寂念

寂念（じゃくねん）について

寂念は平安時代後期に活躍した僧侶、貴族、そして歌人であり、彼の俗名は藤原為業（ふじわら の ためなり）です。彼は藤原北家長良流に属し、官位としては従五位上や皇后宮大進を持っていました。通称は伊賀入道で、官職を経て出家し、新たな人生を築きました。

経歴

寂念は、文章生から鳥羽院政期の初頭にかけて、大治4年（1129年）に少内記に任じられ、さらに崇徳天皇の六位蔵人を務めました。その後、伊豆守や伊賀守などを歴任し、仁平元年（1141年）以降は中宮権大進や皇后宮大進として、近衛天皇の中宮（後の皇后）となる藤原呈子に仕官しました。

彼は平安時代の歌人として名を馳せましたが、保元3年（1158年）頃に出家し、東山の霊山に隠棲します。出家後は法名を寂念と称し、兄弟の寂超、寂然と共に「大原三寂」「常磐三寂」と呼ばれました。特に寂念については、大原に生活を送ったかどうかは不明ですが、常磐にいたと考えられています。

若い頃は、父である藤原為忠が主催する歌合に頻繁に参加し、九条兼実、藤原重家、俊恵、源頼政、平忠度などの著名な歌人とも親交を深めました。寿永元年（1182年）には、彼が作ったとされる『一品経和歌懐紙』が残されており、生涯の終わりもそれ以降であると考えられています。また、文治3年（1187年）には子の範玄が季御読経を辞退したことが記録に残っており、これは寂念の死によるものであるとの解釈もあります。

人物評価

寂念はその兄弟に比べて後世の評価が低いとされていますが、当時の歌人としては重要な存在でした。彼の詩は『千載和歌集』などの複数の勅撰和歌集に6首も収録されています。その作品には落ち着いた歌風が特徴的で、彼の感性や技術が伺えます。

官歴

寂念の官歴は以下の通りです。

• - 不詳: 文章生
• - 大治4年（1129年）10月9日: 少内記
• - 不詳: 六位蔵人
• - 長承元年（1132年）正月22日: 兼伊豆守
• - 保延2年（1136年）3月23日: 見少内記
• - 康治2年（1143年）12月30日: 見伊賀守
• - 仁平2年（1152年）3月16日: 見中宮権大進
• - 保元元年（1156年）12月27日: 皇后宮権大進
• - 保元3年（1158年）正月6日: 従五位上、正月30日: 対馬守

家族

寂念の父は藤原為忠であり、母は橘大夫（橘俊宗）による娘、待賢門院女房とされています。彼には多くの子女がいましたが、その中には男子として藤原為賢、藤原業盛、藤原経業、藤原雅業、寛忠、範玄が、女子としては二条院三河内侍が名を連ねています。

寂念は、彼の生涯を通じて平安時代の文化や詩歌に深く関与し、その影響力は今なお評価され続けています。彼の作品や業績は、豊かな文化の時代を物語る重要な証拠となっています。

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