InterNIC

InterNIC (インターネットネットワークインフォメーションセンター) について

InterNICは、かつてインターネットのドメイン名とIPアドレスの割り当てを管理していた団体です。1972年から活動を開始し、インターネットの黎明期から重要な役割を果たしてきました。しかし、1998年9月18日にInternet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN) がその役割を引き継ぎ、InterNICとしての活動は終了しました。電子メール、FTP、そしてWorld Wide Webでは、internic.netというドメイン名でアクセスすることができました。組織の実体は時代によって、SRI（スタンフォード研究所）、ネットワーク・ソリューションズ、そしてAT&Tと変遷してきました。

用語について

InterNICは、アメリカ合衆国商務省の登録サービスマークであり、その使用はICANNにライセンス供与されています。

歴史

ARPANETとSRIのDDN NIC

初期のインターネット（ARPANET）の運営の中核を担っていたのは、カリフォルニアのスタンフォード研究所(SRI)に置かれたダグラス・エンゲルバートの研究室内のネットワークインフォメーションセンター (NIC)でした。1972年には、エリザベス・J・フェインラーがプロジェクトの研究責任者となり、Internet Assigned Numbers Authority (IANA) が番号を割り当て、NICがネットワーク全体にそれを公表するという形式になりました。RFC編集者でもあったジョン・ポステルがIANAの責任者を兼任し、1998年に亡くなるまでその役職を務めました。

ARPANETでは、各ホストに番号のアドレスの代わりに使える名前が割り当てられていました。新しいホストの所有者は [email protected] に電子メールを送信してアドレスを取得していました。NICからネットワークアドレスとホスト名の一覧である HOSTS.TXT というファイルが配布され、それを各ホスト上で手動でインストールしていました。しかし、ネットワークの拡大に伴い、この方式は非常に煩雑になってきました。その技術的な解決策として、ポール・モカペトリスによって設計されたDomain Name System (DNS) が導入されました。SRIに設置された Defense Data Network のNIC (DDN-NIC) は、トップレベルドメインであるmil、gov、edu、org、net、com、usを含むあらゆる登録サービスを担当していました。また、DDN-NICはルートサーバの管理も行い、1984年からはアメリカ国防総省との契約でインターネットの番号割り当ても行っていました。

ネットワーク・ソリューションズのDDN NIC

1990年、インターネットアーキテクチャ委員会は集中化されたNIC/IANAの構成を変える提案をしました。アメリカ国防情報システム局 (DISA) は、1972年からSRIで管理していたDDN-NICの管理・保守をGovernment Systems, Inc.に移管し、そこから下請けとしてネットワーク・ソリューションズが実際の運用を行うことになりました。1991年10月1日には、NICサービスがSRIのDECSYSTEM-20マシンから、ヴァージニア州シャンティリーに設置されたサン・マイクロシステムズのSPARCserver（OSはSunOS 4.1）に移管されました。

ネットワーク・ソリューションズ、AT&T、General AtomicsのInterNIC

1990年代に入ると、インターネットの利用は軍関係以外に広がり、アメリカ合衆国以外での拡大が顕著になってきました。そのため、アメリカ国防総省はmilドメイン以外の登録サービスへの資金提供を打ち切りました。1992年の競争入札を経て、1993年にアメリカ国立科学財団がアドレス割り当てを行うInternet Network Information Center、すなわちInterNICを創設し、3つの組織と運用契約を結びました。登録サービスはネットワーク・ソリューションズ、ディレクトリおよびデータベースサービスはAT&T、情報サービスはGeneral Atomicsが提供することになりました。しかし、General Atomicsはサービスの質が契約基準に達していないとして契約を打ち切られ、その機能はAT&Tが引き継ぎました。1998年3月31日、NSFとの契約期間が終了したことを受けて、AT&TはInterNICサービスから撤退しました。

ICANNのInterNIC

1998年には、IANAとInterNICがInternet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN) の管理下に置かれる組織改編が行われました。ICANNはアメリカ合衆国商務省との契約によりインターネット関連のいくつかの業務を行うカリフォルニア州の非営利団体です。DNSシステムの運用は民営化され、市場原理に任されていますが、名前の登録は入札ベースで請負契約され、集中管理されています。

ドメイン名の制限

1996年からネットワーク・ソリューションズは、ドメイン名に使用できない英単語の一覧を作成し、自動フィルターでそのような単語を含むドメイン名を拒否するようになりました。ドメイン名申請が拒否されると、その旨を記した電子メールが送られてきました。例えば、"shitakemushrooms.com" のようなドメイン名は拒否されましたが、"shit.com" というドメイン名は1996年以前に登録されていたため、現在も使用されています。最終的にネットワーク・ソリューションズは、わいせつな語を含んでいても人手で評価し、ケースバイケースでドメイン名として許可するように変更しました。このようなフィルタリングは、アメリカ政府が管理していた時代には行われておらず、ICANNが引き継いだ後も行われていません。

参考情報

• - Official InterNIC web site, Internet Corporation for Assigned Names and Numbers
• - "About the InterNIC", archived web page from April 1996
• - Interview by Marc Weber (September 10, 2009). “Oral History of Elizabeth (Jake) Feinler”. Reference no: X5378.2009. Computer History Museum. April 8, 2011閲覧。
• - Frode Hegland and Fleur Klijnsma. “Interview with Jake Feinler”. Invisible Revolution Web documentary. April 13, 2011閲覧。インタビューの動画

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