函館市役所

函館市役所

函館市役所は、北海道函館市の行政運営を担う組織が活動する拠点施設です。市の中心部に位置する本庁舎のほか、広範な市域をカバーするために複数の支所が設置されています。その歴史は明治時代にまで遡り、幾多の変遷を経て現在に至っています。

本庁舎の沿革

函館市役所の起源は、1869年（明治2年）に元町に開設された開拓使出張所に始まります。その後、1872年（明治5年）には開拓使函館支庁と改称され、1879年（明治12年）には函館区（官治制）となります。区役所が開設されたのは1880年（明治13年）で、当初は開拓使函館支庁内に置かれていました。以降、船見町や元町へと移転を繰り返し、独立した庁舎の実現を目指します。

初代本庁舎は、1903年（明治36年）1月6日に豊川町（当時の29番地および33番地）に完成しました。この庁舎は、函館区が独立した建物を持つために建設を進めたもので、特に地元実業家である相馬哲平からの土地（404坪余）と現金（3,011円余）の寄付が建設を大きく後押ししました。総工費約57,000円余をかけて1902年（明治35年）12月に竣工し、同月21日に開庁式が行われました。しかし、この庁舎は1934年（昭和9年）の函館大火により惜しくも焼失してしまいます。

庁舎焼失後、市役所機能は複数の仮庁舎に分散して維持されました。一時的に旧函館区公会堂を利用した後、大火で被災した市民館（豊川町）を修復・増築した第1仮庁舎や、公設小売市場を転用した第1仮庁舎分館、旧函館市復興事務局を利用した第2仮庁舎、宝町に新築された第3仮庁舎などが使用されました。

2代目となる本庁舎は、現在の所在地（東雲町）に建設されました。これは第2仮庁舎を増築する形で計画され、太平洋戦争中の資材不足という困難な状況下で建設が進められ、1945年（昭和20年）3月27日に竣工、同年4月から業務を開始しました。建物の一部が元の第2仮庁舎でした。戦後間もない時期には、現在の千代台公園周辺を市の中心部として新たな本庁舎を建設する構想も存在しましたが、1973年（昭和48年）の亀田市との合併による市域拡大を経ても、1975年（昭和50年）12月の市議会では現在地に建設することが正式に表明されました。

現在の3代目庁舎は1983年（昭和58年）に竣工したものです。SRC（鉄骨鉄筋コンクリート）造りの一部にS造（鉄骨造）を取り入れた構造で、地下1階、地上8階、塔屋3階建て、延べ床面積は約2万7982m²です。建設当時は旧耐震基準で設計されていました。老朽化した設備の改修は2004年度（平成16年度）に行われ、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の補助金が活用されました。耐震性に関する問題が2015年度（平成27年度）の調査で確認されたため、2017年度（平成29年度）には振動軽減装置を設置する耐震改修工事が実施されました。しかし、この際に設置されたオイルダンパーの一部製造者による検査データ改ざんが発覚し、該当する39本のダンパーは2020年度（令和2年度）に交換されることとなりました。

自然災害リスクとしては、2012年（平成23年）に北海道が発表した千島海溝におけるL2地震津波の浸水想定で、本庁舎のある地域に4メートルから6メートル程度の浸水が予測されています。ただし、函館市史によれば、過去に函館市に大きな津波被害をもたらしたとされる地震は、1856年の安政三陸沖地震、1960年のチリ地震、1968年（昭和43年）の十勝沖地震であり、必ずしも津波の多い地域ではないとも考えられています。

支所について

市域の拡大に伴い、旧町村役場などが函館市役所の支所として改組されました。主な支所とその経緯は以下の通りです。

湯川支所: 1939年（昭和14年）の亀田郡湯川町編入により、湯川町役場が函館市役所湯川出張所となりました。初代所長は湯川町長が務め、1940年（昭和15年）と1983年度（昭和58年度）に庁舎が改築されています。
銭亀沢支所: 1966年（昭和41年）12月の亀田郡銭亀沢村編入により設置。1968年（昭和43年）1月に庁舎が改築されました。
亀田支所: 1973年（昭和48年）12月1日の亀田市編入により、旧亀田市役所を改組。1978年度（昭和53年度）に庁舎が改築されました。2021年（令和3年）には庁舎前にバスターミナルが整備されています。
戸井支所: 2004年（平成16年）12月1日の亀田郡戸井町編入により設置。庁舎は1969年度（昭和44年度）に建設されたものです。
恵山支所: 2004年（平成16年）12月1日の亀田郡恵山町編入により設置。庁舎は1964年度（昭和39年度）に建設されたものです。
椴法華支所: 2004年（平成16年）12月1日の亀田郡椴法華村編入により設置。庁舎は1980年度（昭和55年度）に建設されたものです。
南茅部支所: 2004年（平成16年）12月1日の茅部郡南茅部町編入により設置。庁舎は1974年度（昭和49年度）に建設されたものです。

過去には旧丸井今井函館店を転用した末広分庁舎も存在しましたが、現在は函館市地域交流まちづくりセンターとなっています。

所在地とアクセス

本庁舎は函館市東雲町4番13号に位置しています。最寄りの交通機関からのアクセスは以下の通りです。

函館市電「市役所前」停留場から徒歩約6分
函館バス「市役所前」停留所すぐ
函館タクシー（函館帝産バス）「開港通り入口」停留所利用

市役所内には様々な部署が置かれ、市民サービスの提供や市政運営が行われています。

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