Tフォント

Tフォントは、東京大学大学院情報学環・学際情報学府によって開発された、膨大な数の漢字を収録した大規模文字セットを持つ日本語フォントです。このフォントは、「Tフォントプロジェクト」の一環として、GT明朝との互換性を重視して開発されました。GT明朝と同様に、歴史上に存在する漢字を可能な限り収録することを目標としています。

概要

Tフォントは、GT明朝との互換性を持つため、収録されている漢字はGT明朝と同じ「GT文字セット」を採用しています。フォント名の末尾が「01」となっているものは、JIS X 0208に対応しています。それ以外のフォントは、漢字部分のグリフがそれぞれ異なっており、Unicodeとの互換性はありません。この仕組みは、「見た目のグリフを変化させる」ことで、基本多言語面しか表示できない環境でも多くの漢字を表示できるように工夫されています。この技術により、日本語における異体字や、中国の古典文献である漢籍をコンピュータ上で扱えるようになりました。収録されている漢字の中には、『大漢和辞典』や『康熙字典』に収録されているものも含まれています。

GT書体との主な違い

バージョン1.00（2011年2月時点）では、全てのフォントファイルを合計すると、GT書体と同様に78,675字が収録されています。さらに、GT書体よりも多くの記号が収録されており、JIS X 0212やIBM拡張文字の非漢字部分を全て表示可能です。また、JIS X 0213に収録されている記号の一部も収録されており、丸数字、ローマ数字の大部分、ラテン文字を囲み文字にしたものなどが対応しています。

今後のバージョンでは、宋明異体字、古文字釈文、甲骨整理、甲骨文字の収録が予定されており、整備が完了したものから順次リリースされます。

「漢字を中心に多数を収録した大規模文字セット」として、書体のバリエーションが多いことも特徴です。GT明朝と同様に明朝体（セリフ）に加え、ゴシック体（サンセリフ）と楷書体も同梱されており、収録文字種はそれぞれ同じです。

ライセンスについては、GT書体が非営利目的でのみ利用可能なのに対し、Tフォントは営利・非営利を問わず利用できます。ただし、再配布は非営利目的に限定され、出所と権利標記の表示、および無改変での配布が条件となります。私的利用の範囲であれば、改変は自由です。

また、Tフォントは、Windows版のOpenType（TrueTypeベース）形式に加え、BTRON版のBTRONフォント形式にも対応しています。

脚注

日本語フォントの比較
漢字文化圏

関連項目

日本語フォントの比較
漢字文化圏

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