広島電鉄宇品線

広島電鉄宇品線

広島電鉄宇品線は、広島市の中心業務地区である紙屋町と広島港を結ぶ、総延長5.9kmの軌道路線です。この路線は、広島電鉄の市内線ネットワークの一部として重要な役割を担っており、多くの市民や観光客の足となっています。

路線概要

宇品線は、紙屋町から広島港までの区間を、主に以下の通り走行します。

紙屋町付近：鯉城通り（国道54号）の併用軌道
千田町付近：千田通り（広島県道243号広島港線）の併用軌道
宇品地区：宇品通り（国道487号）の併用軌道と、広島南道路および臨港道路に並行する専用軌道

沿線には、広島電鉄の本社がある広電本社前電停があり、ここを発着する電車も多く存在します。また、宇品三丁目から宇品五丁目の区間には、安全地帯が短い電停があり、連接車では一部ドアがホームにかからない場合があります。

路線データ

路線距離: 5.9km
軌間: 1435mm
電停数: 19（起終点含む、紙屋町西・紙屋町東は同一電停として計上）
複線区間: 全線
電化区間: 全線（直流600V）

運行形態

宇品線には、市内線8系統のうち4系統が乗り入れています。主な系統は以下の通りです。

1号線: 広島駅 - 広島港（全線直通）
7号線: 横川駅 - 広島港（全線直通）
3号線: 広島港 - 広電本社前/日赤病院前（朝と夕方以降のみ運行）
5号線: 比治山下 - 広島港（皆実線直通）

また、千田車庫への入出庫を目的とした「0号」の電車が、日赤病院前や広電本社前を発着しています。

歴史

宇品線の歴史は古く、1912年に紙屋町 - 御幸橋西詰間が開業したことに始まります。当初は「西塔川線」と「御幸橋線」という名称で呼ばれていました。

その後、1915年に宇品方面へ延伸しましたが、当初のルートは現在のものとは異なり、宇品地区西側の堤防沿いを走っていました。1935年には現在の宇品通りを通るルートに切り替えられました。

原爆投下により一時全線で運行休止となりましたが、戦後すぐに復旧し、本線との直通運転も開始されました。

その後も延伸や電停の移転、直通運転の開始・廃止などを経て、現在の運行形態に至っています。

近年では、2001年に電停の名称が変更されたり、2003年に広島港電停が移転したりと、利用者の利便性を向上させるための取り組みが行われています。

2023年には、7号線の広島港への延伸や、3号線の運行区間変更が行われ、より効率的な運行体制が整えられました。

今後の計画

宇品線は、さらなる発展を目指し、新たな延伸計画が進められています。広島市南区出島地区の埋め立て地への1.2kmの延伸が計画されており、新終点には車両基地が建設される予定です。この延伸により、宇品地区の交通利便性がさらに向上することが期待されています。

電停一覧

宇品線には、以下の電停があります。

紙屋町西
紙屋町東
本通
鷹野橋
日赤病院前
広電本社前
御幸橋
皆実町六丁目
宇品三丁目
宇品二丁目
宇品四丁目
宇品五丁目
海岸通
広島港

これらの電停はすべて広島市内に位置しており、特に紙屋町、日赤病院前、広電本社前、皆実町六丁目、宇品二丁目の電停は「乗換え指定電停」に指定されています。

参考資料

長船友則著『広電が走る町 今昔』（JTBパブリッシング） ISBN 4-533-05986-4

関連情報

日本の[[鉄道路線一覧]]
宇品線
大広島市街地図: 番地入 (1940年当時の路線図)

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