メキシコ

メキシコ合衆国

メキシコ合衆国（スペイン語：Estados Unidos Mexicanos）は、北アメリカ南部に位置する連邦共和制国家であり、通称メキシコと呼ばれています。北側にはアメリカ合衆国、南東にはグアテマラやベリーズと国境を接し、西には太平洋、東にはメキシコ湾とカリブ海に面しています。首都はメキシコシティで、市街には先住民の遺産と近代的な文化が共存しています。2020年のデータによると、メキシコの人口は約1億2893万人で、スペイン語を母国語とする国の中では最も人口が多くなっています。

国名の由来

公式名称のEstados Unidos Mexicanosは、1821年に独立戦争中に決定されました。この名称はアステカの言葉Mēxihcoに由来し、アステカ族の守護神メヒクトリの名を讃えるものです。メヒクトリは太陽や戦い、狩猟の神であり、メキシコの国名にはその土地の繁栄を願う意味が込められています。「合衆国」という名称が抱える経済や軍事の影響についての懸念もあり、そのため「メキシコ共和国」への改名を提案する声も存在していましたが、伝統的な背景を重んじる意見も多く、名称変更には至っていません。

歴史

メキシコには、紀元前20000年頃から人間が住んでいたと考えられ、オルメカ文明が紀元前1300年頃に興隆しました。その後、アステカやマヤなどの先住民文明が栄えましたが、スペインの征服により多くの文化が消失しました。1492年のクリストファー・コロンブスのアメリカ大陸到達が契機となり、1519年にエルナン・コルテスがアステカ帝国を滅ぼします。その後、300年にわたるスペインの支配が続きましたが、独立運動が高まり、1810年にメキシコ独立革命が勃発します。

メキシコの独立は1821年に達成され、その後も混乱が続き多くの対外戦争を経験しました。特に米墨戦争（1846年-1848年）での敗北により、膨大な領土を失い、経済的困難に直面しました。その後、1876年にはポルフィリオ・ディアスによる独裁が始まり、この時期に経済が発展しますが、民衆の不満も高まります。20世紀に入るとメキシコ革命（1910年-1920年）が勃発し、結果として1929年に制度的革命党（PRI）が設立され、長期の一党支配時代が始まります。

政治と社会

現在のメキシコは連邦共和制を採用しており、国家元首は大統領です。大統領は国民の直接選挙で選ばれ、任期は6年ですが再選は禁止されています。大統領は強大な権力を持ち、行政や司法を監視しつつ、国の政策を決定します。立法府は二院制で構成されており、上院と下院が存在します。

メキシコの社会には多様な民族が共存しており、メスティーソ（白人と先住民族の混血）が人口の大部分を占めます。また、先住民族の言語や文化も尊重されています。教育は義務教育として、3歳から18歳までの期間が指定されています。識字率は95.4%と高く、国としても教育に力を入れていますが、依然として貧富の差は存在し、国民の7割が肥満といった健康問題も抱えています。

経済

メキシコの経済は、主に製造業や農業、観光業が支えています。特にNAFTA（北米自由貿易協定）の発効により、アメリカやカナダとの経済的つながりが強化され、自動車産業が成長しました。地理的な利点を生かした製造拠点の増加が続いており、日本からの進出も増えています。一方で、組織犯罪、特に麻薬カルテルによる治安の悪化が経済活動に悪影響を及ぼしています。

文化

メキシコは豊かな文化遺産を持ち、先住民の伝統とスペイン植民地時代の影響が色濃く残っています。文学や音楽、舞踊、料理などが国際的にも評価されています。特に料理は、トルティーヤやタコスなどが世界的に人気です。祝祭日は地域による違いがあるものの、メキシコ独自の文化が息づいています。また、サッカーやボクシング、ルチャリブレなどのスポーツも国民に親しまれています。

このようにメキシコは、歴史的背景、豊かな文化、経済の発展を融合させ、国際的な舞台で重要な役割を果たしています。

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