松任駅

松任駅

白山市相木町に所在する松任駅は、IRいしかわ鉄道と日本貨物鉄道（JR貨物）が共同で管轄する駅です。白山市の中心駅として機能しており、その事務管理コードは▲541447が割り当てられています。北陸本線の一部であった時代には、特急列車が停車する主要駅としての役割も果たしていました。現在、IRいしかわ鉄道の運行においては、平日に限り、当駅を発着する金沢駅方面への折り返し列車や始発列車が設定されています。過去には、北陸鉄道の松金線が当駅に接続していました。

歴史

松任駅は、1898年（明治31年）4月1日に官設鉄道の北陸線が小松駅から金沢駅まで延伸された際に、一般駅として開設されました。その後、1909年（明治42年）10月12日には線路名称の制定に伴い、北陸本線に所属することとなります。鉄道網が拡大する中で、1916年（大正5年）3月13日には松金電車軌道線（後の北陸鉄道松金線）の駅が開業し、当駅との接続が始まりましたが、この松金線駅は1955年（昭和30年）11月14日に廃止されました。駅施設においては、1963年（昭和38年）8月に鉄筋コンクリート造りの平屋駅舎が完成しました。荷物取扱は1984年（昭和59年）2月に廃止され、1986年（昭和61年）3月にはみどりの窓口が開設されるなど、旅客サービスが拡充されました。国鉄分割民営化が行われた1987年（昭和62年）4月1日には、西日本旅客鉄道（JR西日本）と日本貨物鉄道（JR貨物）の駅となり、この時、貨物取扱はいったん廃止されて旅客専用駅に近い形態となり、加えて北口が新設されました。21世紀に入ると、駅施設の大規模な改修が進み、2011年（平成23年）8月7日に南北を結ぶ自由通路が供用開始され、翌8月8日には橋上駅舎の使用が開始されました。駅構内サービスも充実し、2016年（平成28年）6月8日には売店がセブン-イレブンKioskに転換、2017年（平成29年）には自動放送（3月12日）、自動改札機（4月1日）、そしてICカード「ICOCA」の利用（4月15日）がそれぞれ開始されました。そして、2024年（令和6年）3月16日の北陸新幹線金沢駅 - 敦賀駅間延伸開業に伴い、北陸本線の当該区間がIRいしかわ鉄道に移管されたため、当駅も同社の管轄となりました。今後、2025年（令和7年）3月15日には金沢駅 - 大聖寺駅間に新設される快速列車の停車駅となる予定です。

駅構造

現在の松任駅は、単式ホームが1面1線、島式ホームが1面2線という配置で、合計2面3線の線路を有する地上駅です。かつては当駅の北側にJR西日本の金沢総合車両所松任本所が隣接していた経緯から、構内は比較的広大な敷地を有しています。北陸新幹線の高架橋が南口駅舎の上を通過する計画であったため、その工事に合わせて駅舎の橋上化と南北自由通路の整備事業が実施されました。新駅舎は2011年8月8日から供用されており、旧駅舎の位置よりも小松駅寄りに移設されています。新しい橋上駅舎のデザインには、南口側には白山の雄大な山並み、北口側には日本海の白波がモチーフとして取り入れられています。駅の運営形態は直営駅であり、金沢駅の被管理駅という位置づけです。駅構内にはみどりの窓口が設置されており、IRいしかわ鉄道移管後も旅行会社扱いとしてJR券の発売が行われています。かつて、この駅のホームでは地元の菓子店「圓八」のあんころが立ち売りされていましたが、現在では駅構内のコンビニエンスストアや売店、あるいは小松駅や金沢駅などでも購入できるようになっています。

のりば

列車の運転指令上では、1番のりばは「上り本線」、2番のりばは「中線」、3番のりばは「下り本線」と呼称されています。通常、列車は1番のりばと3番のりばを主に使用しますが、2番のりばは上り・下りの一部列車に充当されます。かつて使用されていた接近メロディは、1番のりばが『アニーローリー』、2番・3番のりばが『エリーゼのために』でした。しかし、2017年3月12日からは、北陸本線の主要駅で導入が進められていた自動詳細型放送システムが各ホームで使用開始されています。

貨物取扱

JR貨物の駅としては、現在、車扱貨物の臨時取扱駅として機能しています。駅構内には貨物設備や専用線は設置されておらず、通常の貨物列車が発着することはありません。しかし、金沢総合車両所で検査を受けるために配給列車によって回送されてきた私有貨車やコンテナ車が当駅でJR西日本に引き渡されるという形で、貨物の取り扱いが行われています。国鉄の分割民営化が実施される以前には、近隣にあったニッコー松任工場や、日本石油松任油槽所、住友セメントのセメントサイロ（いずれも現在は閉鎖）へと続く専用線が存在していました。

利用状況

2019年度における1日平均の乗車人員は3,758人を記録しています。この数値は、「石川県統計書」や「白山市統計書」といった公式資料に基づいています。

駅周辺

駅周辺は、かつての松任市の中心市街地が広がっています。1990年代頃までは複数のショッピングセンターが林立する商業的に賑わう地域でしたが、白山市内を縦断する国道8号線沿いに大型ショッピングセンターが開業したこと、また、南口近くにあった松任市役所や公立松任石川中央病院といった公共施設が国道近くへ移転した影響を受け、人通りが減少し、多くの商業施設が撤退しました。現在では、白山市の都市再開発計画に基づき、これらの跡地に市営の文化施設が次々と開設されています。駅舎を出て左手には、かつて北陸本線で活躍した蒸気機関車D51形822号機が静態保存されており、鉄道ファンや地域住民に親しまれています。

周辺の主な施設としては、歴史と自然を感じられる松任城址公園、加賀の俳人・千代女にちなんだ千代女の里俳句館、市民向けの創作スペースである市民工房うるわし、学習機能と交流機能を兼ね備えた白山市松任学習センタープララ、白山市立松任図書館、多目的ホールの白山市松任文化会館ピーノ、地域の歴史を展示する白山市立博物館、地域の集会施設である白山市松任公民館など、文化施設が集積しています。また、明治期の実業家・吉田茂平の私邸を移築保存した登録有形文化財の松任ふるさと館や、洋画家・中川一政にゆかりのある白山市立松任中川一政記念美術館なども立地しています。その他、グランドホテル白山やハローワーク白山、石川県立松任高等学校、ニッコー松任工場、スーパーマーケットのマルエー松任店などが見られます。

駅からは、北鉄白山バスや白山市コミュニティバス「めぐーる」、季節運行の白山登山バスなど、複数のバス路線が発着しています。

北陸鉄道 松任駅（廃止）

かつて存在した北陸鉄道の松金線の始発駅としての松任駅は、国鉄（現・IRいしかわ鉄道）の松任駅よりも南側に位置しており、約200メートルほど離れた場所にありました。この駅は1916年（大正5年）3月13日に松金電車鉄道の駅として開業し、その後、金沢電気軌道への併合（1920年）、北陸鉄道の設立に伴う同社の駅への移行（1943年）を経て、1955年（昭和30年）11月14日に松金線の全線廃止と共にその歴史を閉じました。駅構造としては、道路に面して木造平屋建ての駅舎が建ち、島式ホームが1面2線備えられていました。駅の跡地には、現在、白山市立松任図書館が建設されています。松金線の廃止後、その代替としてバス路線が運行されることとなりました。

隣の駅

IRいしかわ鉄道線においては、快速列車利用時は能美根上駅と金沢駅の間に、普通列車利用時は西松任駅と野々市駅の間に位置します。かつて存在した北陸鉄道松金線においては、隣の駅は東町駅でした。

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