女真

女真（じょしん）

女真は、満洲に住むツングース系の民族であり、松花江流域から外興安嶺にかけての地域で栄えました。彼らは、主として農業に加えて漁撈や狩猟を行い、10世紀ごろからその名が歴史に現れるようになります。民族名「女真」は、満洲語の「ジュシェン」に由来し、また「女直」とも表記されます。これは、遼王朝の畏忌から生じた表記とも言われています。

歴史的背景

周代からの中国東北地方の民族に関する記録には、粛慎と呼ばれる狩猟民が登場し、彼らは中央王朝に物産を献上していました。その後、夫余、挹婁、勿吉、靺鞨といった他の民族が興亡を遂げました。特に、靺鞨は狩猟だけでなく早期に農耕を導入し、高句麗の建国にも関与していました。この地域の民族は多様であり、女真族もその一部として発展しました。

10世紀から11世紀にかけて、女真の部族が合流し、金王朝を樹立する運命を迎えることになります。1115年、完顔氏の阿骨打（アクダ）が女真の統一を進め、契丹の遼王朝から自立し、金を建国しました。金の首府は初め上京会寧府に置かれ、後に燕京（今の北京）に移され、金は中国北部を支配するに至りました。

金の興亡

金が成立した背景には、金融と政略が複雑に絡み合っていました。金は、契丹を滅ぼした後、南宋にまで進出し、1227年にはモンゴル帝国に敗北するまでその勢力を強化しました。金の時代、女真族は独自の政治体系や文化が育まれ、特に女真文字の整備が進められました。しかし、モンゴルの侵攻により金が滅んだ後、女真族は再び分裂し、様々な王朝の支配下に置かれることになります。

元・明代の女真族

元代から明代には、女真族はモンゴルや漢族と接触しながらも独自の文化を維持していました。特に、女真の社会組織は「ハラ」と「ムクン」という氏族制度に基づいており、族外婚を特徴としていました。このような習俗は、他民族との接触の中で変遷を余儀なくされ、文化的影響を受ける一方で、族のアイデンティティを強化する要素となっていました。

満洲への改称

16世紀末、豊臣秀吉の朝鮮出兵を契機に、女真族はヌルハチにより統一され、彼は1616年に後金を建立します。その後、民族名を「満洲」と改称し、1636年には国号も「清」に変更します。清は、漢族に対して独自の統治機構を整え、満洲族の特権を保障しながら、広大な領土を支配する強大な国へと成長しました。

文化と信仰

女真族は独自の宗教や信仰体系を持ち、自然崇拝や祖先崇拝が深く根付いていました。特に、長白山は彼らにとって聖地であり、自然信仰が表現されています。加えて、女真の伝説や神話においては、天文現象に対する特異な解釈が見られ、群をなす文化的遺産となっています。

結論

女真族は、その起源から金王朝の興亡、さらには清朝の統治まで、東北アジアの歴史において重要な役割を果たしました。彼らの文化や社会制度は、多民族共存の中で育まれ、現在の中国や朝鮮半島の歴史に深い影響を与え続けています。

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