モルドバワイン

モルドバワイン

モルドバワインは、東ヨーロッパのモルドバ共和国で生産されるワインの総称です。モルドバは、長い歴史と確立されたワイン産業を有し、年間6,700万本ものワインを輸出しています。

概要

モルドバは、広大なブドウ畑を有し、多くの家庭が自家製のワインを造っています。商業生産されるワインのほとんどは輸出用で、ポーランド、ルーマニア、ロシア、アメリカなど、世界各国で楽しまれています。2014年には、世界第20位のワイン生産国となりました。

歴史

モルドバにおけるブドウ栽培の歴史は非常に古く、紀元前2800年頃には既にブドウが栽培されていたことが確認されています。ドニエストル川とプルト川に挟まれた地域は、ブドウ栽培とワイン生産の中心地として、社会や経済の変化の中で発展と衰退を繰り返してきました。

14世紀にモルダヴィア公国が成立すると、シュテファン3世の統治下でブドウ栽培は大きく発展しました。中世を通じて、モルドバワインはポーランド、ウクライナ、ロシアなどへの主要な輸出品目となりました。

1812年にロシア帝国領となると、ワイン産業は再び活況を呈します。伝統的な品種に加え、ハンガリー、ブルガリア、ギリシャ、トルコなど、様々な地域のブドウ品種が導入されました。19世紀後半には、フランスからピノ・ブラン、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種が導入され、モルドバワインは高級ワインとしての地位を確立しました。

20世紀には、フィロキセラによる被害や両世界大戦の影響を受けましたが、ソ連時代にブドウ畑の再建が進められました。しかし、2006年と2013年には、ロシアとの外交的衝突により、モルドバワインの禁輸措置がとられ、ワイン産業に大きな打撃を与えました。

モルドバのワイン用ブドウ栽培地域

モルドバには、以下の4つの主要なワイン用ブドウ栽培地域があります。

バルティ（北部地域）
コドル（中央地域）
ニストレアナ（南東地域）
カグル（南部地域）

特に重要なのは、最南部のカグル地域で、赤のスウィートワインやセミスウィートワインの生産に適しています。また、白ワインは高いアルコール度数を誇ります。

ブドウ品種

モルドバのブドウ栽培は、非常に多くの品種があることが特徴です。

在来品種

現在、モルドバに残っている在来品種はわずか数種類です。

フェティアスカ・アルバ：土着の白品種。
フェティアスカ・レガーラ：白品種で、フェティアスカ・アルバとフルミントの自然交配種。
ララ・ネアグラ：伝統的に他の品種とのブレンドに使われる赤品種。
フェティアスカ・ネアグラ：赤ブドウ品種。
プラヴァイ：白品種。
タマイオアサ・ロマネアスカ：白の芳香品種。

導入品種

白品種：シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、アリゴテ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、リースリングなど
赤品種：カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、マルベック、サペラヴィ、ガメなど

近年では、シラー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドなど、新しい品種の試用も行われています。

ディビン

ディビンは、コニャックの伝統的な製法に基づいて製造されたモルドバ共和国で特許取得されたブランデーです。

ワインセラー

モルドバには、世界最大級のワインコレクションを誇るミレシュティイ・ミチや、広大な地下トンネルネットワークを持つクリコバのワイナリーなど、多くの有名なワインセラーがあります。

ワイン産業

モルドバ・ワイン・ギルドは、モルドバの主要な個人ワイナリーによって設立された非営利団体で、モルドバワインの品質向上と国際市場での競争力強化を目指しています。

モルドバワインは、その豊かな歴史と多様なテロワールから生まれる、個性的な味わいが魅力です。近年、品質も向上しており、世界中で注目を集めています。

もう一度検索