRJ45と互換性があります。

概要

8P8Cコネクタは、8つの接続位置を持ち、それぞれに導線が接続されています。用途としては、主にテレコミュニケーション系とネットワークコミュニケーション系に大別されますが、これらに限定されるわけではありません。

テレコミュニケーション系では、コネクタ側面にキーと呼ばれる突起があり、RJ45規格内ではRJ45(S)またはRJ45Kと表記されます。このタイプは、8芯の8P8Cではなく、2芯の8P2C構造となることがあります。

8P8Cモジュラーコネクタには、オスのプラグとメスのジャック（ソケット）の2つの形態があり、どちらにも8つのピンがあります。小型で着脱が容易なため、様々な古いコネクタを置き換えてきました。この背景には、通信に必要な電流や電圧が小さくなったことが影響しています。現在の技術では、一対の導線でも高度な情報伝送が可能であり、8P8Cコネクタの8ピンは通常用途には十分です。

コネクタの形状と寸法は、米国のAdministrative Council for Terminal Attachment（ACTA）によって、国家規格ANSI/TIA-968-Aで規定されています。この規格では8P8Cという用語は用いられていませんが、8つのピン位置にすべてピンが実装されているものを指します。

データ通信における応用（LAN、構内配線）については、国際規格IEC 60603のパート7-1, 7-2, 7-4, 7-5, 7-7で規定されています。これらの規格では、物理的な形状や寸法だけでなく、100MHz/250MHz/600MHzまでの高周波での性能やシールドの有無についても規定されています。

結線

8P8Cコネクタの結線は、一般的にT568AまたはT568B規格に従います。これらの規格は、TIA/EIA-568-Bに定義されています。

ケーブルの一端をT568Aで結線し、もう一端をT568Bで結線したものをクロスオーバーケーブル（またはクロスケーブル）と呼びます。

イーサネットでは、通常、カテゴリー5eまたはカテゴリー6ケーブルの両端に8P8Cプラグを結線して使用します。

利用

最も一般的な用途はイーサネットケーブルで、両端のプラグに8P8Cが使われ、結線はTIA/EIA-568-Bの規定に従います。このケーブルは、コンピュータをイーサネットルーターやスイッチングハブ、ケーブルモデム、DSLモデム、光回線終端装置などに接続するために使用されます。

10BASE-T/100BASE-TXでは、実際にデータの送受信に使用されるのは緑のペアと橙のペアのみです（TIA/EIA-568-B参照）。

その他、ISDNなどのネットワークサービスや、RS-232シリアルインタフェースにも8P8Cが使用されることがあります（EIA/TIA-561規格）。

中央の2つのピン（青のペア）は、電話信号に使われることが多いです。この結線により、RJ11などの下位規格のプラグを8P8Cジャックに挿入した場合でも機能するように工夫されています。

残りのペア（茶）は、Power over Ethernet（PoE）に使用されることが増えています。古い機器では、未使用のペアを短絡させて漏話を低減させようとする場合があり、PoEを使用する際に問題となる可能性があります。一部のルーターやスイッチでは、未使用の4本を給電に使用し、青のペアをプラス、茶のペアをマイナスとすることで、機器間の短絡による問題を回避する配慮がされています。

参考文献

ANSI/TIA-968-A: Telephone terminal equipment – Technical requirements for connection of terminal equipment to the telephone network (PDF)
IEC 60603-7-1: Connectors for electronic equipment - Part 7-1: Detail specification for 8-way, shielded free and fixed connectors with common mating features, with assessed quality
IEC 60603-7-2: Connectors for electronic equipment - Part 7-2: Detail specification for 8-way, unshielded, free and fixed connectors, for data transmissions with frequencies up to 100 MHz
IEC 60603-7-4: Connectors for electronic equipment - Part 7-4: Detail specification for 8-way, unshielded, free and fixed connectors, for data transmissions with frequencies up to 250 MHz
IEC 60603-7-5: Connectors for electronic equipment - Part 7-5: Detail specification for 8-way, shielded, free and fixed connectors, for data transmissions with frequencies up to 250 MHz
IEC 60603-7-7: Connectors for electronic equipment - Part 7-7: Detail specification for 8-way, shielded, free and fixed connectors, for data transmissions with frequencies up to 600 MHz

関連項目

コンピュータネットワーク
Registered jack
ツイストペアケーブル

外部リンク

How to wire a 10BaseT or 100BaseT connector with Category 5 cable and 8P8C modular connectors
How to create your own Ethernet Cables
TIA-968-A - ジャックとプラグの形状についての規定
Catalog page showing the difference between solid and stranded contacts (PDF)
Diagram of RJ45S 8P8Cと真のRJ45の違いを示している。
USOC RJ45S with programming resistor
RJ45 Pinouts and cables schematics (including network cables)

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