STS-90

STS-90ミッションの詳細

STS-90は、1998年にスペースシャトル・コロンビアによって行われた16日間のミッションです。このミッションは、1983年のSTS-9で初飛行した欧州宇宙機関のスペースラブにとって、最後の飛行となりました。また、コロンビアが昼間に着陸した最後のミッションでもあります。

乗組員

船長: リチャード・シーアフォス（3度目の宇宙飛行）
操縦手: スコット・アルトマン（初の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト1: ダフィッド・ウィリアムズ（CSA、初の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト2: キャサリン・P・ハイヤー（初の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト3: リチャード・リネハン（2度目の宇宙飛行）
ペイロードスペシャリスト1: ジェイ・バッキー（唯一の宇宙飛行）
ペイロードスペシャリスト2: ジェームズ・パウェルチェイク（唯一の宇宙飛行）

バックアップ要員は以下の通りです。

ペイロードスペシャリスト1: アレクサンダー・ダンラップ（初の宇宙飛行）
ペイロードスペシャリスト2: 向井千秋（JAXA、2度目の宇宙飛行）

ミッションのハイライト

Neurolabミッション

このミッションの主要な目的は、Neurolabと呼ばれるスペースラブミッションで、微小重力が神経系に及ぼす影響を詳しく調査することでした。具体的には、以下のテーマに関する実験が行われました。

前庭系の適応
宇宙酔い
中枢[[神経系]]の適応
無重力下での位置知覚
発達中の神経系に対する微小重力の影響

この研究は、アメリカ航空[[宇宙局]]（NASA）の科学者マリー・アン・フレイが率い、6つの宇宙機関と7つのアメリカ国内の研究機関が共同で実施しました。9カ国から集まった研究者チームが、31の微小重力実験に取り組みました。参加機関には、アメリカ国立衛生研究所の6つの研究所、アメリカ国立科学財団、アメリカ海軍研究局、カナダ、フランス、ドイツ、日本の宇宙機関、そして欧州宇宙機関が含まれていました。

実験内容

Neurolabでは、人体で最も複雑で解明が進んでいない神経系を対象とした26の実験が行われました。ラット、マウス、コオロギ、ナメクジ、2種類の魚、そして乗組員自身が実験対象となり、神経系が宇宙でどのように発達し、機能するのかを理解することを目的としていました。カナダ宇宙庁、フランス国立宇宙研究センター、ドイツ航空宇宙センター、日本の宇宙開発事業団もNASAに協力しました。実験の大部分は、ペイロードベイ内のスペースラブで行われました。

その他のペイロード

Neurolab以外にも、以下のペイロードが搭載されました。

Shuttle Vibration Forces experiment
Bioreactor Demonstration System-04
3つのGet-Away Special (GAS) canister investigation

その他の注目点

STS-90は、上昇中にスペースシャトルの軌道制御システムが使用された最初のミッションでした。
7人の乗組員のうち3人（ウィリアムズ、パウェルチェイク、バッキー）は、カナダのテレビ番組「Popular Mechanics for Kids」に出演しました。
ミッション中に、軌道上の乗組員は地上のエンジニアと協力し、再生式二酸化炭素除去システムのバルブをアルミニウムテープでバイパスしました。これにより、ミッション短縮の危機を回避しました。
ミッションマネージメントチームは1日間のミッション延長を検討しましたが、科学界が延長を必要としないと判断し、また着陸予定日以降の気象条件の悪化が予測されたため、延長は見送られました。
ミッションスペシャリストのキャサリン・P・ハイヤーは、ケネディ[[宇宙センター]]の職員として初めて宇宙飛行士候補に選ばれました。
また、STS-90は、固体ロケットブースターにコウモリが張り付いたまま飛行した、初めてのスペースシャトルミッションとして知られています。同様の現象は、STS-119でも発生しました。

スペースラブの歴史

スペースラブは、1983年から1998年までの間に16回のミッションで利用されました。STS-90はスペースラブの最後の飛行となりましたが、そのパレットは国際[[宇宙ステーション]]でも引き続き利用されています。

参考情報

NASA mission summary (ウェイバックマシンによるアーカイブ)
* STS-90 Video Highlights (ウェイバックマシンによるアーカイブ)

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