YM2151
ヤマハ株式会社（現：ヤマハ）が1983年に、当時主流となりつつあったFM音源技術を用いて開発したサウンドチップが、YM2151です。通称「OPM」とも呼ばれるこのICは、4つのオペレータと8音の同時発音機能を持ち、複雑で豊かな音色を生成することが可能でした。当初は同社のMSXパソコン向け、特に専用シンセサイザー拡張ユニット「SFG-01」に搭載され、パーソナルコンピュータでの音楽表現を革新しました。
YM2151は、その表現力の高さから、1980年代中盤から1990年代前半にかけて、特にアーケードゲーム市場で広く普及しました。1984年の米アタリ製ゲーム「マーブルマッドネス」がアーケードゲームとしては初めてこのチップを採用したことで注目を集め、その後は日本の主要なゲームメーカー各社が開発するシステム基板の標準的なサウンドチップの一つとなります。セガのシステム16やナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）のSYSTEM II、コナミ（現：コナミアミューズメント）のTWIN-16など、多くの名作ゲームを生み出したハードウェアにYM2151は搭載されていました。
家庭用コンピュータの分野でも、YM2151は重要な存在でした。シャープのX1turboシリーズに内蔵されたり、拡張ボードとして提供されたほか、特に高性能ホビーパソコンとして知られるシャープX68000シリーズには標準搭載され、その強力なサウンド機能の中核を担いました。本ICのパッケージは24ピンDIP形式でしたが、現在は既に生産が終了しています。
YM2151の音声出力はデジタル信号のため、実際に音として出力するにはD/Aコンバータが必要です。ステレオ出力の場合はYM3012、モノラル出力の場合はYM3014といった対応するD/AコンバータICと組み合わせて使用されました。
技術的な面では、いくつかの特徴や課題がありました。YM2151は本来3.58MHzの動作クロックを想定していましたが、例えばX680x0シリーズでは4MHzで動作するなど、設計値と異なるクロックで使用されるケースが見られました。クロックが異なると、チップが生成する音程がずれてしまうため、正しい音程を得るには内部レジスタのパラメータ調整が必要でした。しかし、この調整を行っても、基準クロックである3.58MHz環境での出力と完全に同じ音が得られる保証はありませんでした。さらに、当時のコンピュータ周辺ICとしては珍しく動作速度が遅く、特にゲームプログラムなどでのリアルタイム制御においては、プログラマが扱いに苦労する要因ともなりました（これはヤマハ製FM音源チップであるYM2203などにも共通する課題でした）。
YM2151のサウンドチップとしての評価は、立場によって異なりました。例えば、タイトーのサウンドクリエイターである石川勝久氏は、インタビューの中で、同じヤマハ製のFM音源チップであるYM2203と比較してYM2151が高価だったため、タイトーにおいては採用できる機会が限られていたと述べています。これは、YM2151の高性能が、必ずしもコスト面での優位性を持っていたわけではないという当時の状況を示唆しています。
YM2151は、数多くのアーケードゲームでその特徴的なサウンドを響かせました。以下に、代表的な搭載ゲームの一部を挙げます。
セガ:
ファンタジーゾーン、カルテット、SDI、エイリアンシンドローム、アレックスキッド、テトリス、ソニックブーム、獣王記、ゴールデンアックス、忍 -SHINOBI- など
ナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）:
スカイキッドDX、イシターの復活、源平討魔伝、ローリングサンダー、サンダーセプター、ドラゴンスピリット、メルヘンメイズ、妖怪道中記、ワルキューレの伝説、オーダイン、パックマニア、ギャラガ'88、バーニングフォース など
コナミ（現：コナミアミューズメント）:
沙羅曼蛇、ライフフォース、WECル・マン24、魂斗羅、SUPER魂斗羅、魔獣の王国、A-JAX、グラディウスII、グラディウスIII、サンダークロス、サンダークロスII、トライゴン、クォース、出たな!!ツインビー、パロディウスだ! など
カプコン:
エリア88、戦場の狼II、ストリートファイターII など
タイトー:
ラスタンサーガ、イグジーザス、フルスロットル、レインボーアイランド、オペレーションウルフ、飛鳥&飛鳥、大旋風、カダッシュ など
これらのゲームタイトルが示すように、YM2151は1980年代から90年代にかけてのゲームサウンドを特徴づける重要な役割を果たしました。その表現豊かなFM音源サウンドは、当時のゲームセンターや家庭のサウンド環境において、プレイヤーに強い印象を残し、今なお多くのレトロゲームファンに愛されています。現在では製造されていませんが、その音色は多くのゲーム音楽やチップチューンの中で生き続けています。
