GRPオールスター・ビッグ・バンド

GRPオールスター・ビッグ・バンド



GRPオールスター・ビッグ・バンドは、1980年代後半にGRPレコードの創設者であるデイヴ・グルーシンとラリー・ローゼンによって構想され、1992年にレーベル設立10周年を祝う記念事業の一環として具体化された、コンテンポラリー・ジャズ界における特筆すべきビッグバンド・プロジェクトです。

結成と初期の活動


GRPレコードが長年培ってきたフュージョンやスムーズジャズにおける実績を背景に、本格的なジャズ・オーケストラとして当時のレーベルを代表するミュージシャンたちが多数参加しました。彼らは、1950年代から1960年代にかけて親しまれたジャズの名曲に新たな編曲を施し、現代的なサウンドで蘇らせることを目指しました。このプロジェクトから生まれた最初の成果は、1992年にリリースされたアルバム『GRPオールスター・ビッグ・バンド・プレイズ・ジャズ・スタンダーズ』です。当初はレーベルの記念企画としての単発プロジェクトの予定でしたが、このアルバムが批評的にも商業的にも大きな反響を呼んだことから、バンドは活動を継続する運びとなりました。

世界ツアーとライブ作品


アルバムの成功を受け、GRPオールスター・ビッグ・バンドは1993年に世界ツアーを敢行しました。そのスタート地点となったのは、日本の東京・昭和女子大学人見記念講堂での公演です。このツアーの一環として、同年1月31日に東京・五反田ゆうぽうとにて行われた熱気あふれるライブの模様は、『ライヴ・イン・ジャパン!』としてアルバム化され、リリースされました。このライブ盤は、バンドの演奏力の高さを世界に知らしめる作品となりました。

その後の活動と栄光


ライブ活動と並行して、バンドは新たなレコーディングにも取り組みました。1994年には、ブルースをテーマにしたアルバム『オール・ブルース』を制作・発表しました。この作品では、ブルースという音楽ジャンルに対するバンドのアプローチが示されており、ゲストミュージシャンとしてブルース界の巨匠B.B.キングも参加するなど、多様な音楽性を取り入れる姿勢が見られました。

GRPオールスター・ビッグ・バンドの作品は、その質の高さからジャズ界で高く評価されました。特に、最初のスタジオ盤『GRPオールスター・ビッグ・バンド・プレイズ・ジャズ・スタンダーズ』とライブ盤『ライヴ・イン・ジャパン!』は、権威あるグラミー賞にノミネートされるという栄誉に浴しました。そして、ブルースを取り上げたアルバム『オール・ブルース』は、1995年のグラミー賞において「最優秀ラージ・ジャズ・アンサンブル・パフォーマンス」部門を見事に受賞し、バンドの活動は頂点を極めました。

主な参加ミュージシャン


このビッグバンドには、GRPレコード所属アーティストを中心に、ジャズ、フュージョン界のトッププレイヤーが数多く集結しました。主なメンバーは以下の通りです(アルバムや公演によって参加メンバーは変動する場合があります)。

トランペット: ランディ・ブレッカー、チャック・フィンドレー、サル・マーケス、アルトゥーロ・サンドヴァル、バイロン・ストリップリングなど
トロンボーン: ジョージ・ボハノンなど
サックス: エリック・マリエンサル(アルト)、ネルソン・ランジェル(アルト)、ボブ・ミンツァー(テナー)、アーニー・ワッツ(テナー)、トム・スコット(バリトン)など
フルート: デイヴ・ヴァレンティン、フィリップ・ベントなど
クラリネット: エディ・ダニエルズなど
ピアノ: デイヴィッド・ベノワ、チック・コリアラッセル・フェランテデイヴ・グルーシンケニー・カークランドなど
ヴィブラフォン: ゲイリー・バートン
ギター: リー・リトナーなど
ベース: ジョン・パティトゥッチなど
ドラム: デイヴ・ウェックルなど
パーカッション: アレックス・アクーニャなど

また、『オール・ブルース』には、チック・コリアラムゼイ・ルイス(ピアノ)、B.B.キング(ギター、ボーカル)、マイケル・ブレッカー(サックス)といった豪華なゲストミュージシャンも参加し、作品に彩りを添えました。

ディスコグラフィ


主要なアルバムとして、以下の作品があります。

『デイブ・グルーシン & GRPオール・スターズ - ライブ・イン・ジャパン』 (1980年) - Dave Grusin & The GRP All-Stars – Live In Japan
『GRPオールスター・ビッグ・バンド・プレイズ・ジャズ・スタンダーズ』 (1992年) - GRP All-Star Big Band
『ライヴ・イン・ジャパン!』 (1993年) - Dave Grusin Presents GRP All-Star Big Band Live!
* 『オール・ブルース』 (1995年) - All Blues

GRPオールスター・ビッグ・バンドは、短期間ながらもジャズ・フュージョン界の精鋭たちが一堂に会し、ビッグバンドという伝統的なフォーマットを通じて新たなジャズの可能性を追求した、記憶に残るプロジェクトとしてその名を刻んでいます。

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