東宝

東宝株式会社の概要

東宝株式会社は、日本における映画と演劇の制作・配信・上映を行う大手企業です。大阪の阪急阪神ホールディングスの持分法適用会社であり、本社は東京都千代田区の東宝日比谷ビルです。日本の映画産業において「御三家」として知られ、売上高ではその中で最大規模を誇ります。現在も日経平均株価の構成銘柄の一つとして、映画業界の中心的存在であり続けています。2022年の時点で、帝国劇場やシアタークリエといった直営劇場を保有し、阪急阪神ホールディングスおよびエイチ・ツー・オー リテイリングとともにグループの中核企業として経営を行っています。

歴史

発足と成長

1932年に阪神急行電鉄を率いる小林一三により、演劇と映画の興行を目的として設立されました。設立から2年後の1934年には東京宝塚劇場が開館し、その後有楽座や日本劇場、帝国劇場などを所有。これにより、松竹と共に東京の興行界を二分する存在となりました。1937年にトーキーシステムを開発していた写真化学研究所が合併して東宝映画が誕生し、1943年には映画の制作、配信、上映を一貫して手掛ける体制を確立し、社名を「東宝」に改称しました。この社名の由来は「東京宝塚」の略称に由来しています。

大きな事件

1940年には東宝系の全劇団が東宝国民演劇団に発展的解消を果たし、地方の農村や工場を巡回する演劇班が結成されました。同年、宝塚歌劇団も地域の文化の発展に寄与する体制を取り始めた矢先、第二次世界大戦に突入し、東京宝塚劇場や日本劇場は戦争中に弾薬工場や進駐軍専用の劇場として使用される事態となります。

1946年から1950年にかけては、経営者と労働組合との間に激しい対立が見られ、東宝争議という深刻な事態が発生しました。1948年6月には撮影所を占拠した組合員を排除するために警察が出動するなど、その混乱は激化しました。この時期には東宝を辞めるスターや監督が続出し、新たな人材が台頭することになります。

日本映画黄金時代

1950年代には日本映画の黄金時代が訪れ、特に黒澤明監督の作品や円谷英二の特撮映画が高評を得ました。この時期、生まれた数々の作品は日本映画に多大な影響を与え、観客動員においても記録的な数字を誇りました。1960年代には映画産業が斜陽化し、経営体制の見直しや映画配給の構造改革が進められましたが、その中でも安定したプログラムピクチャーの制作を継続した点が特徴的です。

映画製作の変遷

1960年代中頃から映画製作は縮小傾向を見せ、1970年代には東宝独自の映画制作が次第に減少しました。特にカラーテレビの普及が影響し、観客数が減少。これに対し、東宝は製作体制を見直し、新たな製作会社を設立したり、外部からの作品の配給に注力し始めました。バブル景気の1980年代には、再び映画館の建て替えや新しい施設の開設が進行し、映画産業の活性化が期待されましたが、2000年代に入ると自社制作の邦画が減少し、主に外部のプロダクションが制作した作品の配給にシフトしました。

現在の展望

2010年代以降、東宝は他社との製作委員会に積極的に参加し、自社制作への姿勢を強化しています。また、2020年には株式会社東宝映画と「TOHOスタジオ株式会社」を設立し、映画制作のワンストップ体制を構築。2023年には子会社東京楽天地の株式公開買付けを発表し、さらなる展開を図っています。

今後も映画業界のリーダーとして、その役割と影響力を発揮し続けることでしょう。

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