IAI アラバ

IAIアラバとは

IAIアラバ（ヘブライ語：עֲרָבָה）は、1960年代後半にイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ（IAI）によって開発された小型STOL（短距離離着陸可能）多用途輸送機です。この機体の名前は、ヨルダン地溝帯にあるアラバの谷に由来しています。アラバはIAIの初の主要な量産機であり、軍事および民間用途の需要に応えることを目的としていました。結局、アラバはさほど多くは生産されなかったものの、主に第三世界の国々に受け入れられました。

設計と開発

アラバの設計は1965年に始まりました。その設計思想には、短距離からの離着陸性能、不整地での運用、さらに20名の乗客や大きな荷物の積載能力が求められました。これらの要件を満たすために、アラバは独特な形状の機体設計となりました。

機体は、比較的太く、短い樽状の胴体を持ち、後部は横に開くドアを設けて荷物の積み降ろしを容易にしました。長い翼と、エンジンナセルから延びる2本のブームで支えられた尾翼のデザインが特徴です。降着装置には固定式の首車輪が採用され、機体の軽量化が図られました。動力には、プラット・アンド・ホイットニー・カナダのPT6A-27ターボプロップエンジンが828馬力で選定されました。

アラバの試作機は1969年11月に初飛行を果たしましたが、試作機2号機は主翼支柱のフラッターで破損しました。続く試作機の実験により、最終的に3号機が1971年に進空し、イスラエル空軍でも若干の運用がされました。特に1973年の第四次中東戦争では、3機が空軍によって徴発され、緊急搬送任務にあたりました。しかし、戦争後はすべての機体が返還され、1983年にわずか9機の購入に留まりました。

1988年までにアラバの生産は終了し、103機が製造され、そのうち70機は軍用向けでした。2004年、イスラエル空軍はアラバを退役させる決断をしましたが、以降も複数の国で現役のまま運用されています。

派生型

IAIアラバにはいくつかの派生型があります。以下に代表的なものを挙げます。

• - IAI 101：民間輸送機型
• - IAI 102：標準型で20名、VIP仕様で12名の乗客を搭載可能な民間旅客機型
• - IAI 201：軍用輸送機型
• - IAI 202：主翼が改良された長胴の改造型

これらの軍用型は、対潜戦やガンシップなどさまざまな任務をこなすために、具体的な武装の装備が可能でした。武装には、胴体側面に取り付けるガンパックや機関銃、さらにはロケット弾ポッドや魚雷など多様な選択肢があります。また、特に稀少な電子戦用のIAI 202B型は、主胴体に大型のレドームを装備し、電子戦関連機器が内蔵されています。

運用国

アラバは多くの国に販売され、特に中央アメリカや南アメリカ諸国で運用されました。その一部を以下に示します。

• - アルゼンチン：Gobierno de Tierra Del Fuego - Dirección Provincial de Aeronáutica
• - ボリビア：1975年から76年にかけて6機を購入、1機は外部に差押えられた。
• - カメルーン：Cameroon Air Force
• - コロンビア：1機運用中
• - エクアドル：2015年時点で3機を運用
• - エルサルバドル、ハイチ、ホンジュラスなど、多くの国で運用されました。

このように、IAIアラバは独自の特性と性能を活かし、蘇西オの軍事的・民間的なニーズに応える存在として多方面で活躍しています。

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