昆陽の戦い

昆陽の戦い

昆陽の戦い（こんようのたたかい）は、中国の新代、地皇4年（西暦23年）に豫州潁川郡の昆陽（現在の河南省平頂山市葉県）で、新軍と緑林軍の間で行われた戦いです。

概要

西暦8年、王莽は前漢から禅譲を受け新を建国しました。しかし、王莽の理想主義的・懐古主義的な政策は当時の実情に合わず、各地で反乱が勃発します。中でも赤眉軍と緑林軍が有力な反乱勢力でした。

南陽豪族の劉玄も緑林軍に加わり、地皇3年（22年）、同族の劉縯・劉秀兄弟も王莽による禅譲を簒奪とみなし挙兵し、緑林軍は農民と豪族の連合軍となっていきます。劉縯は、新軍を破り、宛（南陽郡）を脅かします。その間に劉玄が皇帝として擁立され（更始帝）、劉縯は大司徒に、劉秀は太常偏将軍に任じられました。

これに対し新は、地皇4年（23年）3月、劉兄弟らの討伐のため、大司空王邑、大司徒王尋が100万と号する兵（実際は40万程度）を率いて出陣します。同年5月、王邑らの軍勢は潁川郡に入り、劉秀軍は数千の兵で、昆陽城に立て籠もります。城内の兵力は8千から9千でした。

この状況下で劉秀は、王鳳・王常に昆陽城の守備を任せ、自らは13騎で城外へ脱出し、郾・定陵（いずれも潁川郡）で兵を集めます。

新軍では、荘尤が劉縯の討伐を主張しますが、王邑らは昆陽を包囲します。降伏を申し出た王鳳らに対し、王邑はこれを拒否し包囲を強化、荘尤の進言も聞き入れられませんでした。そのため、王鳳らは必死に抵抗するしかありませんでした。

昆陽攻略に手間取るうちに、5月末に宛が劉縯により陥落、6月には劉秀が数千の援軍を率いて昆陽へ戻ります。劉秀は自ら1千余りの兵を率いて新軍本隊に攻撃を仕掛けます。王邑・王尋はこれを軽視し、自ら1万余りの軍を率いて劉秀軍に挑みますが、劉秀の奮戦により撃破されます。さらに劉秀は、宛からの援軍が到着したとの偽情報を流し、新軍を動揺させます。

劉秀は決死隊3千を率い、昆陽城西の川を渡って新軍本陣へ突撃します。新軍は大軍ゆえに対応できず、王尋が戦死。城内の漢軍も呼応して出撃したため、挟撃された新軍は大混乱に陥り、王邑は指揮を放棄して逃走。折からの強風豪雨にも見舞われ、新軍は完全に崩壊し、王邑はわずかな兵で洛陽へ逃げ帰りました。

その後

昆陽の戦いの結果は、中国の勢力図を一変させ、同年中に王莽は殺害され、新は滅亡しました。

勝利した更始政権内では、更始帝とその側近と劉兄弟の間で主導権争いが起こり、更始帝は劉縯を殺害します。劉秀は河北平定を名目に更始政権から距離を置き、25年に皇帝に即位、漢を引き継ぐ後漢を建国し、中国統一へと乗り出します。

登場作品

小説
称好軒梅庵『光武大帝伝』2020年、日本のライトノベル、宙出版

参考文献

『漢書』列伝69王莽伝
『後漢書』本紀1光武帝紀

関連項目

新末後漢初
緑林軍

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