湯原温泉

湯原温泉は、岡山県真庭市湯原温泉にある温泉地で、湯郷温泉、奥津温泉とともに美作三湯として知られています。特に有名なのは、旭川の河原に湧き出る「砂湯」で、そのユニークな景観と泉質から、多くの人々を魅了してきました。

泉質

泉質は低張性アルカリ高温泉で、新分類法ではアルカリ性単純温泉に分類されます。源泉温度は40~44.9℃で、15箇所の源泉から推定毎分6000リットルという豊富な湯量が湧出しています。全ての泉源が自噴泉であることも特徴で、近隣の伯耆大山や蒜山火山のマグマが熱源になっていると考えられています。

湯原温泉の温泉街は、湯原ダムの下流、旭川沿いに広がっています。旭川の河川域には河川公園駐車場があり、短時間であれば無料で駐車可能です。また、市営の駐車場も利用できます。

温泉街には、共同露天風呂や日帰り入浴施設、貸切露天風呂、飲食店、射的屋、ガラス工房、土産物店、温泉ミュージアム、はんざきセンターなど、様々な施設が点在しています。旅館やホテルも日帰り利用者に開放されており、エステやアンティークオルゴールの演奏を楽しめる喫茶店、屋内足湯のあるパン屋さんなどもあります。また、廃食用油を燃料としたロンドンタクシーで温泉街をガイドするエコツアーも実施されています。

湯原の地名は、「湯ノ原」または「湯ノ河原」に由来すると言われ、その名の通り、温泉街の中上流域の河原からは湯が湧き出ています。現在利用されているのはその一部で、ほとんどは未利用のまま川に流されていますが、河原には遊歩道や駐車場が整備されています。

湯治、保養、療養を目的とする人が多いですが、山陰・山陽の観光拠点としても利用されています。落ち着いた湯街の風情も魅力の一つです。

共同露天風呂「砂湯」

湯原温泉を代表する名所が、湯原ダムの下にある共同露天風呂「砂湯」です。川底から砂を噴きながら温泉が湧き出ていることから、この名で呼ばれるようになりました。足下噴出源泉露天風呂としても知られています。旅行作家の野口冬人が、1977年に発表した露天風呂番付で西の横綱に選ばれたことでも有名です。

砂湯は、住民によって管理され、無料で開放されています。湯原温泉の古代からのお風呂の様子を唯一残すものとして、市の文化財に指定されています。混浴ですが、湯原町観光協会では、湯浴着や水着の着用を推奨しています。女性用の湯浴み着は旅館や観光協会で貸し出しており、男性用も開発中です。

足湯（手湯）

温泉街には5カ所に足湯があります。砂湯の待合、温泉街中央の「鼓の湯」、河川公園、「湯ったり広場」の4カ所は無料で開放されています。また、温泉街中央部のパン屋さんの2階には、イートインで食事も楽しめる屋内の足湯もあります。砂湯の手前には手湯もあります。

道の駅の露天風呂「下湯原温泉ひまわり館」

砂湯が混浴であるため、女性が入りにくい状況を考慮し、2km下流の下湯原温泉に男女別の有料露天風呂「ひまわり館」が設けられました。岩風呂で砂湯よりも広く、駐車場も隣接しています。道の駅のような施設も併設されており、食事や特産品も楽しめます。ペット専用の露天風呂もあります。

宿泊施設・商店街・環境

湯原ダムの下流域には、約20軒の宿泊施設が並んでいます。これらの施設は湯原町旅館協同組合や湯原観光協会に加盟しており、全体で約2000人を収容できます。商店も同じ地域に集積しています。

旭川とその支流である田羽根川が流れる湯原温泉は、自然豊かな環境に恵まれており、5月から8月にかけてはカジカガエルの鳴き声が温泉街に響き渡ります。また、川の環境改善のために始めたエコディーゼル燃料事業の成果で、ホタルも増えつつあります。

歴史

湯原温泉の歴史は古く、播磨の名刹・書写山圓教寺の名僧、性空上人が病に倒れた際、夢枕に立った天童のお告げに従い、この湯に入って平癒したことが始まりとされています。その後、薬湯として広く知られるようになりました。豊臣政権の五大老の一人である宇喜多秀家の母堂が病を癒した際、秀家が浴室を修繕したという逸話も残っています。地元の歴史研究家によれば、弥生時代中期頃から、周辺のたたら製鉄に従事する人々が湯治に利用していたと言われています。

1944年には、「湯原カジカガエル生息地」として国の天然記念物に指定されています。

奥津温泉、湯郷温泉とともに古くから美作三湯と呼ばれ、米子自動車道の開通によりアクセスが向上し、中国地方や関西の奥座敷として発展しました。

活性化の取り組み

湯原温泉では、観光・慰安だけでなく、温泉を核とした健康づくりを目的とした集客を目指しています。湯原温泉の歴史や泉質、砂湯の入浴法などをガイドする「温泉指南役」の養成や、入浴と人間ドックを組み合わせたプランの実施など、様々な取り組みを行っています。

また、廃食用油をリサイクルしてバイオディーゼル燃料を製造するエコディーゼル燃料事業にも取り組んでおり、環境大臣賞を受賞しています。

近隣の観光地

湯原温泉ミュージアム、はんざきセンター、ものづくり体験工房、射的店、足湯、古屋不動滝、佐波良の大杉など、様々な観光スポットがあります。また、蒜山高原、大山、神庭の滝、勝山町並み保存地区、とっとり花回廊など、周辺の観光地へのアクセスも便利です。

アクセス

- 鉄道：姫新線中国勝山駅下車、真庭市コミュニティバスで約35分
- 高速バス：岡山駅、広島バスセンター、大阪（OCAT、なんば）から湯原温泉口（はんざき橋）下車
- 自家用車：米子自動車道湯原インターチェンジから国道313号経由で5分

岡山空港からは乗合タクシーも利用できます。また、宿泊施設によっては、近隣の高速バス停への送迎サービスも行っています。

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