STS-33

STS-33：ディスカバリーによる機密ミッションの全貌

STS-33は、アメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトルミッションであり、ディスカバリーがアメリカ国防総省のペイロードを放出するという、機密性の高い任務を遂行しました。これは、スペースシャトル計画全体で32回目のミッション、ディスカバリーにとっては9回目の飛行であり、国防総省の支援下で行われたミッションとしては5回目にあたります。その性質上、ミッションの詳細は多くが機密情報として扱われています。

ディスカバリーは、1989年11月22日午後7時23分（東部標準時）にケネディ宇宙センター第39発射施設Aから打ち上げられ、5日間と6分間のミッションを終え、11月28日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。

乗組員

このミッションを支えたのは、以下の5名の勇敢な宇宙飛行士たちでした。

船長：フレデリック・グレゴリー (2)
操縦手：ジョン・ブラハ (2)
ミッションスペシャリスト1：ソニー・カーター (1)
ミッションスペシャリスト2：ストーリー・マスグレーブ (3)
* ミッションスペシャリスト3：キャスリン・C・ソーントン (1)

（）内の数字は、その宇宙飛行士の宇宙飛行回数を示しています。

ミッションの背景

「STS-33」という名称は、元々チャレンジャー号爆発事故を起こしたミッション、STS-51-Lに与えられる予定だったものでした。事故後、NASAはスペースシャトルの26回目の飛行であり、事故後初のミッションとなったSTS-26以降のミッション番号を再利用しました。

当初、STS-51-Dにも搭乗したデヴィッド・グリッグスが操縦手を務める予定でしたが、1989年に航空機訓練中の事故で亡くなり、ミッションの徽章において、青地の上に一つの金色の星が描かれることで追悼されました。彼の代わりはジョン・ブラハが務めました。また、ミッションスペシャリストのソニー・カーターも、STS-42の飛行訓練中に1991年4月5日に商業機の事故で亡くなっています。

ミッションのハイライト

当初、STS-33は11月20日に打ち上げられる予定でしたが、固体ロケットブースターの点火と分離を制御する統合電子回路の問題により延期されました。このミッションは、スペースシャトル計画において3度目の夜間打ち上げとなり、1986年のチャレンジャー号爆発事故後、1988年にスペースシャトルの打ち上げが再開されてからは初めての夜間打ち上げとなりました。

ミッション中、ディスカバリーはUSA-48衛星を放出しました。専門家は、1985年のSTS-51-Cと同様に、この衛星はシギント（Signals Intelligence：信号情報）を行う秘密のマグナム衛星であり、対地同期軌道を目指したと推測しています。ABCニュースのジム・スレイドによれば、この衛星はソビエト連邦、中華人民共和国、その他の共産主義国からの軍事および外交情報を傍受することを目的としていました。この衛星は、STS-51-Cで打ち上げられ、インド洋上空に留まるために必要な燃料を使い果たした衛星の後継機としての役割を担っていました。

Aviation Week誌の報道によると、シャトルは当初、赤道上空204km×519km、軌道傾斜角28.45°の軌道に投入され、その後、軌道マヌーバシステムを3回燃焼させることで、高度519kmの円軌道である最終軌道に到達しました。

衛星は7周目で放出され、8周目で慣性上段ロケットのブースターを点火し、対地同期軌道へと投入されました。スペースシャトルに搭載された慣性上段ロケットによって打ち上げられた衛星は8機ありましたが、放出に成功したのはそのうち7機でした。

STS-33は、アメリカ空軍マウイ光学観測所の1.6m望遠鏡によって、ハワイ上空を通過する際に5回観測されました。Enhanced Longwave Spectral Imager (ELSI)によって得られたシャトルの分光および赤外線画像は、スペースシャトルの姿勢制御システムから排出されたガスと、軌道上の酸素や窒素の残骸との関係を研究するために撮影されました。

着陸は当初11月26日に予定されていましたが、着陸地点での強風のために1日延期されました。ディスカバリーは、1989年11月20日午後7時30分（東部標準時）に、5日間と6分間のミッションを終え、エドワーズ空軍基地に着陸しました。

まとめ

STS-33は、その機密性、夜間打ち上げ、そして乗組員の献身によって、スペースシャトルの歴史に深く刻まれています。技術的な遅延、衛星放出、観測活動、そして着陸の延期といった様々な出来事を通じて、このミッションは宇宙開発の複雑さと挑戦を物語っています。

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