南稚内駅

南稚内駅：北海道の北端に位置する歴史と発展を刻む駅

南稚内駅は、北海道稚内市大黒1丁目に位置するJR北海道宗谷本線の駅です。特急列車を含む全列車が停車する重要な駅であり、かつては天北線の終着駅として、日本最北の接続駅としての役割を担っていました。この駅の歴史は、宗谷本線の開通と深く結びついており、幾多の変遷を経て現在の姿に至っています。

開業と初期の歴史

1922年11月1日、旭川駅から浜頓別を経由して北上してきた宗谷線の終着駅として「稚内駅」が開業しました。当時の駅は現在の南稚内駅から約1km北、稚内港郵便局付近に位置し、頭端式ホームを持つ駅でした。機関庫や客車の留置設備も備え、北へ向かう鉄道の拠点として機能していました。

翌1923年には、稚内と南樺太を結ぶ稚泊連絡船が開設されましたが、桟橋は駅から2km離れており、旅客は徒歩、貨物は荷車で移動する必要がありました。この不便さを解消するため、1928年には宗谷本線が稚内港駅（現在の稚内駅）まで延伸されました。しかし、南稚内駅は頭端式駅であったため、スイッチバック構造となり、稚内港駅へのアクセスには一旦後退してから進む必要がありました。

駅名の変更と移転

1930年には、路線名称の変更により、幌延経由の路線が宗谷本線、浜頓別経由の路線が北見線（のちの天北線）となりました。1939年2月1日には、駅名が「南稚内駅」に改称され、それまで稚内港駅が「稚内駅」となりました。また、1928年には駅舎の移転が決定しており、1952年11月6日に現在の場所へ移転しました。移転に伴い、南稚内駅以南の駅との営業キロは短縮されましたが、南稚内駅と稚内駅間の営業キロは増加しました。この理由については、廃止されたスイッチバック区間が誤って加算されたのではないかという推測があります。

高架化と近代化

1971年には、国道40号バイパスの新設に伴い、南稚内駅と稚内駅間の高架化工事が開始されました。1975年に完成した高架化は、3カ所の踏切を解消し、交通の安全と利便性を向上させました。また、駅舎は当初バラック建てでしたが、翌年に木造モルタル造りの駅舎が完成しました。その後も改築工事が行われ、現在の駅舎となりました。

天北線の廃止と現在の南稚内駅

1989年には天北線が廃止され、南稚内駅は宗谷本線のみの駅となりました。貨物取扱は1983年、荷物取扱は1985年に廃止されています。現在では、駅長配置駅として、みどりの窓口や指定席券売機なども設置されており、利用者の利便性向上に努めています。駅構内は単式ホームと島式ホームを複合した2面2線構造で、ホーム間は跨線橋で連絡しています。2010年以降は、稚内駅までの線路が棒線化されたため、転てつ器、出発信号機、場内信号機を設置する駅としては日本最北端となりました。

周辺環境とアクセス

南稚内駅周辺は、かつては稚内市の郊外でしたが、近年は市街地の拡大に伴い、商業施設やホテルなどが多数立ち並ぶ賑やかなエリアとなっています。国道40号と国道238号が交差し、宗谷バスも運行しているためアクセスも良好です。周辺には多くの公共施設、商業施設、教育施設、宿泊施設などが集積しており、生活利便性も高い地域です。

まとめ

南稚内駅は、宗谷本線の重要な駅として、そして日本最北の接続駅として長年にわたり地域の発展に貢献してきました。歴史的変遷を経て、現在も多くの利用者に利用されており、北海道北部を代表する駅のひとつとしてその役割を果たしています。今後も、地域の交通拠点として、さらなる発展が期待されます。

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