ATR (航空機メーカー)

ATR（Avions de Transport Régional）について

ATR（Avions de Transport Régional）は、1982年にフランスのアエロスパシアル（現エアバス・グループ）とイタリアのアエリタリア（現レオナルド S.p.A）という2つの航空機メーカーによって設立されたコンソーシアム（共同事業体）です。

概要

設立当初、アエロスパシアルとアエリタリアはそれぞれ別の企業でしたが、再編を経て、現在はエアバス・グループとレオナルド S.p.AがATRの株式を半分ずつ所有しています。

ATRは、ターボプロップ機であるATR 42と、そのストレッチ型であるATR 72の2機種に特化して製造を行っています。これらの機体は、エンジンやアビオニクスを改良し続けることで、常に高い完成度を維持しています。特に、同クラスのリージョナルジェット機と比較して燃費が良い点が特徴です。また、大型の貨物ドアを備えているため、貨物機としても利用できます。これらの特徴から、短距離路線や地方路線など、採算が取りにくい路線に最適な設計となっています。

機体には、グラスコックピットや炭素繊維強化複合材などの先進的な技術が採用されています。また、レオナルド S.p.Aは傘下にアグスタウェストランドを抱えており、同社が開発しているAW609とATR42-600Sは、空港設置が難しい離島航路市場で競合する可能性があります。

ATRは、競合機であるボンバルディアDHC-8-Q400シリーズからの乗り換えを狙い、リージョナル航空会社や大手航空会社の近距離路線向けに積極的に販売活動を行っています。その結果、カリビアン[[航空]]、アズールブラジル航空、トランスアジア[[航空]]、LOTポーランド[[航空]]、チェコ[[航空]]、日本エアコミューター、北海道エアシステム、天草エアライン、トキエアなど、世界中の多くの航空会社で採用されています。

かつてはターボファンエンジンを搭載したリージョナルジェットの生産も発表されましたが、後に計画は中止されました。

機体リスト

ATRが製造する主な機体は以下の通りです。

ATR 42
ATRが最初に共同開発した双発ターボプロップの近距離用旅客機です。座席数は42～52席で、1984年8月16日に初飛行しました。
ATR 72
ATR 42のストレッチ型で、座席数は64～72席です。1985年のパリ[[航空ショー]]で発表され、貨物機としても使用されています。
ATR 72ASW
レオナルド S.p.Aが改造した哨戒機です。

いずれの機体も最新型は「-600型」となっています。

日本での動き

2007年4月、ATR社の副社長が来日し、日本エアコミューターや全日本空輸などの航空会社や、北海道、沖縄県などの地方公共団体に対してATR機の魅力をアピールしました。同年6月には、アレーニア・アエロナウティカの親会社であるフィンメッカニカ社の社長兼CEOが来日し、ATR社の日本市場への本格参入を表明しました。

2012年10月10日には、スターフライヤーの支援を受けた地域航空会社リンクが、日本で初めてATR 72-600型機を導入すると発表しました。しかし、リンクが自己破産したため、実際に機体を受領することはできませんでした。

2012年12月12日、天草エアラインは、使用していたDHC-8-Q100型機の整備費用が増加することから、後継機としてATR 42を検討しました。その後、2014年7月22日にATR 42-600のリース契約を締結し、2015年第4四半期に機体を受領しました。これにより、天草エアラインが日本で初めてATR機を運航する航空会社となりました。

2013年12月11日には、オリエンタルエアブリッジが、保有するDHC-8-Q200型機の後継機として、ATR 42の導入を検討していることが報道されました。同型機の製造が終了したため、更新機材の有力候補として挙げられました。

2015年6月15日、日本エアコミューターはATR42-600型機8機を確定発注し、2017年4月26日から運航を開始しました。

2018年7月18日、北海道エアシステムはATR42-600型機3機（確定2機、オプション1機）を発注し、2020年4月12日から運航を開始しました。

2021年9月29日には、トキエアがATR72-600型機2機のリース契約を締結し、2023年8月下旬から運航を開始する予定です。

脚注

本記事の情報は、2023年11月時点のものです。

関連項目

ノルディック・アビエーション・キャピタル
航空機メーカーの一覧
エアバス

外部リンク

ATR社公式ウェブサイト（英語）
ATR社公式ウェブサイト（日本語）
ATR (@atraircraft) - X（旧Twitter）（英語）
ATR (atraircraft) - Facebook（英語）
ATR (@atraircraft) - Instagram（英語）
ATR - Linkedin（英語）
* ATRbroadcast - YouTubeチャンネル（英語）

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