円方女王

円方女王（まどかたじょおう）

円方女王は、長屋王の王女であり、天武天皇の曾孫にあたります。彼女の母については不詳ですが、藤原長娥子または智努女王との説があります。また、円方女王は伊勢斎宮としても知られています。

生涯

円方女王は、元明天皇の治世に伊勢斎宮に仕えたとされています。彼女の生涯において、特に注目すべきは長屋王の変の際の出来事です。神亀6年（729年）に、父である長屋王が自ら命を絶ったとき、円方女王にはその罪が及ぶことはありませんでした。

天平9年（737年）の10月には、長屋王の遺児の叙位が行われ、円方女王は従五位下から従四位上へと昇叙されました。続いて、天平宝字7年（763年）正月には、同じく従四位上から正四位上に昇叙されます。さらに、天平宝字8年（764年）10月には藤原仲麻呂の乱の論功によって従三位への昇叙が行われ、同年に法隆寺に白銅鏡一面を献納しました。

その後、神護景雲2年（768年）には正三位に昇叙されましたが、宝亀5年12月（774年1月）に彼女は亡くなりました。円方女王は『万葉集』にも一首の歌を残しています。この歌は、彼女が天平勝宝8歳頃に詠んだと考えられています。

夕霧に千鳥の鳴きし佐保道（さほぢ）をば荒しやしてむ見るよしをなみ（20-4477）

また、平城宮木簡にも「円方女王、図書□王」と記されています。

官歴

円方女王の官歴については、『続日本紀』に基づくものが多いため、以下に記します。注記のないものは、すべて『続日本紀』に由来します。

• - 慶雲4年（707年）- 和銅8年（715年）頃：伊勢斎宮（『一代要記』による）
• - 時期不詳：従五位下
• - 天平9年（737年）10月20日：従四位上
• - 天平宝字7年（763年）正月9日：正四位上
• - 天平宝字8年（764年）10月7日：従三位
• - 神護景雲2年（768年）正月7日：正三位
• - 宝亀5年12月22日（775年1月27日）：薨去

参考文献

• - 平野邦雄・瀬野精一郎編『日本古代中世人名辞典』吉川弘文館、2006年。
• - 金子幸子ほか編『日本女性史大辞典』吉川弘文館、2007年。
• - 坂本太郎・平野邦雄監修『日本古代氏族人名辞典』588頁、吉川弘文館、1990年。
• - 竹内理三・山田英雄・平野邦雄編『日本古代人名辞典』6 - 1633頁、吉川弘文館、1963年。
• - 芳賀登・一番ヶ瀬康子・中嶌邦・祖田浩一編『日本女性人名辞典』973頁、日本図書センター、1993年。
• - その他の文献も、円方女王の業績や人生を詳しく伝えています。彼女の名前は、日本の歴史を彩る重要な一ページに刻まれています。

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