YM2151は、その表現力の高さから、1980年代中盤から1990年代前半にかけて、特にアーケードゲーム市場で広く普及しました。1984年の米アタリ製ゲーム「マーブルマッドネス」がアーケードゲームとしては初めてこのチップを採用したことで注目を集め、その後は日本の主要なゲームメーカー各社が開発するシステム基板の標準的なサウンドチップの一つとなります。セガのシステム16やナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）のSYSTEM II、コナミ（現：コナミアミューズメント）のTWIN-16など、多くの名作ゲームを生み出したハードウェアにYM2151は搭載されていました。
家庭用コンピュータの分野でも、YM2151は重要な存在でした。シャープのX1turboシリーズに内蔵されたり、拡張ボードとして提供されたほか、特に高性能ホビーパソコンとして知られるシャープX68000シリーズには標準搭載され、その強力なサウンド機能の中核を担いました。本ICのパッケージは24ピンDIP形式でしたが、現在は既に生産が終了しています。
YM2151の音声出力はデジタル信号のため、実際に音として出力するにはD/Aコンバータが必要です。ステレオ出力の場合はYM3012、モノラル出力の場合はYM3014といった対応するD/AコンバータICと組み合わせて使用されました。
技術的な面では、いくつかの特徴や課題がありました。YM2151は本来3.58MHzの動作クロックを想定していましたが、例えばX680x0シリーズでは4MHzで動作するなど、設計値と異なるクロックで使用されるケースが見られました。クロックが異なると、チップが生成する音程がずれてしまうため、正しい音程を得るには内部レジスタのパラメータ調整が必要でした。しかし、この調整を行っても、基準クロックである3.58MHz環境での出力と完全に同じ音が得られる保証はありませんでした。さらに、当時のコンピュータ周辺ICとしては珍しく動作速度が遅く、特にゲームプログラムなどでのリアルタイム制御においては、プログラマが扱いに苦労する要因ともなりました（これはヤマハ製FM音源チップであるYM2203などにも共通する課題でした）。
YM2151のサウンドチップとしての評価は、立場によって異なりました。例えば、タイトーのサウンドクリエイターである石川勝久氏は、インタビューの中で、同じヤマハ製のFM音源チップであるYM2203と比較してYM2151が高価だったため、タイトーにおいては採用できる機会が限られていたと述べています。これは、YM2151の高性能が、必ずしもコスト面での優位性を持っていたわけではないという当時の状況を示唆しています。
YM2151は、数多くのアーケードゲームでその特徴的なサウンドを響かせました。以下に、代表的な搭載ゲームの一部を挙げます。
セガ:
ファンタジーゾーン、カルテット、SDI、エイリアンシンドローム、アレックスキッド、テトリス、ソニックブーム、獣王記、ゴールデンアックス、忍 -SHINOBI- など
ナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）:
スカイキッドDX、イシターの復活、源平討魔伝、ローリングサンダー、サンダーセプター、ドラゴンスピリット、メルヘンメイズ、妖怪道中記、ワルキューレの伝説、オーダイン、パックマニア、ギャラガ'88、バーニングフォース など
コナミ（現：コナミアミューズメント）:
沙羅曼蛇、ライフフォース、WECル・マン24、魂斗羅、SUPER魂斗羅、魔獣の王国、A-JAX、グラディウスII、グラディウスIII、サンダークロス、サンダークロスII、トライゴン、クォース、出たな!!ツインビー、パロディウスだ! など
カプコン:
エリア88、戦場の狼II、ストリートファイターII など
タイトー:
ラスタンサーガ、イグジーザス、フルスロットル、レインボーアイランド、オペレーションウルフ、飛鳥&飛鳥、大旋風、カダッシュ など
これらのゲームタイトルが示すように、YM2151は1980年代から90年代にかけてのゲームサウンドを特徴づける重要な役割を果たしました。その表現豊かなFM音源サウンドは、当時のゲームセンターや家庭のサウンド環境において、プレイヤーに強い印象を残し、今なお多くのレトロゲームファンに愛されています。現在では製造されていませんが、その音色は多くのゲーム音楽やチップチューンの中で生き続けています。
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