K3/4次列車

K3/4次列車：北京とモスクワを結ぶ国際列車

K3/4次列車は、中国の首都北京とロシアの首都モスクワを、モンゴルを経由して結ぶ長距離国際列車です。中国鉄路総公司北京鉄路局が運行を担当しており、その走行距離は約7,819kmに及びます。この列車は、中国、モンゴル、ロシアの3ヶ国をまたぎ、ユーラシア大陸を横断する旅路を体験できるのが特徴です。

概要

K3/4次列車には、ドイツ製の中国国鉄18系客車と19系客車が使用されています。列車は、豊沙線、京包線、集二線、モンゴル縦貫鉄道、シベリア鉄道を経由し、北京とモスクワの間を約6日間かけて走ります。中国発モスクワ行きはK3次列車、モスクワ発北京行きはK4次列車として運行されます。モンゴル国内ではそれぞれ003/004列車、ロシア国内では003З/004З列車と呼ばれます。

K3/4次列車の運行開始は1960年で、2020年までの60年間で総走行距離は地球1200周分にあたる5000万kmを超え、200万人以上の乗客を輸送してきました。その実績から、K3/4次列車は「中華第一車」とも称されています。

歴史

1958年、北京とモスクワを結ぶ直通旅客列車の運行が決定され、1959年6月4日に運行が開始されました。当初はソ連国鉄が運行を担当していましたが、1960年に中国国鉄に移管されました。運行開始当初は、政府関係者や代表団などの高級幹部が主な乗客で、列車は厳重に警備され、「神秘的東方列車」と呼ばれていました。

中ソ対立の時代にも運行は継続されましたが、1963年にはソ連側による中国人乗務員や乗客への理不尽な検査が行われるなど、トラブルも発生しました。また、中国国内では文化大革命の影響で、乗務員は外国人との会話や新聞の携帯を禁じられ、乗客の撮影も警戒されました。

ソ連崩壊後、中露関係は改善し、ロシアで商売をする中国人商人たちが増えました。2000年には、中国国内区間の列車番号が現行のK3/4次列車に変更されました。現在では、モスクワから北京を目指す欧米からの旅行者が多く利用しています。

列車編成

K3/4次列車には、1995年にドイツで製造された18系と19系客車が使用されています。これらの客車は緑色の塗装で、空調設備がなく、暖房は石炭ストーブを使用しています。これは、モンゴルやシベリアなどの寒冷地を通過するため、電気暖房よりも信頼性の高い石炭ストーブを採用しています。1年間のうち8ヶ月は暖房が使用され、北京～モスクワ間の1往復で平均5～6トンの石炭を消費します。

列車編成は、中国国内では13両編成で、硬臥車（2等寝台車）、高級軟臥車（特等寝台車）、食堂車、荷物車で構成されます。モンゴル、ロシア国内では、それぞれの国内区間用の硬臥車が追加連結されます。K3/4次列車は、中国とモンゴル・ロシアで軌間が異なるため、エレンホト駅で台車の交換が行われます。

時刻表

K3/4次列車は、北京発モスクワ行きが毎週水曜日の朝に北京駅を出発し、約6日と7時間でモスクワに到着します。モスクワ発北京行きは毎週火曜日の夜にモスクワのヤロスラフスキー駅を出発し、約7日と6時間で北京に到着します。ロシア領内はモスクワ時間が適用され、北京時間とは5時間の時差があります。

強盗事件

1990年代初頭、ロシアの経済混乱期には、K3/4次列車を利用して中国人が大量に荷物を持ち込み、ロシアで商売をしていました。しかし、それによって車内の治安が悪化し、1993年には強盗事件が発生しました。強盗グループは、乗客から金銭やパスポートを奪い、暴行を加え、中には強姦被害も発生しました。この事件は「中露列車大強盗」として報道され、中国公安が大規模な捜査を行い、犯人グループを逮捕しました。

事故

1984年10月には、北京行き4次列車が踏切でトラクターと衝突し、4人が死亡、列車が脱線する事故が発生しました。この事故を機に、中国政府は鉄道踏切の安全対策を強化しました。

K3/4次列車は、様々な歴史的出来事を経ながらも、現在も北京とモスクワを結ぶ重要な国際列車として運行を続けています。その歴史と文化に触れることができる貴重な体験となるでしょう。

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