TGV POS

TGV POSについて

TGV POS（テジェヴェ・ペーオーエス）は、フランス国鉄（SNCF）が提供する高速鉄道車両であり、主にフランスとドイツ、スイスを結ぶ国際列車として活躍しています。この車両は2006年と2007年の間に導入され、特にLGV東ヨーロッパ線を通じてドイツやスイス方面への直通運行を目的に設計されました。「POS」という名前は、ドイツ語で「パリ・フランス東部・ドイツ南部」を意味するParis-Ostfrankreich-Süddeutschlandの頭文字に由来しています。

編成概要

TGV POSの編成は、384000形と呼ばれ、両端に2両の動力車、中心に8両の連接客車を配置した合計10両から構成されています。編成の長さは200.190メートル、幅は2,904ミリメートル、重さは空車時で383トンに達し、最高速度は320 km/hに設定されています。またSNCF、DB、スイス国鉄の異なる電化方式に対応するため、交流・直流の3つの電源方式に対応しているのも特長の一つです。

TGV POSの動力車は、流線型のデザインを持ち、運転台は車両の中央に配置されています。車両の構体は、従来の鋼製からアルミ合金製に変更されており、軽量化が図られています。制御方式には最先端のVVVFインバータ制御が採用され、主電動機も改良されています。これにより、主電動機の出力は1基あたり1,160 kW、編成全体で9,280 kWに達しました。

拡張された電圧範囲に適応するため、POS編成は従来のTGVよりも大きな変圧器を搭載しており、これにより15,000 V 16.7 Hz区間での出力は6,880 kWまで向上しています。この改良により、特に急勾配のある区間での走行能力が向上しました。

最新技術とコンフォート

動力車は、従来の発電ブレーキや電磁自動空気ブレーキに加えて回生ブレーキを装備しており、ブレーキ性能が向上しています。客車は、内装が改良されたRéseau編成から転用され、具体的には一等車が3両、二等車が4両、そして二等座席とバーの合造車が1両配置されています。

保安面においては、最先端のETCS Level2を搭載しており、既存の保安システムと連動することも可能です。

運用状況

TGV POSは、2009年の時点で、パリ東駅からLGV東ヨーロッパ線を経由してドイツのシュトゥットガルトやミュンヘンへ、またパリ・リヨン駅からスイスのバーゼルやチューリッヒへと運行されています。2007年6月10日のLGV東ヨーロッパ線開業時には4本が営業運転に加えられ、その後19本が整備されました。これらはパリ東郊のパンタンに位置する東ヨーロッパ車両基地に配置されています。

世界最高速度記録

特筆すべきは、TGV POSの第4402編成が2007年に行った試験運行において、鉄輪式の世界最高速度574.8 km/hを達成したことです。この記録は「V150プロジェクト」によって樹立されたものであり、車両の改良、特に空気抵抗を減少させる数々の工夫が奏功しました。そのため、この編成は非常に注目されています。

総じて、TGV POSは速度、快適さ、技術革新の総合的な象徴として、国際高速鉄道の重要な役割を果たし続けています。

もう一度検索