He 72 (航空機)

ハインケル He 72 カデット

ハインケル He 72 カデット（Heinkel He 72 Kadett）は、1930年代にドイツで開発された単発の複葉練習機です。この機体は、航空機の基本的な操縦技術を学ぶための練習用として設計され、特にその操縦性の良さで知られています。

開発の背景

カデットは、1933年に設計が始まり、当時の公式の要求に沿った基本練習機として構想されました。設計には開放式のコックピットを持つ全金属製の胴体、支柱付きの尾翼、そして固定式の降着装置が採用されています。複葉機としての特徴を活かし、単桁の支柱が支えるスタッガード翼構造が特徴です。試作機には、アルグス As 8Bという出力104 kW（139 hp）の空冷エンジンが搭載されました。

初期の量産型であるHe 72Aは、同様のエンジンを搭載していましたが、その後の量産型では出力が112 kW（150 hp）に引き上げられたアルグス As 8Rが使用されました。He 72の主量産型はHe 72Bで、この機体はジーメンス・ハルスケ Sh 14Aという出力120 kW（160 bhp）の星型エンジンに変更されました。

He 72Bは、陸上機のHe 72B-1と双フロート式の水上機であるHe 72BW（ゼーカデット）としても生産されました。更に、民間仕様の発展型であるHe 72B-3（エーデルカデット）は、30機が製造されました。

運用の歴史

カデットは、ドイツ空軍が設立される以前に国家社会主義航空軍団に配備され、それ以降はドイツ空軍の基本練習機として広く運用されました。また、独立スロバキア空軍でも一部が攻撃任務に利用されるなど、多様な運用実績がある機体です。

主な派生型

• - He 72A: 初期量産型。
• - He 72B: 主量産型。
• - He 72B-1: 陸上機型。
• - He 72B-3（エーデルカデット）: He 72B-1の民間機型。30機が製造された。
• - He 72BW（ゼーカデット）: 双フロートの水上機型。試作機のみ。
• - He 172: NACAカウリングを装備したHe 72B。1934年に試作のみ。

諸元（He 72B-1）

• - 乗員: 2名
• - 全長: 7.50 m
• - 全高: 2.70 m
• - 翼幅: 9.00 m
• - 翼面積: 20.70 m²
• - 空虚重量: 540 kg
• - 最大離陸重量: 865 kg
• - 動力: BMW・ブラモ ジーメンス・ハルスケ Sh 14A 空冷星型エンジン（119 kW / 160 hp）× 1

性能

• - 最大速度: 185 km/h
• - 巡航速度: 170 km/h
• - 航続距離: 475 km
• - 実用上昇限度: 3,500 m

関連項目

• - ビュッカー Bü 131 ユングマン
• - デ・ハビランド DH.82 タイガー・モス
• - 九五式三型練習機
• - ボーイング・ステアマン モデル75

その発展と運用の歴史から、ハインケル He 72 カデットは練習機としての役割を果たし、航空技術の発展に寄与しました。このように、カデットはその性能と独特の設計により、1930年代の航空界において重要な位置を占めていました。

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